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拓未の役目④
小部屋での見知らぬSubとDomのPlayが終わると、室内に明かりが再び灯された。
観覧していた客たちは、ショーが終わると同時に、それぞれに興奮した面持ちを見せながら、家路に向かうためか、ホールから次々と退場していった。
ホールには、星斗と拓未がソファに残り、笹ノ間がカウンターバーで後片付けに取り掛かっていた。
「それで、星斗クン、どうだった?」
「どうだったって、何がです?」
「今、見終わったPlayの感想を聞かせてもらえるかな。
羨ましくなかったかい、あの目隠しをされていたSubが。
観衆の前で命令され、それが下手だと罵られ、辱めを受ける。
そして、今度は上手く出来たと褒められ、最後にはご褒美として昇天されられた。
あられもない姿を皆の前で晒す」
「はい、まあ・・・」
星斗は返事を濁した。
「正直に言ってごらん」
「え?」
「観衆の中で星斗クンだけだよ。
まるで汚物でも見るかのような目で、他人のPlayを見てたのは」
「そんなっ! そんな目で見てませんよっ」
「イヤ、見てたよ。
キミは羨ましいという目では、あのSubを全く見ていなかった」
「・・・・・」
「正直に答えなさい」
「・・・よく、楽しめるなって・・・俺なら絶対にイヤです。
あんな目には遭いたくない・・・」
「あんな目?
なにがそんなにイヤなんだ?」
「何もかもです。
目隠しも・・・人に見られることも・・・見知らぬDomに命令されるのも、最後にイカされることがご褒美だなんて、絶対にイヤだっ」
「でも、私たちが生きていくにはどれも必要なことだ」
「それは・・・まあ、そうなんですけど・・・」
「じゃあ、知未からお願いされたらどうだい?
今、君が見たことをそのまま、ふたりでやってみたいって誘われたら?」
「知未さんとですか・・・?」
星斗は想像してみた。
見知らぬ大勢の前で、知未さんに「Lick 」のCommandが出される。
俺は知未さんの大きくなったアレを口いっぱいに頬張る。
けど、下手だと罵られ、乳首をつねられる。
もう一度と言われ、また、「Lick 」のCommand。
俺は、今度こそは知未さんに気持ちよくなってもらおうと、舐めることに集中する。
すると、上手く出来たと褒められて、下着をようやく脱がされる・・・。
そして、知未さんにご褒美の口づけをもらいながら、俺は・・・。
「・・・やりますっ! 喜んでやりますっ!」
星斗は迷いなく即答した。
・・・だって、そんなのを人に見られるなんて、・・・めちゃくちゃく興奮するじゃないか!!
俺が知未さんに興奮している恥ずかしい姿を不特定多数に晒されるなんて・・・ドMの悦びマックスじゃないか!!
星斗は知未が相手となると、意見をすぐに反転させた。
「でも、目隠しするのだけは絶対に嫌です」
「どうして?」
「知未さんが俺を虐めるようとしている時の顔が大好きだからです。
お前だけしか見ていないからなって顔をいつもしてくれるんです。
あれが俺の一番の喜びです。
あれさえあれば、俺は他に何にもいりませんっ」
「ハアー」
と、拓未はガックリと肩を落とす。
「それだっ、それなんだよ、星斗クン、君の問題は・・・」
「問題?」
「それじゃあ、知未以外とPlayが出来ないじゃないか。知未がいなくなったら、キミは死ぬのを待つのみだ」
「はい・・・俺もそう思ったので、よりを戻してもらいました。
知未さん以外には、絶対に支配されたくなかったので」
「より・・・? じゃあ、キミ達は別れたことがあるのか?」
「はい。
色々、事情がありまして・・・。
俺、知未さんにサブドロされられてしまって、それで知未さんのことがなぜか怖くなってしまって・・・」
「!」
拓未の顔色が一瞬にして青ざめる。
「今、なんて言った?!」
「へ?」
気づくと、拓未は、この世の終わりを告げられた。
そんな悲壮な表情へと変わっている。
「今、なんて言ったんだ!!」
「え、だから、その・・・雷が凄い夜で、俺に付けた首輪がなくなっているのを見た知未さんが突然おかしくなって・・・」
「そうじゃなくて!
キミは知未にサブドロさせられた経験があるのか!?」
「はい・・・あの・・・何かまずいんですか・・・?」
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