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首輪は・・・?

星斗を助手席に乗せた眞門の愛車は高速道路の乗り口を目指して走り出した。 眞門は仏頂面のままハンドルを握る。 眞門の機嫌の悪さだけが充満する車内で、星斗は困った顔を浮かべていた。 ・・・なんて切り出せば、知未さんは許してくれるんだろう。 星斗はチラッと眞門の横顔を確かめてみる。 ムッとしたまま、未だに不機嫌極まりない、そんな顔でいる。 ・・・ダメだ。 こうなったら、何を言っても聞き入れてくれない。 星斗は半ば諦めの気持ちで、もう、首輪をつけるしかない。 そう覚悟した。 「・・・あれ?」 しかし、気がつくと、都心へと向かうはずの眞門の愛車は、なぜか、高速道路のその乗り込み口とは逆方向の乗り込み口に進入し、そのまま逆方向の進路へと進んだ。 この進路は・・・知未さんの自宅方面。 眞門の車は都心とは反対の、帰宅する進路を取った。 「帰るんですか?」 「ああ」 「・・・あの、じゃあ、首輪は・・・?」 「・・・・・」 眞門は星斗を一瞥するだけで何も答えなかった。 それ以降、眞門の機嫌が直らないので、ふたりは何も会話を交わすことなく、眞門の自宅へ到着した。 家に着くと、眞門は相変わらずの仏頂面で、「一緒にシャワーを浴びるよ」と、だけ告げて来た。 星斗は当然、StripのCommandから始まって、お仕置きが始まるんだ。 そう身構えたが、「服は俺が脱がすから」と、眞門はその断りだけ入れると、Commandを出すことなく、普通に星斗の服を脱がし始めた。 その後、覚悟した(本当は少し期待もした?)浴室でのお仕置きもされることもなく、眞門は星斗の体を綺麗に洗い流すと、濡れた体をタオルで優しく拭きあげた。 そして、ドライヤーで星斗の髪を丁寧に乾かし、それを終えると、星斗の為に用意してある、星斗専用の下着とパジャマまで自分の手で着せた。 これで終わりなのかと思ったら、星斗専用に買っておいた電動歯ブラシを今度は持ち出してきて、星斗の歯まで磨き始めた。 眞門は終始、仏頂面で作業を進めていくので、星斗は抵抗出来ることもなく、されるがままを受け入れていた。 なんなんだ、これ・・・? 知未さん、一体、何がしたいんだ・・・? 逆に怖い。 お仕置きされる方がまだ分かりやすくて良い。 最後には可愛く甘えて、「ごめんなさい」って言えば、絶対に許してくれるし。 星斗は大いに戸惑った。 そして、眞門の考えが分からないので、今までとは違う恐怖を味わう。 星斗の歯磨きを終え、自分も終えると、「じゃあ、寝るから」と言って、眞門は星斗の手を取って、寝室に連れて行く。 寝室に連れていくと、眞門はベッドの中ですぐに星斗を胸の中に抱きしめた。 「おやすみ」 そう言って、眠りに着こうとする眞門の今までの行動が全くもって理解不能な星斗は、「・・・あの・・・怒ってないんですか?」と、恐る恐る尋ねてみた。 「怒ってるよ」 やっぱり・・・。 じゃあ、なにもしないっていう、斬新なお仕置き・・・? 星斗はそう疑った。 「自分自身に怒ってる。俺がもっと、星斗を大切に扱ってたら、星斗をあんな危ない目に遭わさせずに済んだのにって」 「えっ・・・」 「ごめん」 星斗は意外な返答に驚いた。 てっきり、眞門の忠告を聞き入れなかった自分に怒りが向いていると思っていたからだ。 「じゃあ、首輪は・・・?」 「あの時はああ言わないと、Dom性に飲まれてしまいそうだったから。 そう言うしか出来なかった。 怖がらせてごめん。 首輪は星斗から欲しいって言ってくれるまではつけないよ」 「・・・知未さん」 星斗の胸は眞門への愛おしさでいっぱいになった。 本当に俺のことを愛してくれているんだ。 「本当に反省してるから。こうなった原因は全部、俺のせいだって分かってるから。本当にごめんね」 「・・・・・」 星斗はそこまで愛情を示されると、逆に申し訳ない気持ちになってしまった。

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