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牛丼店にて!?

「星斗クン、それ、本気?」 クサイケメンは唖然とした顔で星斗にそう投げかけた。 星斗とクサイケメンは、牛丼チェーンのお店に入ると、テーブル席で向かい合う様に座った。 星斗は注文した並盛の牛丼が目の前に運ばれると、丼の肉が真っ赤になるまで七味唐辛子を振りかけた。 そして、クサイケメンはその真っ赤になった牛丼を見て、驚き、そう問いかけたのだ。 「そうやって食べるのが今の流行りなの?」 「いいえ」 「じゃあ、辛いものが好きなんだ?」 「いいえ」 「・・・・・」 言葉を失くしたクサイケメンは「本当におかしな子だ・・・」と、思わず、顔に出してしまった。 星斗は、その憐みの目で見るようなクサイケメンの表情を見て、変人扱いされた、と、すぐに気がついた。 ニートになってから、世間からこういう目で見られることはよくあることなので、過敏になって、すぐに気づいてしまうのだ。 「・・・だって、こうやって食べると安心するんです」 「安心・・・?」 「本当は辛いものはめちゃくちゃ苦手なんです。本当ならこんな食べ方したくないです。けど・・・辛いものを無理やり食べると心が喜ぶって言うか・・・精神的に落ち着くって言うか・・・」 そこまで言うと、星斗はまた変人扱いされると思い、クサイケメンの表情を伺った。 しかし、クサイケメンはどこか納得したような表情を浮かべていた。 「そっか・・・」 そう漏らすと、クサイケメンの表情はまた優しくなった。 「じゃあ、早く食べよう」 クサイケメンがそう言うと、星斗は「いただきます」と、真っ赤に染まった牛丼を食べ始めた。 「・・・辛いっ!!」 星斗は思わず、そう声を上げると、ハアー、ハアーと、舌を出して息を大きく吐き、口の中の痛さを少しでも和らげる。 「あーっ、もうっ、ヤダ、辛いよっっっーー!!」 星斗は悲鳴に近い声を上げながらも、なぜか食べ進める。 それから、二口、三口、食べ進めたところで、星斗は気がついた。 クサイケメンは自分の食事はそっちのけで、悲鳴を上げながら牛丼を食べ進める自分のことを熱い眼差しでじっと見つめてくるのだ。 クサイケメンの視線はとても官能的で胸がドキドキしてくる。 「・・・なんですか?」 星斗は気になって声を掛けたが、クサイケメンは「イヤ・・・」と、すぐさま顔を背けた。 しかし、星斗がまた一口食べ進めると、クサイケメンが熱い眼差しで見つめてくる。 その熱い眼差しは、なぜか星斗の体を高揚させた。 「・・・星斗クンはどうしてその食べ方を思いついたの?」 「へ?」 「どうして、自分をイジメるような食べ方をすると心が落ち着くって分かったの?」 星斗は箸を置いた。 「激辛のカップ焼きそばがあるじゃないですか? あれを友達とのおふざけで完食出来るかどうかやった時に、あまりの辛さで誰も食べれなくて、それで罰ゲームってなって、じゃんけんに負けた奴が無理やり完食させられることになって・・・で、負けて、俺が友達に無理やり食わされた時にめっちゃイヤだったんだけど、なぜか幸せな気持ちも感じてしまって・・・」 「ふーん」 そこまで言うと、クサイケメンはまた熱い瞳で星斗を見つめてきた。 「じゃあ、俺がそれ、食べさせてあげよっか?」 「へ?」 「だって、人に食べさせてもらった方が気持ち良いんでしょう?」 「・・・・・」 クサイケメンにそう言われた途端、星斗は全身の力が抜けそうになった。 星斗は単純にそう思った。 俺はこの人の言いなりになりたい。 「星斗。返事は? Say(教えて)」 「・・・お願いします。食べさせてください」 「good boy(お利口だ)」 クサイケメンは星斗の隣にさっと移動すると、テーブルに置いてあったスプーンを手に取った。 スプーンで真っ赤に染まった肉を掬うと、星斗の口に近づける。 クサイケメンは星斗を熱く見つめた。 「アーン」 クサイケメンのそう号令に星斗は素直に口を大きく開ける。

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