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何度だって君を好きになる

「おはよう」 久しぶりに蓮が僕に笑顔で声をかけてきた。 「おはよう」 答えるように笑顔で返事をしたつもりだけど、すぐ顔を逸らして自分のデスクへ腰かけると、PCの電源を入れた。 そろそろ前のように話したいのに、どうしても蓮の顔をまともに見ることができないでいる。 自分がどうしてこんな態度を取ってるのか、その理由がわからなくてどうすることもできない。 きっと蓮も気づいてるよね? 僕の様子がおかしいってこと。 だけどね、僕だってどうすればいいのかわからないんだ…。 ちゃんと話したいって思ってるのに、蓮の本当の気持ちを確かめるのが怖い…。 彼女ができたんだから、笑顔で「良かったね」って言ってあげればいいだけのこと…。 わかってるのに、僕は笑顔で「良かったね」って言ってあげられる自信がない…。 昼休みになり、僕はいつものように正尚たちと食堂へ向かおうと立ち上がった。 珍しく蓮はまだデスクに座ったまま。 気になりながらも蓮の横を通りすぎ、先に出て行った正尚たちの後を追いかけようとした瞬間…、 「うわっ…」 僕の腕が思いきり引っ張られた。 ビックリして振り返ると、そこには僕の腕を握る蓮がいて動けなくなってしまう。 「ゴメン…」 「蓮?」 「俺…、大雅とちゃんと話したくて…」 「話すって何を…?」 唇を噛んでいる蓮を見て、僕は精一杯の平然を装い問いかけた。 「俺のこと…避けてるよね?」 「そんなこと…」 「ないわけない…。あの日からずっと避けてる…」 あの日というのは、おそらく蓮が女の人とお昼ゴハンを食べに行った日のことだと思う。 やっぱり気づいていた…。 僕が蓮のことを避けていたことが…。 嫌でも気づくに決まっている…。 だって、僕は蓮と目を合わせることがなかったから…。 「僕は…」 「俺…、彼女とはすぐに別れたんだ…」 「えっ…?」 蓮の言葉に驚いて、間抜けな声が出た。 目を大きく見開いて、蓮を見上げていると、 「変な顔…」 そう言って、クスッと笑われる。 「ちょっと、ふざけないでよ!」 「別に、ふざけてないよ。大雅があまりにも間抜けな顔してるから…」 「もう…、知らない」 ぷいっと顔を逸らすと、 「ゴメン…。ちゃんと話すから聞いて…」 握っている腕を軽く揺すられて、また蓮へと向き直る。 蓮が小さく息を吐くと、 「気づいたんだ…。他の誰かと一緒にいても楽しくないって。大雅と一緒だから、どこにいても何をしてても楽しいんだって。だから彼女には悪いけど、すぐに別れた…」 「どういうこと…?」 「わからない? 大雅と一緒にいたいってこと」 「僕と…いたいの?」 「そう…。俺、大雅といたい」 「うそ…でしょ…?」 「うそじゃない…。好きなんだ…大雅のことが…」 目の前にいる蓮が、僕を真っ直ぐに見つめてくる。 頬に涙が伝う…。 好き… ああ…僕…蓮のことが好きだったのか。 だからあの時、胸の奥がズキンと痛んだんだ。 こんなにすぐ近くに答えはあったのに…。 「好き…僕も…好き…」 「大雅?」 「僕も蓮のことが好きなんだ…」 「本当?」 「うん…」 小さく頷いた僕の身体が、ふわっと包み込まれた。 優しくて、でも力強くて、僕をしっかりと抱きしめてくる。 僕もゆっくりと背中に腕を回した。 蓮の背中は、僕が思ってたよりもずっと大きくて、温かかった。

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