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お待ちかねの週末
「お疲れ様です」
「星斗クンもお疲れ様」
星斗が待ち望んだ週末がようやく訪れた。
夕暮れが迫ると、いつもの待ち合わせ場所に眞門の愛車が現れ、星斗はいつものように、すぐに眞門の愛車に乗り込んだ。
乗り込むと、星斗は決まっていつも「お疲れ様です」と、眞門の仕事の労をねぎらうように声を掛けた。
「星斗クンもお疲れ様」
今回初めて、眞門からそう返された。
とても嬉しかった。
たかだか臨時のバイトに過ぎないが、眞門に社会人として認められた気がして、とても嬉しかった。
「それで、バイトはフルタイムになったの?」
「はい、テレビ局に取材されたとかで・・・確かに以前より、お客さんの数が増しました。月曜日から金曜日まで、ランチ営業とディナー営業のフルで働いています。休業日がないんですよ、おばの店。働くのが趣味だからって」
「そうなんだ、俺と同じ趣味なんだね」
そう言うと、眞門は自虐的に笑みを浮かべた。
「・・・それで、今日は特別に俺のお願いを聞いてもらってもいいですか?」
※ ※
星斗の願いを聞いた眞門は、星斗を乗せたまま自宅に向かった。
そして、リビングのソファにやってくると、ふたりして並んで座る。
眞門は星斗を肩に抱き寄せると、星斗の肩に腕を回した。
星斗は眞門の右肩に甘える様にもたれかかる。
「これでいいの?」
「・・・ありがとうございます」
星斗は照れながら、自分の願いを聞き入れてもらったお礼を言った。
「・・・あの・・・褒めてもらっていいですか?」
眞門は右手で星斗の頭を優しく撫でてやる。
「えらい、えらい。よく頑張ったね」
「・・・・・」
星斗はとても嬉しくなって、涙が込み上げてきた。
20歳にもなった人間がたかだか数日間、フルタイムで働いたところで、人に褒めてもらうなんてバカなんじゃないかと自分でも思う。
でも、今の俺にはこれが必要なのだ。
このご褒美があるなら、なんだって頑張れる。
「・・・俺、Subに生まれてきて良かった」
星斗は今の胸の内を素直に洩らした。
「なんで、こんなに幸せだって思えるんだろう。まさか、自分に幸せを感じれる日が来るなんて思ってもなかった・・・」
それを聞いた眞門は優しい笑みを浮かべて、星斗の頭を優しく撫でてやる。
「眞門さんにこうしてもらえて、俺、とっても幸せです」
「そう」
「俺、眞門さんと出会えて本当に良かったです」
眞門は星斗が癒えるまで、ただ優しく星斗の頭を撫でてやった。
「・・・すみません。眞門さんにこんなことさせて。人にこんなことしててもつまんないだけですよね」
「いいや、俺もこうしてると癒されるよ」
そうなんだ。
人に甘えられて癒される人なんているんだ。
やっぱり、Subの自分には持ち合わせてない感覚なんだなと、星斗はDomの事を改めてそう思った。
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