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いざ、温泉旅館へ!⑦
「俺にこれを履けって言うんですか・・・!?」
眞門が旅館の売店で購入してきた下着を渡され、星斗は静かな怒りでワナワナと震えた。
星斗が手にしていたのは、黒のレースのTバック。
「こんなの履いたら、尻丸出しの上にチンコまで丸見えになるじゃないですか! なんで、何もかもスケスケじゃないとここではいけなんですかっ!」
「だって、スケスケが一番イヤらしいからに決まってるからだろう。全部見えたらつまらないじゃないか!」
「誰が今、男の正論を本気で語れなんて言いました!」
「大丈夫だって。スケスケだけど浴衣は下に行くほど濃いグラデーションになってるから」
「さっきから人の話を聞いてます!?」
眞門が言う通り、スケスケ浴衣の生地は上から下へ、薄ピンクから濃いピンクへとグラデーションしている。
試しにスケスケ浴衣の前を合わせてみると、確かに、股間辺りはパッと見はよく分からなくなる。
「本当に履くんですか?」
「エッチな格好した星斗が見てみたいな~」
「・・・・・」
「これって、温泉に来たら男のお楽しみじゃない~?」
「・・・・・」
「同じ男子なら分かって欲しいな~。大好きな子のエッチな浴衣姿が見たいっていうDomの願望~」
「・・・本当に見たいんですか?」
「うん」
稀に見る眞門のおねだりに絆された星斗は、ボクサーパンツを脱ぐと、黒のレースのTバックに着替えてみる。
「じゃあ、これで良いんですね?」
「うーん・・・」
なぜか、眞門がまた渋い顔を見せて、唸る。
今度は何がダメなんだ、と不安になった星斗は、洗面所に行くと、鏡に自分の姿を映してみた。
「! なんだこれ・・・」
男のくせに、なんて恥ずかしい格好をしているんだ・・・。
まるで、本当にエッチな仕事に就いたみたいだ・・・。
そう思って恥じらうも、なぜか、胸の奥ではキュンキュンと、ときめく音が鳴り響いているのも聞こえてくる。
恥ずかしけど・・・知未さんが喜んでくれるなら、まあ、いいか・・・。
眞門のせい、にすることで、星斗はスケスケ浴衣を自分から脱ぐというアクションは取らなかった。
星斗は一応、股間辺りもチェックを入れてみる。
確かに股間辺りはスケスケ浴衣の生地の濃いピンクが重なるので、その先がよく分からなくなる。
星斗は一安心すると、後ろを向いてみる。
「!」
Tバックを履いた丸出しの尻は完全に透けて見えている。
今夜はこの格好で知未さんにご奉仕するんだ、俺・・・。
そして、当然、知未さん以外の人にも見せることになる・・・。
そう思うと、恥ずかしさで胸がいっぱいになるが、なぜか、心の奥ではキュン!キュン!と、ときめく音が鳴りやまない。
星斗は鏡に向かって正面を向く。
俺の顔が凄くイヤらしい下品な顔に変わってる。
心のどこかで、本当はこんなイヤらしい格好をしたいだなんて思っていたりしたのかな・・・?
星斗が自分の中に眠る変態性と向き合っていると、後ろから眞門が抱きしめてきた。
「とっても可愛いよ」
そう言うと、強引に顔を自分の方に向かせ、熱い口づけをしてきた。
口づけを終えると、「だから、下の毛を剃ろうか?」と、提案する眞門。
「へ!?」
「今の下着にはやっぱり毛は似合わないよ。パイパンにしよう」
「マジですか!?」
「今時、パイパンなんて恥ずかしくもなければ、珍しくもないだろう」
「いや、待ってくださいよ。剃るのは全然良いですけど、知未さん以外の人に見られるとなると、また話は違ってきますよ・・・知未さんに喜んでもらえるのは嬉しいですけど、だからってパイパン姿を他の誰かにも見せることになるなんて・・・そんなの初めてだし・・・やっぱり恥ずかしいですよ・・・」
「どうして恥ずかしいの? 俺の為に剃ってくれるのに」
「え?」
「Domに対して、そんな健気なSubを自慢させてよ」
「でも・・・」
「分かった。じゃあ、俺に剃らして」
「え?」
「ずっと思ってたんだ。星斗のことをパイパンにしたいって。絶対、その方が可愛いから」
「なんか、今日の知未さん、少しおかしくないですか? すごく俺を素直に求めてくると言うか・・・グイグイくるじゃないですか・・・」
「だって、隠し事なしって約束したじゃん」
「そうですけど・・・」
「ダメ?」
眞門がギュッと星斗を抱きしめた。
そこからDomの圧がまた伝わってくる。
また、これだ・・・。
この纏わりついてくる圧。
優しいのに、全然逆らえない。
いつか本当の自分を晒してしまう前に、嘘がつけなくなる前に、従わなきゃ。
じゃないと、もっと辱めを受けることになる。
そんな恐怖が優しさの中に散りばめられている。
・・・やっぱり、この圧は好きになれない。
抵抗したいけど、抵抗できないことを悟る星斗。
「じゃあ、大浴場に行った後じゃダメですか?」と、悪あがきとして、軽い抵抗をしてみせる星斗。
「・・・そうだね。体が温まってからの方が肌には良いしね」
眞門は素直にそれを了承すると、星斗が受け入れてくれたことに感謝するように星斗の額に軽く口づけをした。
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