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実行・・・失敗
ゆっくり振り返ると、寝室の扉付近で、スウェットのパンツだけを履いた上半身裸の眞門が右手にもう一台のスマホを持って、なぜか、ニヤニヤと微笑んでいる。
「プライベート用のスマホはこっちなんだけど」
眞門は右手に握ってあるスマホを星斗に示してみせた。
「えっ・・・」
星斗の全身から大量の汗が一気に噴き出した。
そうだ、知未さん、スマホ2台持ってた・・・。
!!! ヤバい・・・っっっ!
何がヤバいのか理解出来ないくらい、ヤバイ状況に陥ったことだけは分かる。
恋人が勝手にスマホを覗いていた。
なんて、とてもじゃないが、簡単に許される行為じゃない・・・っ!!
どう繕って良いか分からない星斗は、とりあえず、すっとぼけた顔を作ってみる。
「あれ・・・? ホントだ!? これ、俺のじゃないじゃん・・・っ、え、なんで、俺、これが自分のだって思ったの・・・??」
咄嗟に思いついた嘘をついてみる星斗。
だが、
苦しい・・・っ。
苦しいよ、こんな嘘っ!
知未さんに通用するわけないじゃんっ!!
もっと、良い嘘を思いつかなかったのか、俺っ!!
と、苦々しい思いに駆られる。
眞門はゆっくりと歩み寄ってくると、星斗の逃亡を防ぐ為か、星斗の肩に左手を回すと、がっちりと星斗の体を抑え込んだ。
「俺のスマホで何をしようとしてたの? どう見たって間違うわけないよね? 機種も違うし、スマホのケースからして違うんだから」
「・・・・・」
星斗の額から冷や汗がたらりと落ちる。
「・・・でも・・・パッと見、似てるなーって・・・」
「どこが? 俺のスマホケースはシンプルな黒だけど、星斗のスマホケースはアメコミヒーローがモチーフの派手なデザインじゃなかったっけ?」
「・・・・・」
「自分で苦しい嘘をついたと思わない?」
「・・・思います」
星斗は無駄なあがきを止めることにした。
ああ、どうしよう・・・。
知未さんに嫌われてしまう。
いや、嫌われるで済まない。
他人のスマホを無断で覗き見するような最低な恋人なんて・・・いらないよな。
ハアー、母ちゃんになんて言おう。
幸せな報告が出来るまで帰って来るなって言われたのに・・・。
また、フラれました。
なんて、言えない・・・。
星斗は今更ながら、自分のしたことに反省し、絶体絶命の、絶望の淵に立ってしまったと覚悟する。
が、眞門は怒った様子など見せることなく、
「山本さんに教えてもらったんでしょう?」
と、優しく耳元で囁いてきた。
「え?」
「アソコに付けた首輪の解除方法」
そう言うと、眞門は星斗が持つ自身のスマホを取り上げて、セキュリティロックの設定を始めた。
怒った素振りを全く見せない眞門を不思議に思った星斗は、眞門の顔を見つめて、表情を観察した。
あれ、知未さんは怒ってない・・・?
むしろ、笑いを堪えてる感じ・・・?
眞門は、怒りをなんとか表現しようと表情を作ってみるが、時折、笑いが込み上げそうになっていて我慢している、そんなふうに見てとれた。
「・・・あの、怒ってないんですか?」
「勿論、怒ってるよー」
セキュリティロックの設定が終わると、眞門は星斗の顔を見つめた。
やはり、眞門が激怒している様子などは垣間見えない。
「俺は、なんてモラルのない恋人を持ったんだってさー。良くないよなー。人としてホントに良くない行為だよなー」
「あのですね、これには訳があって・・・」
「あーあ、悲しいなー。俺は星斗がモラルのない人間だって分かって、とっても悲しいなー」
眞門はどことなく棒読みに近い白々しい演技で悲しみを嘆いてみせる。
「・・・ごめんなさい」
全ての非が自分にあることが分かっている星斗はいたたまれなくなって謝るしかない。
「本当に反省してる?」
「はい。
でも、俺、チンコのリングをどうしても外したく・・・」
と、星斗がそこまで言うと、
「はい、じゃあ、お仕置き決定だな」
と、眞門が星斗の言葉を遮った。
「へ?」
「こんなモラルのないことをする恋人には、お仕置きして、罰を与えちゃうしかないだろうっ」
「えっ・・・」
「星斗、Strip 」
「へ!?」
「はい、いますぐお仕置き開始するからね」
「いや、でも・・・っ、理由を聞いてくださいっ!!」
「はい、Up 」
星斗はCommandに指示従い、両手を素直に上にあげると、眞門が服を脱がし始めた。
「!」
自身のスマホを黙って覗き見されたことを全く怒らずに、むしろどこか楽しそうに服を脱がしにかかる眞門に、星斗はある考えを思いつく。
「・・・知未さん、ひょっとして、仕組みました!?」
「なんのこと?」
眞門は白々しくとぼけた顔をする。
「だって、仕事用のスマホにセキュリティロックの設定してないなんてありえないじゃないですか!
現に今、すぐに設定してたし。
俺がスマホを覗き見している。
その現場を証拠として押さえたくて、わざとセキュリティロックの設定を外してたんでしょ!」
「なんで、俺がそんなことをわざわざするんだよ?
俺の目的は?」
「俺にお仕置きすることしか考えていない人だから」
「フフン」と、意味ありげに笑う眞門。
「!」
星斗は確信に変わった。
「酷いですよー」と、ギャーギャー喚く星斗の服を眞門は手際よく次々に脱がしていく。
「俺が山本さんに会ってくるって言って、機嫌よく送り出した時から計画を練ってたんでしょうっっ!
そうか、俺が山本さんにチンコの首輪の外し方を聞きに行くっていう目的が分かってたんだ!
って事は・・・チンコの首輪を付けた時から、俺にお仕置きする計画を立ててたんだ!!」
「星斗、Shut Up 」
そのCommandが出された時には、すでに星斗は全裸にされていた。
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