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帰還

星斗はパッと目を覚ました。 深い眠りから、ゆっくりと上昇していき、目を覚ました。 気分がとても良い。 目覚めた瞬間からそう思う。 星斗は起き上ると、思いっきり背伸びをした。 「さあ、やってやるぞっ!」 そんなエネルギーが体中に湧き上がってくる。 「フーッ」と、軽く息を吐くと、瞑想するように目を閉じ、気持ちを落ち着かせた。 脳がゆっくりと起動し出す。 今日の予定はなんだっけ? まずは顔を洗って、歯を磨いて、朝食を食べなきゃ。 で、服を着る。 服を着る・・・? その言葉で、パっと目を見開く。 「俺、素っ裸だ・・・」 星斗は自身の体に衣服のまとわりがないことに気づいた。 「そうだった・・・っ!」 そう洩らすと、星斗はすぐに頭を抱えた。 すぐに全裸でいることの理由を思い出すと、それを確認するように、部屋の隅にある監視カメラがあることを目視して確認する。 やってしまった・・・!! 監視カメラの存在を確認し終わると、星斗は自分の貞操観念の低さを酷く責めた。 当然、俺の全てがあのカメラで見られたんだよな・・・? 俺の恥ずかしいところを余すことなく、見られたんだよな・・・? 星斗は今更ながら、自分が全裸のまま胡坐をかいていることに気がついた。 今更遅いと分かりながらも、両膝を抱える様にして座り直し、股間の部分をカメラに映らないよう脚で隠した。 と、横を見ると、まだ眠り込んでいる全裸の眞門の姿があった。 「・・・・・」 まるで自慢でもするかのように完璧なフォルムをした男根を放り出したまま、無防備に眠る眞門の姿をじっと見つめる。 「いや、まあ、そのサイズなら俺も隠さないけどさ、礼儀としてね・・・」と、洩らし、薄い掛け布団をそっと掛けて、眞門の股間も監視カメラからガードしてやった。 で、これから、どうすれば良いんだ? とりあえず、この部屋を出るか? けど、お父様や明生にどんな顔を見せればいいんだよ・・・。 星斗は困って、思わず抱えた両膝をギュッと抱きしめた。 困り果てた星斗は隣で眠る眞門を見つめる。 一向に起きる気配のない、スヤスヤと眠っている無防備な寝顔。 この寝姿・・・。 知未さんは見られたことは全然平気ってことなんだろうな。 まあ、あの二人の前でPlayするって決めるぐらいだから、見られるのは平気なんだろうな。 でも、どんな顔して、お父様や明生に会うつもりでいるんだろう・・・? 眞門の穏やかな寝顔を見ていると、自然と星斗の腕が伸びた。 伸びた腕の先は眞門の頬を優しく撫でる。 でも、良かった。 最悪なことが起きなくて。 知未さんに裏切られた時はどうなるかと思ったけど、何もなくてよかった。 俺までSubに飲みこまれて、とんでもないことしちゃったけど。 本当に何も起きなくて良かった。 ふたりで無事に朝を迎えられて、本当に良かった。 星斗は、眞門の寝顔を優しく見つめた。 「あれ・・・?」 星斗は心の中で呟いた自身の言葉に引っかかる。 朝・・・? 今、朝なのか・・・? てか、今、何時??? ふたりがいる部屋には窓が一つもなく、時刻が分かるような代物も一切なかった。 俺たち、どれくらい寝てたの? てか、どれくらいPlayして、意識失くしたんだっけ?? マジで時間の感覚が分からない。 ・・・仕方ない、知未さんを起こすか。 でも、気持ちよさそうに眠っているから、起こすの可哀相だな・・・。 星斗が色々と考えを巡らせていると、ドアをノックする音が聞こえた。 星斗は眞門を起こさないようベッドからそっと抜け出すと、ドアを少しだけ開けて顔を見せた。 そこには、拓未の姿があった。 「起きたようだから、訪ねてきた。少し、ふたりだけで話がしたいのだが」 どこか元気のない拓未の顔が気になる。 「・・・分かりました」 星斗は素直に承諾した。

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