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山本さんは良きSubの友人②

「山本さんのことを信頼してるからこその相談なんですっ! 今から話することを聞いても絶対にひいたりしないでくださいね」 「うん、分かった・・・なに?」 見つめてくる星斗の真剣な眼差しに、山本はどんな大事の相談か?と、少し怯える。 星斗が声を潜めた。 「・・・チンコの首輪、ってご存知ですか?」 「チンコの首輪・・・??? ・・・あー、うん、聞いたことあるけど、確か・・・チンコの首元辺りに取り付けられるリングみたいなやつだろう?」 「シーっ、声が大きいですよ!!」 星斗は周りの視線を気にすると、大きな声で"チンコ"と声にした山本を慌てて注意した。 「悪い・・・っ」と、おどけた表情で謝ると、「今、上流階級のDomの間で爆発的に流行っている"首輪"だよな?」と、山本は続けた。 「そうなんですか!?」 自分の知りえない情報だったので、星斗は素直に驚いた。 「調教とか色々な面で使えるとか・・・なんだか、画期的な機能もついてるとかで」 「画期的な機能・・・? あの薄い幅のリングの中にそんな色んな機能が詰まっているんですか!? 幅の大きさなんて1cmもないですよ!?」 「ん? お前、まるで知ってるような言い方するじゃん」 「はい・・・だって、今、それが俺に装着されてるんですもん・・・っ」 「マジか!?」 「見ます?」と、ボトムスのベルトを緩めだした星斗に、「いいよ、別に!」と、山本は慌てて星斗の動きを制止した。 「なんだよ、じゃあ、首輪を付けてもらっているようなもんじゃないか」 「・・・どうしてです!?」 「だって、GPS機能が付いてるんだろう、それ」 「こんなモノに!?」 「お前がどこに居ても把握できてるってことだな」 「・・・・・」 「首につける、本物の首輪の方にもさ、GPS機能を付けるカップルは多いんだけど、お風呂に入る際だったり、ヘアカットだったりで、何かと外さなきゃいけない機会が結構あるんだよ」 過去の経験で思い当たる節がある星斗は、「確かに。俺、外すと死ぬって言われてたんで、外せない場面が多くて結構苦労してました・・・」と、同意した。 「でも、その、男のシンボルの方につけてる首輪だとさ・・・」と、山本は声を潜めると、「水に強い新素材で作られてるとかで、ずっと装着したままでもOKらしいんだ。しかも皮膚にも超優しいらしい。だから、新しい首輪(カラー)として注目・・・」 「山本さんっ!!」と、星斗は山本の言葉を遮った。 そして、希望を見つけたっ! そんなキラキラした瞳で山本を見つめる。 「そこまでご存知なら、外し方も知ってますよね?」 「へっ?」 「ネットで検索してても全然分からないんですよっ! リングの外し方がっ。秘密事項の契約があるからって・・・知恵袋みたいなサイトに書き込んでみても、それを理由に誰も外し方を教えてくれなくて・・・」 「いや、俺も詳しいことは知らないよ・・・だって、相手がいないから、装着されたことなんて当然ないし・・・しかも、それ、高額なんだぞ」 「え!?」 「高級時計、ひとつぐらいは軽く買える額だって聞いたぞ」 「・・・ハアー」 星斗は大きくため息をついた。 「知未さん、普段は本当にとても聡明な人なんですよ。 なんせ、社長ですから。 なのに、時々、大馬鹿野郎になってしまうのはなんでなんでしょう・・・? こんな下らないものに大金をつかうなんて・・・、本当に信じられないっ。 全てを兼ね備えているっていうのにモテないのは、こういうところに原因があるって、どうして、あの人は気づかないんでしょう・・・」 星斗は呆れてぼやいた。 「そうか? 俺は羨ましいけど」 「へ?」 「なんだか変態的な拘束のされ方で、俺はグッときたけど。性処理を管理されてるってことだろう? いいじゃん、性の束縛。 それこそ、俺達が求めるものじゃん。 パートナーがしてくれないとなんにもできないんだぞ・・・考えただけで興奮する」 「・・・・・」 星斗は更に呆けた。 こんなSubもいるんだ。 ・・・しかし、すぐに考え直した。 いや、ひょっとしてNormal育ちの俺のSubとしての感覚がズレているのかもしれない。 本当はこの首輪をもらったら、喜ぶものなのかもしれない・・・? 「山本さんって、やっぱりSub校出身ですか?」 「当り前だろうっ。 Subにとって、思春期は自分の身を守らなきゃいけない大変な時期なんだから。 少しでもリスク回避を考えるなら、Sub校に行くのは当然だよ」 やっぱり・・・。 俺は知未さんが思う普通のSubとはかけ離れているのかもしれない。 そう思うと、眞門との間に大きな隔たりがあるように感じ、急に不安になった。 『星斗はNormal性を持つ両親に育てられて、本人もNormal性育ちだから、Normal性(世間一般)の考えで物を考えるみたいだけど、うちの父親はDom性だ。だから、所謂、世間一般(Normal性)でいう父親像とは違うんだよ・・・』 知未さんのお父さんって、どんな人なんだろう・・・? こんな俺を認めてくれるだろうか・・・? 眞門が自分を父に紹介しなかった理由が自分なりになんとなく見えた気がした。

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