115 / 311

Playは続行中

星斗と眞門のお試し期間を設けたお付き合いが新たに始まった。 眞門が土下座をした日から、二週間ほど経過した土曜日の昼過ぎ。 星斗はびしょ濡れになりながら、眞門の自宅にひとりでやってきた。 「マジで最悪~」と、嘆く星斗。 眞門の自宅があるマンションの最寄り駅から、眞門の自宅に徒歩で来る間に、突然の通り雨に降られてしまったのだ。 傘を持っていなかった星斗は慌てて走ったが、結局、びしょ濡れになってしまった。 季節はもう冬を迎えている。 星斗は雨で濡れたせいで、冬の寒さがより一層身に染みた。 星斗は眞門から渡されたマンションのカードキーを取り出すと、そのカードキーを使って、エントランスにある鍵のかかったドアを解除した。 そして、マンションの中へ入り、エレベーターに乗り、眞門の部屋の前までやってくると、今度は鍵のかかった玄関の扉に向かって、部屋の鍵を開錠する暗証番号を入力し、玄関のドアを開けた。 お試し期間と言いながらも、二人の関係は、合鍵を持つ仲まで発展していた。 眞門は合鍵を渡す時に、「いつでも好きなときに来てよ」と、付け加えていた。 しかし、星斗は以前と同じように週末に会うことに固執した。 その理由はお試し期間であるという強調の意味合いもあるが、他にもいくつかあった。 そのひとつが、おばの洋食店のバイトをまだ続けることになったからだ。 たまたま客としてやって来た眞門に無礼を働き、そのまま仕事を放り出したまま店を飛び出していった星斗は、てっきり怒られてクビになると覚悟していた。 しかし、店の主人であるおばからは少しの注意だけで事は収まった。 星斗が店を飛び出して行った後、眞門がおばに対し、何をどう言ったのかまではよく分からないが、うまくフォローをしてくれていたようだ。 勿論、おばにも理由があった。 ホールを担当する共同経営者が事故で負った怪我の回復具合が思わしくなく、まだ仕事に復帰出来ないことから、星斗にバイトを続けて欲しく、強く出れなかったこともあった。 そんなことからも星斗と眞門は、必然的に以前と同様に週末に会うという形を続けることになった。 しかし、以前とはひとつ違うことがある。 それは待ち合わせ場所だ。 待ち合わせをする場所が眞門の会社近くの最寄駅から、眞門が星斗に合鍵を渡したことで、眞門の自宅へと変わった。 星斗は眞門の自宅の玄関に入ると、スマホを取り出し、メッセージアプリの機能を使って、眞門にメッセージを送信した。 【今、知未さんの家に着きました。 申し訳ありませんが、突然の雨に降られて、びしょ濡れになってしまったので、シャワーを使わせてもらってもいいですか?】 仕事で家を空けている眞門から、返信がすぐに届いた。 【自由に使ってくれて構わないよ】 【ありがとうございます!!】 星斗はすぐにそう返信すると、眞門の自宅を濡らすわけにはいかないので、その場で濡れた服を脱ぎ始めた。

ともだちにシェアしよう!