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甘いアフターケア
シャワーで体を洗い流し、星斗が寝室に戻ってくると、星斗の体液は部屋中から全て綺麗にふき取られ、ベッドは新しいシーツに取り換えられていた。
「おいで」
既にベッドで休む眞門は星斗の手を取ると、すぐに自分の胸の中に抱きしめた。
そして、愛おしい、そう言わんばかりに、星斗の頭や額に軽く口づけをしていく。
眞門はまだ、先程のPlayの興奮が冷めきれないようだ。
「・・・あの」
「ん」
「そう言えば、知未さんは全くしてませんよね・・・。
良かったら、俺のことを好きにしてもらっても・・・体は綺麗にしてきたんで・・・」
「ありがとう」
眞門はそう言うと、星斗の額に軽くキスをした。
「でも、今夜はもう充分。
可愛い顔の星斗がいっぱい見れたからお腹いっぱいだ」
と、胸の中でギュッと星斗を抱きしめる。
今夜はあれで終わりか・・・。
星斗もまだ興奮が収まっていないのか、眞門のあしらいにどこか物足りなさを感じてしまう。
あの知未さんと体も繋がりたかったな・・・。
そんな欲張りな願望は抑え込まなきゃ。
そう思った星斗は、眞門の胸の中に、より深く顔を埋めた。
「あのね・・・」と、眞門が真剣な声付きで語りかけてきた。
「この週末に、うちの父親に星斗を紹介したいって思っているんだけど、会う段取りをつけても構わない?」
「えっ・・・」
星斗は顔を上げて、眞門を見つめた。
「星斗は、心の準備出来てる?」
「・・・・・」
正直分からない。
「俺はさっき出来たよ。やっぱり、星斗には俺のSubだけでずっといて欲しいから」
俺もだ。
俺も知未さんだけのSubでいたい。
「分かりました。会う予定を組んでください。俺も同じ気持ちですから」
星斗も心を決めて、返答した。
「分かった」
そう言ったものの、眞門に笑顔はなく、やはり、どこか不安に満ちた顔を浮かべている。
「・・・あの、失礼な言い方になるんですけど、そんなに難しいお父さんなんですか? 確か、先生 だとか言ってましたけど」
「ああ。
所謂、普通の感覚で生きてない人だからね。Normalな人達から見たら、ただの変人だよ。
但し、本人はきちんとした考えの元で行動してるって胸を張ってるけどね」
どこか投げやりに聞こえた眞門の物言いに、父への軽蔑、そのようなものが含まれているのだろうか?
星斗は邪推してしまう。
「星斗のお父さんはどんな人なの? まだ一度もお会いしたことないけど」
「うちの父親はあまり家にいないんですよ。職業柄かもしれませんけど」
「ご職業は?」
「タクシーの運転手です」
「そうか」
「仕事が好きなだけなのか、それとも家族に関心がないのか、そこは分かりませんけど、俺がこんな状態でも、あまり口出ししませんから。だから、母ちゃんがいつもひとり怒ってる、そんな感じです」
「そうか・・・。
どの家庭でも、問題ってあるよな・・・」
そう呟いた眞門の顔がとても悲しく映った。
「あの・・・」
「ん」
「俺達はそうならないようにしましょうね。
問題なく、いつまでも一緒に」
「ああ。いつまでも、ふたりで幸せに暮らそうな」
そう言うと、どちらからともなく、また、体を密着させた。
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