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だから、言ったじゃないか。②
「あの、今すぐ逃げた方がいいと思います」
星斗は親切心から手首を掴む若い女のDomにアドバイスした。
「どうしてよ! てか、なに、この不快なオーラっ!」
若い女のDomも何かおぞましいものを感じ始めている。
「え、なに、すごく怖い・・・っ! なに、これ・・・? 私、殺される・・・!?」
若い女のDomが突然、そう口にすると、恐怖で体がガタガタと震え出す。
「申し訳ありませんが、そのSubは俺のなんで。その汚い手を早く放してもらえませんか?」
瞳をザラリと灰色に染めた眞門が女の後ろから忍び寄って来た。
キターーーッ!と、星斗は心の中で絶叫すると、眞門に現場を押さえられたことで、この後、こぴっどく叱られることになると思い、ガックリと肩を落とした。
「今から、そのSubには、俺がきちんとお仕置きしておくんで。今後、他のDomに勘違いさせるような真似はするなって言って、俺がお仕置きしておくんで。今回はどうぞそのままお帰りください。素直に帰ってもらえないなら、あなたもお仕置きしますよ」
そんな蔑まれた言葉を吐かれておいて、Dom性全開の若い女も負けてはいない。
威勢よく振り向くと、眞門を睨んだ。
「!」
が、灰色のザラリとした、なんともおぞましい瞳の色を見ると、妖怪でもみたかのように驚いて、走り去っていた。
若い女のDomが居なくなると、眞門はすぐに怒りのGlareの放出を止めた。
そして、ゆっくりと、壁際にいる星斗との間合いを埋めると、両手でドーンと壁を思いっきりついた。
星斗はこれからお説教が始まる、そしてお仕置きも―。
眞門をまた怒らせた、今度はどんな目に遭うのか?
星斗はそんな恐怖に怯えながら、それ相当の覚悟をする。
「星斗」
「・・・はい」
「俺、言ったよね?」
「・・・・・」
「俺、こうなるよって、忠告しておいたよね?」
「・・・はい」
「なのに、俺なんか狙われないですよ~って、人の心配をヘラヘラと笑ったよね?」
「いや、ヘラヘラとは・・・」
「今夜が金曜の夜だから、俺がたまたまお迎えに来れたから良かったものの、これが俺が来れない日の夜だったら、どうなっていたと思う?」
・・・ンー、相変わらず、説教がねちっこい・・・。
「はい、すみません。でも・・・」と、星斗はポケットから防犯ブザーを取り出すと、「一応、知未さんの忠告は守って、こんなものは用意してたんですよ」と、眞門に見せた。
「へぇー。
星斗さ、俺にGlareとCommandを同時に使われて、動きを封じられたことをもう忘れたの?」
「いえ・・・」
「あの時、怖い思いしたでしょ?」
「はい」
「こんなもので防げると本気で思ってるの?」
「いえ、でも・・・ないよりかはましかと・・・」
星斗ここでようやく、眞門に視線を合わせてみた。
・・・ああー、知未さん、本気で怒ってる・・・
眞門がただムッとした顔を露わにして、星斗を睨みつけている。
星斗は仕方がないので、「・・・ごめんなさい」と、素直に謝った。
「ごめんなさいで済むの、これ・・・?」
「・・・・・」
「星斗の身に何かあった時はどうするつもりだったの?」
「・・・・・」
「俺、星斗の身に何かあったら、絶対に許さないって言ったよね?」
「・・・・・」
「どうやって責任取るつもりでいるの?」
「・・・・・」
ウーン、ねちっこい・・・。
星斗が何も答えず、困ったふりをしていると、
「じゃあ、今から首輪を買いに行こうか」
と、眞門が口にした。
「えっ・・・」
星斗は眞門を思わず見つめた。
有無は言わせない、眞門がそんな顔で星斗をじっと見ている。
これ以上、眞門を本気で怒らせてはダメだと感じた星斗は、「・・・はい、分かりました」と、素直に応じた。
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