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・・・それはひとりPlay!?
星斗はカートを押しながら店内を進み、周りの視線をわざと浴びまくる。
みんな、俺のことをどんな風に見ているのかな?
『知未さんの隷属』
そんな風に思って見ているのかな・・・?
だとしたら、嬉しい。
誰か、そうなじってくれないかな?
多分、なじられたら、このまま射精 ってしまう。
あー、もうっ、たまらない・・・っ!!
誰か、なじって!
お願い、誰か、なじってっ!!
なんだよ、これ・・・?!
俺は変態じゃない、変態じゃないのに・・・誰か、お願い、『この変態野郎』って、俺をなじってくださいっ!!!
「Stop !」
眞門の怒号とも思えるCommandが後ろから飛んだ。
星斗の動きが反応して勝手に停止する。
星斗は立ち止まってみて、初めて現状に気がついた。
まるで眞門を置いてきぼりにするように、眞門との間に少しの距離が出来ていた。
もう少し進めば、星斗の首輪のタイプ(=ハーフチョークカラー)ではリードに引っ張られるようにして首が絞まってしまう寸前だった。
「俺は?」
その一言に眞門の怒りが全て込められている。
「ご主人様の前でオナニー するなんて、良い度胸じゃないか」
「・・・・・」
「それとも、わざとそんな下品な顔を晒し続けて、俺の前で新しいご主人様でも探してんのか?」
「・・・・・」
星斗はすぐに我に返った。
自分がマズいことをやってしまったとすぐに自覚した。
眞門が怒りに狂いそうになっていることが、繋がるリードからヒシヒシと伝わってくる。
知未さんを怒らせたらいけないのに。
お父様に知未さんのことは俺が守るって約束したのに。
知らない間に、俺は何やってしまったんだ・・・?
Playを全くしてなかったから、Sub性に簡単に飲みこまれてしまった・・・?
星斗はカートを放って、眞門の側にすぐに駆け寄る。
星斗は反省を込めた瞳で眞門を申し訳なく見つめた。
しかし、眞門の機嫌は変わらない。
「どスケベ。ど変態。クズSub」
「!」
星斗は驚いた。
眞門に今までに言われたことがない、蔑む下品な言葉を浴びせられたからだ。
星斗は思わず唇を噛む。
しかし、それは悔しくてや悲しくてではなかった。
やっと、誰かになじってもらえた。
しかも、大好きなご主人様に、だ。
大好きなご主人様に、初めてなじってもらえたことが嬉しくて、益々興奮が高まりそうになって、なんとかそれを押し留めたかった。
「どうしたの? そんな苦しそうな顔して?」
眞門は少し機嫌が良くなったのか、ニヤっとした。
「誰かに、なじって欲しかったんでしょ?」
「!」
「俺に、じゃないなら、もうそれ、オナニーでしょ?」
星斗はすぐに理解した。
「俺は星斗のなんなの?」
眞門が初めて、星斗をなじった理由を。
リードから伝わってたんだ、俺が願ったこと。
だから、知未さんは・・・俺のご主人様だから・・・汚い言葉で・・・。
「お願いがあります」
「なに?」
「今すぐお仕置きしてください」
「どうして?」
「俺は知未さん好みのSubになりたいからです」
「だから、どうしてなの?」
「俺を・・・これ以上、おかしくならないように躾けてください」
「・・・・・」
「どうか、俺を知未さん好みのSubにしてください」
「・・・・・」
「俺を見捨てないで」
眞門は一歩足を進めると、星斗を胸の中に引き寄せる。
星斗が胸の中で顔を埋めると、星斗の後頭部を優しく撫でやる。
「大丈夫。俺はどんな星斗でも見捨てたりしないから」
「・・・けど、俺は知未さんに嫌われるようなSubにはなりたくない。だから、お仕置きしてください。俺が知未さんの嫌いな下品なSubにならないようにお仕置きしてください」
「仕方ないな。じゃあ、星斗はお利口だから、たっぷり躾けてあげるよ」
そう言うと、眞門は不敵な笑みを浮かべた。
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