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運命とはそういうもの➉

久しぶりの運転でど緊張な星斗だったが、安全運転を心がけて、なんとか眞門の愛車を眞門のマンションの地下駐車場まで無事に辿り着かせた。 眞門の自宅に着いた頃には雨も雷もどこかへ消えていた。 星斗はスマホを操作すると、眞門のイヤホンに流れている大音量の音楽の再生を止めた。 「大丈夫ですか?」と、星斗。 「・・・ああ」 そう答えた眞門の体の震えはなくなり、顔色も少し赤みが戻っている。 星斗は眞門の様子を確認して、大丈夫そうで良かったと安心した。 「じゃあ、部屋でゆっくり休んでください。俺はこのままタクシーで帰ります」 星斗はシートベルトを外した。 そして、眞門を見つめた。 眞門さんの顔を見るのもこれが最後か。 眞門さんの少しだけ厚い下唇でキスしてもらえるご褒美が大好きだった。 「・・・さようなら」 星斗はこれきり会うことはない、そんなお別れの意味も込めて口にした。 星斗が車の外に出ようと、車のドアに手を掛けた瞬間、眞門にギュッと左腕を強く握られた。 「お願いだ、部屋までついてきてくれないか」と、懇願するような瞳で眞門は星斗を見つめて口にした。 痛いと思うほど掴まれた眞門の拳の強さに、眞門はまだ雷の恐怖から抜けきれていないのか?と、星斗は思った。 同情した星斗は「・・・いいですよ」と、素直に応じた。 星斗が車を降りて外に出た瞬間から、眞門は縋る様に星斗の手をギュッと強く握って来た。 えっ・・・。 星斗は当然戸惑った。 こんな弱弱しい眞門さんは初めてだ。 よほど雷が怖かったんだな・・・。 それから、エレベーターに乗り、部屋に着くまでの間も、眞門は一言も話さず、星斗の左手に指を絡めた感じでギュッと強く握ったままだった。 あの眞門さんがこんなに強く手を握ってくるなんて・・・相当雷が怖いんだ・・・。 なんだか、俺がDomの女達に襲われた夜とは逆のシチュエーションみたいになってる。 星斗は眞門に酷い目に遭わされたことなどすっかり忘れて、雷が怖いというDomの習性を哀れんでやった。 でも、やっぱり、そんな怖い思いをしてまで、なんで、俺の家まで来たんだろう? 星斗は当然それが気になった。 部屋の鍵を開け、中に入ると、眞門はどっと疲れたように玄関に座り込んで、ようやく星斗の手を解放した。 ぐったりしてしまった眞門の様子を心配した星斗は「・・・あの、大丈夫ですか?」と、声を掛けた。 「・・・・・」 うな垂れた様子の眞門からは何も返答がない。 眞門の様子が少しおかしいとも思ったが、眞門とはもうなんでもない。 俺は次に進む。 そう決めた星斗は「・・・じゃあ、俺、帰りますね」と、声を掛けた。 星斗が振り向いて、ドアノブに手を掛けた瞬間、 「星斗、Stop(ダメだ)」 と、眞門が突然のCommandを発令した。 「!? えっ・・・」 星斗の体が勝手に硬直した。 なんだ、これ・・・、いつものCommandじゃない・・・!? 今、体が勝手に反応した・・・。 星斗はいつもとは違う、眞門のCommandに違和感を覚えた。 いつものCommandは従うことに内から溢れるような喜びを感じて、自らが自然と進んで従っていく。 なのに、今出されたCommandは俺の心を全く無視された。 強制的に体が勝手に眞門さんの言うことに従った。 星斗は怖くなった。 今、確実におかしな何かが自分の体に起きた。 これはマズイ状況だ。 Subの本能がそう訴えてくる。 「どこへ行く気?」と、眞門の低い声。 「・・・へ?」 「帰さないよ」 「・・・な、なに言ってるんですか!」 「星斗はどこへも行かせないよ」 「・・・・・」 星斗の額からたらりと冷や汗が流れた。 得体の知れない恐怖が背後から迫ってくる。 そんな感じがして仕方ないっ! イヤだ、逃げたい、なんだ、これ・・・?? なんなんだ、これ・・・? 怖い!! この得体の知れない恐怖は何なんだ・・・? 「!」 眞門が後ろから抱き着いてきた。 そして、耳元で囁く。 「どうして、俺に無断で首輪を外したの?」 「へ?」 眞門がとても悲しそうに囁く。 「首輪は俺が外すって約束したじゃないか」 「・・・だって」 「会いに来てくれた訳じゃなかったの?」 「・・・へ?」 「さよならを言いにきたのか?」 「・・・・・」 「星斗は、いつからそんな悪い子になったの?」 「!! なに、言ってんですか・・・っ!」 星斗はなんとか力を振り絞って、眞門を振り払った。 文句を言ってやりたいのはこっちだっ! その思いだけで力を振り絞った。 文句を言うのはこっちだからな! Subの立場もDomの立場も関係ない! 支配される側だって、相手を選ぶ権利はあるんだからな! そう思い、振り返って、眞門を見つめた。 「! 嘘・・・!?」 眞門の瞳の色が無機質なざらりとした灰色に染まっている。 星斗はその瞳の色に恐怖を覚えた。 おぞましい。 その一言だ。 そして、一瞬にして恐怖のオーラに包まれた。 体が竦む。 灰色の瞳が星斗に恐怖を植え付けてくる。 『俺の言うことを聞かないと、お前はどうなるか分かっているな』 そんな脅迫まがいのメッセージが頭の先から足の先まで体全体に流れて行き、無理やり星斗を服従させてくる。 ・・・これ、あの時のGlare(グレア)だ!? 俺がDomの女たちに襲われて助けてくれた時のGlare(グレア)だ。 なんなんだ、このGlare(グレア)。 相手に有無も言わせずに強制出来る力があるGlare(グレア)なのか・・・?! 星斗はどうして良いか分からなかった。 しかし、戸惑ったところで、Subの星斗にはどうすることも出来ない。 体が縮こまって固まってしまった星斗を眞門は胸の中で愛おしそうに抱きしめた。 「いい子だよ、星斗。それで良い」 「・・・・・」 雷のせい・・・? 雷のせいで、眞門さんがおかしくなったのか・・・? 眞門は星斗の頭を優しく撫でる。 「さあ、今から、星斗の大好きなお仕置きを始めるよ」 「!」 「俺の言うことに背いたらどうなるか? 勝手に首輪を外したらどうなるか? 星斗の体にたっぷり教え込もうね」 「・・・・・」 「星斗はもうどこへも行かせないよ」 「!!!」

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