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アフターケアにて
裸の星斗が眞門の胸の中でぐっすりと眠りについている。
眞門は、眠る星斗の頭を優しく撫でる。
「ごめんな・・・怖かったよな・・・痛かったよな・・・星斗はこんなご主人様を選んでないよな・・・」
そう言って、償いの行為のつもりなのか、星斗の頭を優しく何度も撫でた。
星斗の体には、噛み痕や強く吸いつくことで出来る赤い跡が無数にあった。
全て、Domの欲望に飲まれてしまった眞門がDomの本能のままに、マーキングのつもりなのだろうか、星斗の体にわざと残したものだった。
眞門は、星斗の体に付いた痕を見ているのがいたたまれなくなったのか、自分を責めた顔になると、ベッドから思わず起き上がった。
クソっ・・・!
眞門は悲しみに暮れた。
なんで、俺は結局こうなるんだっ・・・!
なんで、星斗を痛めつけるような愛し方しか出来ないんだっ!
しかも、あんな怖ろしい言葉・・・殺す だなんて・・・絶対に口にしてはいけない言葉を口走るなんて・・・どうかしているっ!
眞門は自分を責めた。
ふと、下に目をやると、星斗のペニスに付けていたリングが床に落ちている。
求め合った激しさの最中にベッドから落ちてしまったのだろう。
眞門はリングを拾い上げると、ベッド脇のチェストの引き出しに仕舞った。
星斗に酷いことをしたと思う罪滅ぼしからか、星斗にまた装着しようという気が起きなかった。
ただ大切にしたい。
そう思っているのに、自分の言うことを聞かないなら殺す だなんて・・・俺じゃない、何者かが俺の中にいるみたいだった・・・。
あの煽ってきたDomは誰だ?
まるで乗っ取られるかのように、全く制御できなかった・・・。
眞門は、そこまで心の中で呟いた時、ハッとあることに気づく。
「!!!」
・・・まさか、俺はアレを発症している・・・?
いや、そんなわけない。
アレを発症するのは数パーセント、ごく稀な症状だ。
でも、もし、発症してたとしたら・・・?
眞門を言い知れぬ不安が包み込む。
もし、アレを発症してたら、星斗とは引き離される。
いや、それだけで済まない。
俺は最悪・・・死刑だ。
眞門はただ、不安に怯えた。
と、眞門のスマホが着信を知らせた。
相手を確認すると、拓未だった。
眞門は星斗を起こさないよう、スマホを持って寝室の外に出た。
そして、螺旋階段を上りながら、拓未からの通話に出る。
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