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災難は勝手にやってくる⑤
眞門は、まだ少しぼんやりとしている星斗を急いで愛車の助手席に乗せると、大急ぎで車を発進させた。
やっぱり、父と会わすんじゃなかったっ!!
その後悔が眞門の胸を襲う。
指導という名の調教で、星斗が父から痛い目に遭わされたと疑わない眞門は、父親への怒りと自分の判断ミスを責め続け、今にも気が狂いそうだった。
どういうつもりだっ、俺がこんなに大切に扱っているSubを吊るして、痛めつけるなんてっ!!
絶対に、絶対に、絶対に許さないからなっ!!!
眞門の怒りは頂点に達した。
と、意識を少し取り戻したのか、眞門の左腕のスーツの裾をギュッといきなり星斗が掴んだ。
「知未さん・・・っ」と、星斗は苦しそうに訴える。
「どうした?」
星斗の頬が赤い。
熱でもあるのだろうか。
「大丈夫か? どこか痛むか? どんな酷い事されたんだ?」
「・・・お願い」
「ん?」
「早く、家に連れ帰って・・・」
「ああ、分かってる。ごめんな。辛かったよな」
「それで、俺にご褒美ちょうだい」
「・・・へ?」
「お願い・・・もう、我慢できない・・・」
運転に気をつけながら、星斗の顔を見てみると、とても物欲しそうな顔で眞門を熱く見つめている。
星斗の身に一体、何が起きているんだ?
眞門は呆気にとられる。
「・・・あんっ、ダメっ、知未さんっ」
「どうした?!」
「なんか変・・・っっ!」
「どこが痛むんだ?」
「Command・・・」
「え?」
「Command出して・・・っ、俺に命令して・・・っ」
星斗が甘く強請ってくる。
「何を? 何を出すんだ?」
眞門はワケが分からない。
「・・・もうっ、知未さんが欲しくて欲しくてたまらない・・・っ!
今にも、頭がおかしくなりそう・・・っっっ」
よく見ると、星斗は空いた左手で自分の股間をギューと押さえつけている。
「・・・前も後ろも、もう限界・・・すぐに与えてくれなきゃ頭おかしくなるぅぅ・・・」
星斗が熱っぽい瞳で、また甘く訴える。
「星斗・・・」
星斗の異変に、眞門はついに怒りが爆発した。
うちの非常識な父親は星斗に一体、何をしたんだーっ!!
マジで弁護士立てて、訴えてやるからなーーーっっっ!!
眞門が静かに心で誓う中、星斗が更に眞門に体を寄せてきた。
どうやら、性の欲求を抑えるのがかなり辛そうだ。
眞門はあまりに哀れに思えたので、すぐに、車を路肩に停車させた。
そして、星斗を見つめる。
「Look 」
眞門が星斗に指示を出す。
眞門の瞳がサーモンピンク色に染まると、
「星斗、Stay 」
と、星斗に要望された通り、Commandを発令してやる。
星斗は苦しそうな表情を浮かべながらも、「・・・はい」と、素直に返事すると、体をギューと委縮させるように丸めた。
『父を絶対に許さない』
そんな怒りの感情で全てが支配されていたはずなのに、星斗が自らの性欲に悶えて耐える姿を見ていると、眞門のDom性が一気に燃え上がり始める。
・・・クソっ、なんだこれ・・・っ!
今すぐめちゃくちゃに犯してやりたいっ!!
「知未さん、許して!」って、泣き叫ぶまで、めちゃくちゃに犯したい!!
眞門はスマホを取り出し、会社に連絡を入れる。
「・・・悪い、プライベートなことで問題が発生した。
今日はもう会社には戻れそうにないから、後を頼んで構わないか。すまない」
直属の部下にそう伝えると、「早く帰ろうな」と、星斗に優しく声を掛け、眞門は愛車を自宅に向けて発進させた。
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