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もうひとつの理由②

「怖い・・・怖いよ・・・知未さん・・・何をしても良いから、どんなお仕置きも受けるから・・・目隠しだけは取って・・・お願い・・・」 「今日は随分と聞き分けが悪いじゃないか」 「・・・そうじゃなくて・・・俺、ダメだ・・・知未さんが見えてないと、俺・・・ダメだ・・・」 「今更、そんなゴマスリ無用だよ」 「違うっ! ねえ、どうして・・・分かってくれないの・・・っ」 星斗はそう叫びと同時に、心が深い闇に落ちていく。 どうして、分かってくれないの・・・? 俺に光を与えてくれたのは知未さんじゃないか。 俺に生きる希望を与えてくれたのは知未さんじゃないか。 だから、俺は知未さんをご主人様に選んだんじゃないか。 お願いだから、俺をまた暗闇の中に投げださないで! だから、お願いだから、今すぐ目隠しを外して!! 「・・・お願いします。お願いします・・・いっぱい謝るんで、許してください・・・何でもしますから許してください・・・お願いします・・・お願いします・・・見逃してください・・・」 星斗の訴えは悲壮なものに変わっていく。 「星斗・・・?」 Dom性の暴走に襲われていた眞門もさすがに星斗の異変をおかしく思い始める。 「あなたたちをDomだと知らずに傷つけて申し訳ありませんでした。反省しています。だから、許してください・・・なんでもしますから・・・いくらでも謝りますから・・・あーっ、もうぶたないでください・・・っ、お願いします・・・叩かないで・・・っ、イヤだ、痛い・・・っ、許して・・・怖い・・・怖いよ・・・」 そう怯え、泣きながら訴えると同時に星斗の体は負の感情で覆われていく。 イヤだ・・・怖い・・・イヤだ・・・怖い・・・イヤだ・・・怖い。 負の感情と連動していくように、星斗も口走る。 「イヤだ・・・怖い・・・イヤだ・・・怖い・・・イヤだ・・・怖い」 まるで呪われたように唱えだす。 イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ、イヤだ・・・。 星斗の体は完全に負の感情で満たされる。 「イヤだ・・・イヤだ・・・イヤだ・・・イヤだ・・・イヤだ・・・」 「星斗・・・?」 「誰か助けて・・・誰か助けて・・・お願い、今すぐ誰か助けて・・・っ」 「・・・おい、大丈夫か?」 星斗の様子を心配した眞門が星斗に手を伸ばした瞬間、 「知未さん、さようならっ!!!」 と、星斗は自発的に絶叫した。 どうやら、以前、明生に掛けられた暗示《星斗がSub dropに落ちようとするとその寸前にsafe wordを自動的に口にする》の効力がまだ続いていたらしく、星斗の心と連動し発動してしまったようだ。 「!!!!! ぅぐっ・・・」 眞門は鈍い声を洩らすと共に、その場に崩れ落ちた。 眞門が床に崩れ落ちたことで、ドスンっ!と物凄い音を立てた。 その音のお陰で、星斗はSub dropの寸前から意識を取り戻した。 「・・・え、知未さんっ!?」 星斗は眞門に何かあったと察し、声を掛ける。 「う・・・う゛・・・う・・っ」 痛みにのたうち回る眞門の声だけが星斗の耳には聞こえてくる。 「どうしよう・・・っ、どうしよう・・・っ」 スツールに縛られて身動きが取れない星斗は狼狽える。 と、二人の様子を監視するよう拓未から頼まれていた女将と諒が、「大丈夫ですかーっ!」と、慌てて駆け込んできて、ふたりを助けに入った。

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