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それは・・・

「あの、どうして俺なんですか?」 「は?」 「どうして、俺のことをそんなに好きだって言ってくれるんですか?」 「じゃあ、どうして、星斗は俺なの? 理由があるの?」 「ありますよっ。知未さんは、俺より何もかも優れてるじゃないですか。見た目もかっこいいし、仕事もすごく出来るわけだし、お金も持ってるし、男としてめちゃくちゃ魅力的じゃないですか・・・俺とは不釣り合いな相手だと思います」 「じゃあ、俺がSubでも好きになってくれた?」 「えっ?」 「俺がNormalでも好きになってくれたの?」 「・・・・・」 「俺は星斗がSubじゃなかったら、正直、こんなに好きになってなかったと思う」 「・・・・・」 「星斗はどう? 俺がDomじゃなくても、同じくらい好きになってくれた?」 「・・・・・」 星斗は答えられなかった。 いや、本当はそうじゃないと分かった。 多分、好きになってない。 俺はDomの知未さんが好きだ。 いじわるしてくるところとか。 負けず嫌いなところとか。 なんでも強引に自分の思い通りに進めようとするところとか。 あと・・・実はねちっこい、そんなところも。 「・・・ごめんなさい」 星斗は素直に謝った。 さっき述べた好きな理由は逆に傷つけただけかもしれない、そう反省した。 自分が逆の立場なら、あんまり嬉しくないかもしれない。 ただ、ひとこと。 『あなただから、好きになった』 そう言われたい。 「俺も知未さんがDomじゃなかったら、好きになってなかったと思います」 星斗は甘えるようにギュッと抱き着いた。 「・・・星斗」 「はい」 星斗が返事すると、眞門が熱い瞳で見つめてきた。 「俺、星斗のことが大好き過ぎてたまらないんだ」 「!」 星斗はその眼差しと声にドキっとする。 「星斗の気持ちは充分に理解してるつもりだけど・・・星斗のことを合法的に監禁して良い?」 「監禁・・・ですか?」 「首輪がつけられないんなら、合法的に監禁したい。監禁しても良い?」 「監禁・・・」 どうしてだろう。 とんでもない恐ろしい言葉なのに、知未さんに言われると、甘美な言葉に聞こえてしまって、胸がトキメいてしまう。 俺達って、相性良いとかじゃなくて、ただのヤバい組み合わせなんじゃない? いや、俺だけがヤバい奴なだけかもしれないけど。 「監禁したい」 なんて言われて、人生で嬉しいだなんて思う日が来るなんて・・・俺、本当にNormalじゃないんだな・・・。 監禁・・・どんなプレイをするつもりなんだろう? 「俺のDom性の傾向がどんなだか分かる?」 「・・・そうですね・・・うーんと、束縛、とかですか?」 「うん、星斗のことが全部欲しいんだ。星斗のことを全部支配したい」 どこをどう聞いても、頭のおかしな会話だ。 Normalのカップルなら、めちゃくちゃヤバい会話だ。 今すぐ相手から逃げ出すべきだって、誰もがアドバイスするだろう・・・。 なのに、めちゃくちゃトキメいてる俺って一体・・・!? 分かりました! 知未さん、どうぞ、俺を好きなだけ監禁してください!! 「星斗を合法的に監禁させてください」 眞門は星斗に再び熱い眼差しを向けて、そう口にした。 知未さんと監禁プレイ・・・俺、楽しみですっ! 「・・・はい」 「ありがとうっ!! 一生、大切にするからね」 眞門は星斗を思いっきり強く抱きしめた。 ん・・・? 一生・・・? そんなに長くですか?

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