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第13話
ハルにレンゲを添え、温めたレトルトのお粥を手渡した。
両手で受け取り、ハルが優しい笑みを見せる。
「梅がゆだ....」
「嫌いだった?他のにしたら良かったな」
俺は少々慌てたが、ハルが小さく首を振り、いいえ、と
「好きだから」
両手に包んだ器を見つめたハルが優しい笑みを浮かべる。思わず、ドキッとしたが、ハルが急に狼狽え出した。
「あ、す、すみません、そ、その、お粥では一番、梅がゆが好きなんです」
「あ、そ、そうか。熱いから、火傷しないようにゆっくり食えよ?」
「はい」
ハルは俺に笑顔を見せ、レンゲをフーフー息を掛けながら、梅がゆを食べ始めた。
その姿になんだか俺は癒され、無意識に微笑みながら、ハルが梅がゆを食べるのを見守った。
食べ終えた器を受け取ると、ハルに横になるよう促し、掛け布団を肩まで掛けてやる。
おでこに手を当てると、少し熱が引いたように感じた。
念の為、ハルに体温計を渡し、測らせると、38℃だった熱は37℃台まで引いている。
だが、まだ安心できる訳じゃない。
「喉、乾いたか?」
「...少し」
冷蔵庫から未開封だったポカリを持ってくると、キャップを開け、横になっているハルに手渡した。
まだ熱のあるハルが起き上がるにも時間がかかる。
「ちょっと待ってな」
ハルに手渡したポカリを取り返し、キャップを開け、口に含む。
そして、起き上がり掛けていたハルの唇を舌を使いこじ開け、口移しでゆっくり飲ませた。
「せ、先輩....風邪、移ります....」
「大丈夫。気にせず、ハルは横になれ」
ハルを布団に寝かしつけ、再び、ポカリを含み、口移しで飲ませた。
「まだ飲むか?」
「あ、あと少し....」
ほんのり頬を染めたハルに応え、何度かそうして、ハルに口付けるようにポカリを飲ませ、ついでに風邪薬も口に含み、ポカリでハルに飲み込ませた。
「あ、ありがとうございます...先輩」
俺はハルの額のシートを替え、
「ゆっくり休め。起こされて、災難だったもんな」
ハルの髪を優しく撫でると、ハルは掛け布団を口元まで被り、
「おやすみなさい、先輩」
瞼を閉じた。
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