226 / 311

・・・それはひとりPlay!?

星斗はカートを押しながら店内を進み、周りの視線をわざと浴びまくる。 みんな、俺のことをどんな風に見ているのかな? 『知未さんの隷属』 そんな風に思って見ているのかな・・・? だとしたら、嬉しい。 誰か、そうなじってくれないかな? 多分、なじられたら、このまま射精()ってしまう。 あー、もうっ、たまらない・・・っ!! 誰か、なじって! お願い、誰か、なじってっ!! なんだよ、これ・・・?! 俺は変態じゃない、変態じゃないのに・・・誰か、お願い、『この変態野郎』って、俺をなじってくださいっ!!! 「Stop(止まれ)!」 眞門の怒号とも思えるCommandが後ろから飛んだ。 星斗の動きが反応して勝手に停止する。 星斗は立ち止まってみて、初めて現状に気がついた。 まるで眞門を置いてきぼりにするように、眞門との間に少しの距離が出来ていた。 もう少し進めば、星斗の首輪のタイプ(=ハーフチョークカラー)ではリードに引っ張られるようにして首が絞まってしまう寸前だった。 「俺は?」 その一言に眞門の怒りが全て込められている。 「ご主人様の前でオナニー(ひとりPlay)するなんて、良い度胸じゃないか」 「・・・・・」 「それとも、わざとそんな下品な顔を晒し続けて、俺の前で新しいご主人様でも探してんのか?」 「・・・・・」 星斗はすぐに我に返った。 自分がマズいことをやってしまったとすぐに自覚した。 眞門が怒りに狂いそうになっていることが、繋がるリードからヒシヒシと伝わってくる。 知未さんを怒らせたらいけないのに。 お父様に知未さんのことは俺が守るって約束したのに。 知らない間に、俺は何やってしまったんだ・・・? Playを全くしてなかったから、Sub性に簡単に飲みこまれてしまった・・・? 星斗はカートを放って、眞門の側にすぐに駆け寄る。 星斗は反省を込めた瞳で眞門を申し訳なく見つめた。 しかし、眞門の機嫌は変わらない。 「どスケベ。ど変態。クズSub」 「!」 星斗は驚いた。 眞門に今までに言われたことがない、蔑む下品な言葉を浴びせられたからだ。 星斗は思わず唇を噛む。 しかし、それは悔しくてや悲しくてではなかった。 やっと、誰かになじってもらえた。 しかも、大好きなご主人様に、だ。 大好きなご主人様に、初めてなじってもらえたことが嬉しくて、益々興奮が高まりそうになって、なんとかそれを押し留めたかった。 「どうしたの? そんな苦しそうな顔して?」 眞門は少し機嫌が良くなったのか、ニヤっとした。 「誰かに、なじって欲しかったんでしょ?」 「!」 「俺に、じゃないなら、もうそれ、オナニーでしょ?」 星斗はすぐに理解した。 「俺は星斗のなんなの?」 眞門が初めて、星斗をなじった理由を。 リードから伝わってたんだ、俺が願ったこと。 だから、知未さんは・・・俺のご主人様だから・・・汚い言葉で・・・。 「お願いがあります」 「なに?」 「今すぐお仕置きしてください」 「どうして?」 「俺は知未さん好みのSubになりたいからです」 「だから、どうしてなの?」 「俺を・・・これ以上、おかしくならないように躾けてください」 「・・・・・」 「どうか、俺を知未さん好みのSubにしてください」 「・・・・・」 「俺を見捨てないで」 眞門は一歩足を進めると、星斗を胸の中に引き寄せる。 星斗が胸の中で顔を埋めると、星斗の後頭部を優しく撫でやる。 「大丈夫。俺はどんな星斗でも見捨てたりしないから」 「・・・けど、俺は知未さんに嫌われるようなSubにはなりたくない。だから、お仕置きしてください。俺が知未さんの嫌いな下品なSubにならないようにお仕置きしてください」 「仕方ないな。じゃあ、星斗はお利口だから、たっぷり躾けてあげるよ」 そう言うと、眞門は不敵な笑みを浮かべた。

ともだちにシェアしよう!