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ある夜の出来事 ー非常階段にて②

眞門は三階の踊り場にたどり着いた。 「!!」 眞門はその光景を見て、絶句した。 全裸にされた若い男が両膝を突いた格好にされ、ひとりの女が若い男の両腕を後ろ手にして掴み、空いた右手で男の尻を真っ赤に腫れあがるまで何度も何度も思いっきりぶっ叩いている。 そして、もうひとりの女がそんな青年の姿を嘲笑いながら、スマホで動画撮影していた。 よく見ると、全裸にされた若い男の股間は大きく勃ちあがっており、その先端からは透明な液体がよだれを垂らすかのように零れ落ちている。 しかし、それとは真逆に若い男は恐怖に怯えた顔で大粒の涙を流していた。 「キミ達は一体、何をしているんだっ!」 眞門は思わず怒鳴った。 恩人の若い青年があまりにも惨めに思えて、彼女たちの行為が許せなかったからだ。 「はあー? いきなり、なに、おじさん?」 スマホを撮影している女が毒ついてきた。 「こんなことして、Domとして恥ずかしくないのか?」 「恥ずかしい・・・? このバカSubの方がもっと恥ずかしいんですけど!?」と、居直る女。 「見てよ、こんな屈辱的なことされてんのに、コイツ、あそこを勃たせてんのよ? バカじゃない!? これだから、Subはバカにされんのよっ」 と、また嘲笑う女。 「もう気が済んだだろう? 今すぐやめなさい」 「気が済むわけないわよ、こいつ、Subのくせに女だからってだけでDomをバカにしたのよっ! バカにするのはDomだけの特権よ!」 「違うだろう、Subを守ってやるのがDomの特権だ」 「はあ、なにそれ? コイツら、私たちがいないと生きていけないのよ」 「それは俺らも同じだ。いいから、早く、彼を解放しなさい」 眞門はそこまで言うと、女が撮影しているスマホを奪い取ろうとして、女の右手首を強く握った。 「なにすんのよ!」 「これをどうする気か知らないが、こんなものを残してたら、証拠になって、キミ達が警察に捕まることになるんだぞ。法に触れることをキミ達は今しているんだぞ」 「あんたには関係ないでしょっ!」 「そうはいかない。若いSubの彼の将来の為にもこんなもの残しちゃいけないし、同じDomのキミらを守るためにも、俺がこの動画をこの場で消去させてもらう」 「イヤよっ、私はDomなんだから、SubをDomの好きなようにして何が悪いのよっ!」 その威勢の良い文句と共に女が眞門を振り払おうとした瞬間、女の持つスマホが眞門の顔面に思いっきりぶち当たった。 「!」 その時、眞門の中でずっと抑え込んでいた何かがキレた。

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