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罪深き男

ピンポーン♪ ・・・ピンポーン♪ 眞門の家のインターホンのチャイム音が家中に響き渡るー。 ピンポーン♪ ・・・ピンポーン♪ ・・・ピンポーン♪ 何度も何度も止むことなく部屋中に響き渡るそのチャイム音に、ベッドで意識を失くしたまま、ずっと眠っていた眞門は起こされて目を覚ました。 ・・・痛っ! 眞門は起き上ると同時に、頭が割れるほどの頭痛に襲われた。 そのあまりの痛さに、眞門は思わず頭を抱えた。 ・・・なんだ、この痛さは・・・っ! 眞門は経験したことのない痛みの頭痛に寝起きから悪戦苦闘した。 ピンポーン♪ ・・・ピンポーン♪ 一向に鳴り止まないチャイム音に、 「・・・はい・・・」 と、眞門は、思わず口に出して返事した。 そして、頭痛に苦しみながらもベッドから起き上がると、フラフラとした足取りで寝室を出て行く。 眞門はまだぼんやりした状態で、螺旋階段を上がり、インターホンがあるリビングまでやってきた。 眞門はインターホンの応答ボタンを押すと、「はい・・・」と、応答した。 インターホンの画面には、何やら取り乱している様子の愛美の顔が映し出される。 「!! ・・・お兄ちゃん!? 大丈夫なの!!」 愛美の突然の大声が頭に響き、頭痛に苦しむ眞門は顔を思いっきり歪めた。 「・・・何が?」と、眞門。 「何がって・・・何がじゃないでしょっ!」と、愛美はいきなり眞門を叱りつけた。 「・・・でも、良かった。生きてて・・・母さんも会社の部下の方も・・・みんな、心配してたのよ!!」 「・・・心配?」 「このまま連絡がとれないなら、マンションの管理会社に連絡して、警察にも連絡しなきゃって思ってたところだったんだからねっ!!」 酷く心配する愛美の様子を今、目を覚ましたばかりの眞門は何も理解することが出来なかった。 「会社からママのところに連絡があったの、昼過ぎになっても社長が出社して来ないって。お兄ちゃん、会社の方に緊急連絡先はママのところを指定してたでしょ?  月曜日は毎週朝一の会議があって、社長が遅れたことなんて一度もなかったのに、絶対、社長の身に何かあったんじゃないかって。 パパが高熱出しちゃって、そばを離れられないから、ママが私に代わりに様子を見てきてって頼まれたの。お兄ちゃんのことだから、心配はいらないと思うけどって、ママは言ってたけど・・・」 「そうか・・・で、今は何時だ?」 「もう、お昼の二時過ぎてるよ!」 「そうか・・・」 「そうか、じゃない! さっさと、エントランスに入る鍵を開けて! 部屋の暗証キーはママから聞いてきたから」 「分かった」 まだほんやりとする頭で、何が何のことだか全く理解出来ない眞門は愛美に言われたまま、インターホンに付属してあるエントランスに入るドアの解除キーのボタンを押した。 そして、眞門は自分の現状に気づいた。 ・・・あ、俺、裸だ・・・。 なんで、パジャマ着てないんだ・・・? なんで、素っ裸なんだ・・・??? その理由を思い出そうとするが、酷く頭痛に襲われる。 とにかく、愛美が部屋に入ってくる前に、服を着なくては・・・。 それだけ考えると、重い頭痛を抱えながら、クローゼットがある下の階に向かって、螺旋階段を下りた。 眞門は螺旋階段を下りながら、昨日の出来事を思い出そうと試みる。 昨日・・・昨日・・・昨日・・・。 昨日・・・愛美と食事に行って・・・。 「!」 眞門はようやく、昨晩に自分がしでかしてしまった出来事を思い出した。 ・・・そうだ、星斗は!? 確か、星斗を強引に躾しようとして・・・で、星斗にsafe wordを言われて・・・あの寸前、星斗は確かSub drop(サブドロ)してた・・・!? そこまで思い出すと、眞門は慌てて寝室に入った。 「!」 ベッドの上で星斗が全裸のままで倒れている。 「・・・星斗っっ!」 眞門は慌てて駆け寄った。 眞門は星斗を抱きしめると、まずは体温を確かめた。 星斗にはちゃんと人肌の温もりがある。 それを確認すると、今度は星斗の心臓に耳を当てた。 心臓が動く音もちゃんと聞こえている。 眞門は星斗が生きていると分かると、まずは一安心した。 「星斗っ、星斗っ、星斗ーーーっ!」 眞門は必死で何度も呼びかけた。 後は星斗の意識がちゃんと元に戻るかどうかだ。 「・・・ン・・・ン・・・ン・・・」 眞門の呼び声に星斗は反応を示した。 「星斗・・・星斗・・・っ!」 星斗がゆっくりと目を開いた。 「知未さん・・・?」 「良かった・・・良かった・・・っ!」 眞門は星斗を思いっきり抱きしめた。 「ごめん。本当にひどいことをしてごめん」 そう謝ると、眞門は目に涙をいっぱいに浮かべた。 「・・・知未さん、どうしたんですか? 泣いて」 「当り前だろうっ」 「?」 星斗は一体、何があったのか、何も思いだせなかった。 知未さんが泣いている・・・。 眞門の泣き顔を見た星斗は、そんな心配するような出来事でもあったのかと思い、昨日の記憶を呼び起こそうとした。

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