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己を知りうる者は・・・②

玄関のドアを開けたのは、青司と別れ、家路に着いた眞門だった。 「ただいま・・・」と、どこか暗く、疲れた表情で部屋に入って来た眞門。 「!」 すぐ目の前の、姿見の前にいる星斗の姿を見て、眞門は分かりやすく驚きの顔を見せる。 どうやら、星斗の新しい髪形を見て驚いているようだ。 「おかえりなさい」 先程の妄想で自慰をしかけたことを何事もなかったような顔をして、星斗は眞門を迎える。 「・・・・・」 眞門は驚いたまま呆気に取られているようだ。 「どうですか?」 「・・・・・」 「似合ってますか?」 「・・・・・」 「首輪(カラー)とも似合ってませんか?」 「・・・うん、まあ・・・」 「・・・・・」 眞門の反応はとても寂しいものだった。 星斗はその状況からすぐに悟る。 知未さんが怒ってる。 この髪形が気に入らないんだ。 「・・・あの、明日、元に戻してきます」 星斗はしゅんとする。 「いいよ」 「だって、怒ってるじゃないですか」 「怒ってないだろう。星斗がそれで良いなら、良いんじゃない」 眞門の冷たい物言いに、確実に怒っていることを星斗は確信する。 「・・・あの、どうしても、首輪(カラー)に見劣りしない見た目にしたかったって言うか・・・その・・・相応しいSubになりたかったいうか・・・もらってすごく嬉しいから・・・その・・・はしゃぎ過ぎたって言うか・・・ごめんなさい。知未さんの気持ちを考えていませんでした。明日、元の色に戻してきます」 「いいよ、そんなことしなくて。って言うか、誰もそんなこと言って責めてないだろう。久しぶりの商談でちょっと疲れてて、うまく反応できなかっただけだから・・・俺こそごめん」 「知未さんには喜んでもらいたかったのに・・・」 何気に洩らした星斗の言葉に、眞門はイラッとした顔を見せる。 が、何も口にしようとはせず、星斗の横を通って、リビングに向かって歩き出す。 「明日の夜、山本さんに会ってきていいですか?」 眞門は立ち止まると、振り返る。 「は?」 その顔は完全に険しい顔に変わっていた。 「お祝いしてくれるって。首輪(カラー)を贈られたって報告したら、見せて欲しいって言われたんで。俺も見てもらいたいんで」 星斗は眞門の顔色を伺う。 「・・・いいよ」 眞門はブスっとした表情のまま了承する。 逆に星斗はパッと笑顔を取り戻す。 「じゃあ、今すぐ山本さんに許可をもらったって連絡しますっ!」 星斗は山本に明日会える(=首輪(カラー)を見てもらえる)と分かると嬉しくなって、上機嫌になってスマホを取り出す。 眞門は星斗のそのはしゃいだ雰囲気が癪に障るが、 「遅くなりそうだったら迎えに行くから、必ず連絡してきてね」 とだけ告げて、寝室に向かおうと螺旋階段に向かう。 「・・・・・」 が、何か思い立ったのか、すぐに立ち止まる。 そして、折り返すと、スマホを操作してる星斗のところに眞門は真っ先に向かう。 眞門は何も言わず、操作する星斗の手の中からスマホを取り上げた。 「!」 驚く星斗。 「なんですか!?」 星斗の戸惑いなど無視して、眞門は強引に星斗の唇を奪う。 「!」 星斗は訳が分からず、眞門を力いっぱいに押しのける。 「なんですか!? お仕置きするんですか? そんなに気に入らないなら、明日、戻してきますからっ!」 「いや」 「・・・いや?」 「すごく可愛い」 「へ?」 「腹が立つ」 「はい?」 「したい」 「へ?」 「今すぐしたい」 眞門は再び、星斗を抱き寄せる。 「!」 「俺の匂いをいっぱいつけたい」 眞門は熱く見つめる。 「!」 星斗はドキっとする。 「でも、Playは禁止するって・・・」 「噛みついて痕をいっぱい残したい」 「・・・・・」 「俺のモノだって、星斗の体中に刻んでおきたい。浮気防止に」 「浮気だなんて・・・」 「だって、腹が立つ。可愛くなると、他のDomに目をつけられやしないか心配になる」 「!? ・・・そんな似合ってますか?」 「ああ。だから、こっちの気持ちも考えてよ。浮気されたらどうしようって心配になるだろう」 「だから、俺は・・・っ」 「Sh(もう黙って)」 「・・・・・」 「主人がやるって言ってたら、やるんだよ」 眞門はそう言うと、星斗に熱い口づけをした。 星斗はいつもと違う始まりのPlayに、何が何だか分からないまま流される。

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