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進むべき道④

「ヤダよ、俺、まだ死にたくないよ。星斗にしたいこと、まだほんのちょっとしかしてないし・・・それに、なりたかったDomにもなれてないし。俺、どうすれば良いんだよ? ねえ? 俺、どうすれば良いのっ!」 「だから、側に居てください。で、なりたかったDomになってください。俺をもっと知未さん好みのSubにしてください」 「・・・あーっ、もうっ!」と、声を大にして叫ぶと、「・・・分かった。明日から会社に復帰する。で、治療法を必ず見つけるっ! 約束する!!」と、まるで宣言するように叫んだ。 眞門は星斗はまたギュッと抱きしめる。 「だから、もう二度と『一緒に死んでください』なんて悲しい言葉は言わせないから。これで別れようって言ったことをなかったことにしてくれる?」 「はい」 「ごめんね、またいっぱい傷つけて」 「いいんです。こうやって、知未さんがまた抱きしめてくれたら。これがご褒美になるんですから」 「またそうやって、甘やかす」 「知未さんは全然何も分かってないんですよ、俺のこと。俺がこの胸の中に抱かれることがどれだけ幸せなことだと思っているか」 星斗はとても安らいだ顔で眞門の胸に顔を埋めた。 「・・・あっ」 と、星斗は思い出したように、小さな声を上げた。 「・・・そうだ、知未さん、俺の首輪を知りませんか? ハーフチョークの首輪。旅館で知未さんに外してもらってから、見当たらなくて」 「ああ、あれなら、俺がずっと持ってるよ」 眞門はハーフチョークの首輪をポケットから取り出す。 「良かった~」と、安堵する星斗。 と、何を思ったのか、ソファから降りると、星斗を見つめて、眞門は片膝を突ついた。 「渋谷星斗さん。改めて。俺と結婚してください」 「勿論、喜んで」 星斗が了承すると、眞門は星斗の首にハーフチョークの首輪を再び取り付けた。

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