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Playを知る④

深い眠りから一気に目を覚ますと、星斗はスイッチが入ったように目が開き、ガバッ!と起き上がる。 そして、すぐに自身の状態を確認した。 ・・・またやってしまった! 全裸であることを確認した星斗はすぐに頭を抱えた。 自分がまた意識を失くすまでPlayに没頭してしまったことをその姿で全て悟る。 俺はどうして、こうも同じ間違いをしてしまうのだろう・・・。 どうして、限度ってものを知らないのだろう・・・。 気づけば、いつも全裸だ。 星斗は毎度おなじみの結末に呆れ果てた。 と、自分は寝室のベッドの上で寝かされていたことに気がついた。 隣には、さっきPlayした時の着衣姿の眞門が眠っている。 俺をここまで運んで、そのまま眠っちゃったってことか? てか、めちゃくちゃ無防備な顔でめちゃくちゃ熟睡してる。 知未さんにしたら、珍しい姿だな。 星斗は、眞門がPlay不足でここ最近、不眠に悩んでいたことは知らなかった。 あまりの熟睡している様子に、起こすのが可哀相だと思った星斗は、ベッドから静かに出て、部屋着を着ると、寝室を出て、リビングに向かった。 リビングに来ると、カーテンを開ける。 「えっ・・・」 星斗は外の景色を見て、驚く。 めちゃくちゃ空が青い。 めちゃくちゃ清々しい。 この空は間違いなく、朝だ。 星斗は近くにある置き時計で時刻を確認した。 【7:23】と、デジタル表示されている。 嘘でしょ?! 俺たち、どれだけ眠ってたんだよ・・・?? Playを終えた昨日の夕方から、今まで眠ってたってこと!? 道理で寝起きから気分がとても良いはずだ。 が、星斗はすぐにその言葉に違和感を覚える。 ・・・違う。 この気分の良さはたくさん寝たからってもんじゃない。 なんだか、生まれ変わった気分だ。 なんだ、これ・・・。 めちゃくちゃ気分が良い。 今日は何が起こっても、上手く笑えそうな気がする。 ・・・だから、なんなんだ、これ!? うまく言えないけど、誰かに許可をもらえた、そんな感じだ。 『お前は自由に生きて良い』 そんな許可をもらえた気分だ。 自分が無職になって、ニートになった時。 所謂、世間の常識から外れた人間になってしまった時。 もう、ここで俺の人生は終わったと思った。 なにやっても底辺で生きていくことになる。 この国で這い上がれることなんてこの先ない。 もう普通の人生は歩めない。 諦めろ。 とにかく、後ろ向きだった。 自分がSubだと判明した時も同じような気分だった。 本当に俺はもう普通には生きていけないんだ。 後はどれだけ恥をかかずに生きていくか。 それだけの人生。 なのに、今日は、普通でなくなったことに喜びを感じている。 俺はもう何も縛られる必要がなくなったんだ。 なんだ、これ・・・? これがPlayの力・・・? これが俺が生きていくためにPlayが必要な理由ってこと・・・? そうだ、昨日のPlayは躾と言う名目で初めて嫌だと思うことをされた。 そして、その後、愛をいっぱいに囁かれ、俺が本当に求めたPlayを与えてもらった。 その激しいアップダウンの中で、俺の中で何かが解放された感じがする。 俺は誰かに見られているかもしれない中で、本当に愛されている姿を見られる快感を得て、悦びの声を上げ続けた。 そして、何度も何度も興奮と絶頂を味わった。 普通じゃない、俺はSubなんだって実感させられた。 だから、もう普通に生きなくて良い。 俺はもう好きに生きていけば良いんだ。 俺はもう普通に生きている人を羨ましがる必要なんてないんだ。 なぜなら、俺は普通じゃなくなったから。 ・・・え、待って。 普通じゃなくなったのに、落ち込まず、なんで、こんな前向きな考え方をしていられるの・・・!? 知未さんとイチャイチャしてた時とは、全く違う気分の高揚感だ。 なんだか、「自分らしく生きていけ!」、誰かにそう背中を押されてる気がする。 ・・・って、俺だ。 俺自身がそう言ってるんだ。 もう、カッコつける必要はないって。 ・・・すごく気分が良い。 なんだ、これ・・・。 どうしよう・・・どうしよう・・・。 Playって、俺がSubで居続けるためにも必要なものだったんだ。

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