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ここはどこ・・・!?
起き上った星斗はすぐに辺りを見渡した。
「ここはどこですか・・・?」
星斗には全く見覚えがない部屋の光景が広がっている。
広い・・。
部屋も今の今ままで眠っていたこのベッドも何もかもが格段に広い・・・。
見覚えのない、この部屋の大きさは自分の部屋の六畳なんかよりはるかに広い。
ろくに調べもせず、そう言い切れてしまうのは、今、座り込んでいるベッドがこれまた自分の部屋で使用しているシングルベットとは比べ物にならない程大きいサイズだからだ。
間違いなく、以前、旅行で宿泊したホテルにあったダブルベッドなんかよりも大きい。
このベッドはその上のサイズ、クイーンサイズはあるかもしれない。
クイーンサイズはあると思われるベッドは部屋の中央にどっしりと置かれている。
星斗から見て、左側に大きなガラス戸があって、白いレースのカーテン越しに日差しが差し込んでいる。
そのガラス戸の向こうには、だだっ広いテラスがあるのがカーテンの隙間から垣間見えた。
そのまま視線を部屋の端にやると、植木のような大きな観葉植物がひとつおいてあって、まるでこの部屋を見守るご神木のように思える。
右側に目をやると、アームがアーチ型をしたオシャレな間接照明のランプが置いてあって、正面の壁には、風景画?と思わせるような不気味さ漂う絵画が飾られていた。
その不気味さ漂う絵画は、天空に登っていくかのように建てられた高い塔に雷が落ち、塔が崩壊していく様が描かれている。
星斗は、正直、悪趣味な風景画だな、と思った。
その悪趣味な風景画以外は完璧で、セレブが主役の海外ドラマに登場しそうなオシャレな部屋だなと、星斗は部屋を見渡してみて、感心する。
こんな部屋が本当に世の中には存在してるんだな・・・。
そういえば、小学生の頃は自分がまだ分かっていないだけで、本当はとてつもない才能があって、大人になればその能力で自然とお金を稼げて、こんなオシャレな部屋に住めるんだって、現実世界の厳しさを何も知らないから、甘い甘い夢をただひたすら信じていたっけ・・・?
でも、気づけばニートで実家暮らし。
20歳を迎えてもまだ親の世話になる生活をしてるなんて・・・。
なんで、子供に「夢」なんか持たせようとするんだよ。
そもそも、大人になったら、現実の世界は厳しいって分かってるくせに、どうして、そんな残酷な仕打ちを大人は子供にするのか分からない・・・っ!!
豪華でオシャレな部屋を見渡しながら、星斗にしか分からないであろうノスタルジーに浸る。
「ハアー」と、思わず、切ない思いと共に大きなため息をついた。
「・・・・・」
が、すぐに大事なことを思いだす。
「いや、だから、ここはどこ!!」
星斗は心の中で思いっきり叫んだ。
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