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監視室にて

「あの、どんな感じですか?」 モニター画面に向かって、後頭部を見せたままでいる明生が隣にいる拓未に問いかける。 「もう終わりました?」 「いや。 たった今、ふたりとも素っ裸になって合体したよ。星斗クンが自分で両足を抱えて、うちの息子に入って来るようにおねだりした後、うちの息子がそれに応えて、星斗クンのお尻を壊すんじゃないかってくらいに腰を激しく振ってる最中」 モニター画面をあくまでも観察するようにじっと見つめる拓未は淡々と事実だけを伝えてやる。 「嘘でしょっ!? ・・・信じられない・・・っ! バカ兄貴の、さっきの、あの心の叫びは何だったんだよっ! あいつ、俺たちに見られるのはイヤだって拒否ったくせによーっ!!」 と、明生は星斗を糾弾するかのように声を荒げる。 「俺の傷ついた純な心を今すぐ返せよっ、あのバカ兄貴!」と、叫び、悔しさを表現するかのように、自分の体をかきむしる様にのたうち回った。 監視カメラがあるモニター室に移動した拓未と明生は、部屋で二人きりになってからの星斗と眞門の様子をモニターの画面越しからずっと監視していた。 しかし、いざ、眞門が星斗に対しての下品な行為を始まると、明生は実兄の生々しい姿を凝視し続けることがさすがに出来なくなり、監視の全ては拓未に任せ、モニター画面とは正反対の方向に視線を向けていた。 「てか、師匠はよく平気で観察できますね? 息子と婚約者のPlayの生現場だなんて・・・」 明生は尊敬に皮肉を混ぜ合わせる。 「これがマスターの仕事ですから。君にもこれぐらいはしてもらわないと困りますよ」と、拓未も皮肉を交えて返答した。 拓未がモニター画面をじっと見つめながら呟く。 「これ、星斗クンは完全にサブスペに入ってるな・・・」 「は!? 馬鹿なの、うちの兄貴!?  師匠や弟に見られてるって分かってるのに、サブスペに入るなんて!?  しかも、相手はいつ牙をむくかもしれないっていう状況で。 あいつ、とんでもない状況を楽しめる強心臓だな、おい。 てか、やっぱり、さっきの拒否はなんだんだっだよ! ・・・なんか、あいつなんかと血が繋がっているかと思うと自分までも怖くなってきた・・・」 明生はカメラの前で眞門に平気で抱かれる星斗の精神に呆れた。 「仕方ないんじゃないか。久々のPlayなんだし、欲求もかなり溜まっていただろうし。しかも、あんな異様な辱めを受けたんだ。健全なSubなら興奮して当り前だ」 圧倒的な経験値からか、拓未は落ち着いた口ぶりで星斗と眞門の状況を分析していた。 「一時はどうしようかと思ったが、まあ、これで、ふたりが我を忘れてPlayに没頭してくれてることで、知未にどんな症状が出ているのかを判断することが出来る。結果オーライだ」 「てか、もう問題ないんじゃないですか? じゃないと、バカ兄貴がサブスペなんかに入んないですよ。師匠が感じた眞門さんの違和感も問題なしって感じですし」 「そこはどうだろうな・・・」 拓未は弱気に口にする。 「君も目撃しただろう? 嫌がる星斗クンを無理やり脱がせて、カメラに向かって、イヤらしい格好させたところ」 「・・・ああー、はい・・・」 眞門がその行為を行った直後から明生はモニター画面を直視することは無くなった。 「あの行為を始めた時のあいつの顔。 いつもの知未とは思えなかった。 まるで、星斗クンを無理やり躾けようとする冷徹な顔。 そこに喜びはなかった。 とてもじゃないが、愛するSubとPlayすることに興奮しているようなDomの顔じゃなかった。 あいつがどうしてあんな行為を真っ先に選んだのか、それがどうしても納得できない」 「どういうことですか?」 「あいつは、星斗クンが嫌がるであろう、一番恥ずかしい姿を私たちにわざと見せつけたんだぞ。 あいつがどうして、その行為を真っ先に選んだのか、それがどうしても納得できないんだよ。今だって、カメラがあることが分かっているのに、バカみたいに星斗クンのことを犯しまくってるし」 「それは、うちのバカな兄貴の大好きなシチュエーションってだけかもしれませんよ。うちの兄貴はどう考えたって、世界一の変態なんだってことが判明しましたから」 明生は自分の怒りを晴らす為、これ見よがしに星斗をわざと侮辱する。

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