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 駐車場で隆人と一緒になり、車で本邸に戻った。  そのまま禊ぎをするという。朝と同じく隆人と二人きりで禊ぎの場に行った。日が完全に昇った分、気温は上がったようだが、滝からの細かいしぶきに髪もまとってきた浴衣もすぐに湿り気を帯びた。岩の上に浴衣を脱ぎ捨て、ざぶざぶと川の中へ入る。  朝よりも念入りに身を沈め、息を止めて水に潜る。  禊ぎを済ませた体は、白の長襦袢と長着を着付けられた。下着は履いていない。  これからが鳳と凰の儀式だ。  世話係に前後を挟まれ、隆人とともに鳳凰の間に通された。今日はいつも閉じている障子が開け放たれ、ぐるりと巡らされた縁側の向こうのガラス戸を通して庭が見えた。(かえで)が色づき始めている。  そして鳳凰の間の凰の座所「鳥籠」の前に二人が十分に寝られる幅の白い布団が敷かれている。  そのシーツの上で、遥は隆人と向きあい、座った。 「障子はあのままなのか」  遥の問いに隆人が頷く。 「鳳凰様にお目に掛けるのだ。俺たちも供物のひとつだからな」  遥は笑った。 「夏の花火の時と言い、本当に睦言がお好きなんだな」 「お前も嫌いではあるまい?」  隆人の手に頬を撫でられ、背がぞくりとした。低く笑う。 「まあね」  ゆっくりと口づけを交わす。隆人の首に腕を回し、自らシーツに倒れ込んだ。  口内を這いまわる生き物のような隆人の舌が気持ちいい。上顎をくすぐられ、舌の下まで潜り込まれて、甘えたような息をこぼす。  隆人の角帯の結び目をほどく。しゅっと絹の擦れる音が耳に心地よく響く。  隆人の手が強引に長着の胸元に差しこまれてきた。長襦袢に触れて立ってしまった胸粒を爪で掻かれ、びくりと走る甘い疼きに身をよじる。 「帯、解けよ。きつ……」  そう遥は訴えたが、隆人は帯はそのままに遥の長着と長襦袢の前をくつろげ始めた。 「何考えてんだよ」  肩から胸をあらわにされ、恥ずかしさと期待に鼓動が速まる。腕に袖が絡まり動きにくい。  隆人は自分で帯と腰紐を取り去り、長着を脱ぎ捨て、長襦袢姿だ。 「たまにはいいだろう、こういう趣向も」  遥の乱れた裾を広げ、白い膝の間に身を置いた隆人が、再び口づけてくる。その首に腕を回して、遥からも隆人の口内を犯す。それを罰するかのように、胸の尖りに爪を立てられた。 「んっ」  胸の痛みが下腹に稲妻のように走り、びくんと体が跳ね上がった。摘ままれ、指の腹で転がされても、抑えきれない悦びが下腹へ走り、腰が揺れてしまう。  遥は隆人の唇に歯を立てた。隆人が身を離す。顰めた顔を、遥はにらむ。 「胸ばかり弄るな」  隆人が笑った。 「凰様はこちらをご所望か?」  帯下の着物と長着の前をぐいと開かれた。すっかり張りつめ、快楽に飢えた欲望が淫液を滴らせている。隆人の手がそれを包みこみ、ぬるぬると広げる。 「あっ、は、そう、でない、と……」  くちくちと先端を親指で撫でられ、全体を上下に擦られる。胸の尖りに歯を立てられては、癒やすように舌でとろとろと舐められ、熱い吐息が零れる。目を閉じて遥は快楽を甘受する。奥から込みあげる悦びは、波のように遥を追いかけ、飲み込み、高みへと運ぼうとしてくる。  遥が意識も飛びそうな波の頂きに持っていかれそうになった瞬間、隆人が手を放した。 「ああっ」  落胆の声が漏れた。開けた目は潤んでいて、隆人の表情がにじんでよく見えない。 「じらすなよ」 「そういうわけではない。もっとお前を善くしてやりたいだけだ」  そう言うと隆人が枕元にあったジェルのボトルを手にした。隆人の両手がジェルに塗れる。  隆人の左手の指が後ろへ潜りこんできた。同時に前も再び右の手のひらに包みこまれる。 「ひあっ」  両方の刺激に遥はたまらず、身を捩ってずり上がろうとした。しかし隆人がそれを許さない。前をしっかりと握りこまれて、擦られる。後ろの指は増やされ、遥の内を蠢き、探る。  内部の違和感は外からの快感に打ち消され、遥はシーツの上で身悶えるしかない。いずれ隆人の指は遥の快楽の源を暴くだろう。それを(しゃく)に思いながらも、自ら腰を振ってしまった。 「ん、あぁっ」  指がそこを押した途端、目も眩む絶頂に到達した。背を浮かせた遥の悦びの証しが飛び散る。長着にも長襦袢にも帯にも。 「あっ、は、う……」  びくびくと続く解放に、細く声が漏れる。 「いい声だ」  笑いを含んだ熱い声を耳に吹き込まれ、ぞくりと震えた。 「もっと大きな声を出せ遥。障子を開けているのに鳳凰様に届かないぞ」 「ん、それが、供物、ん、なのかよっ、あっ」 「そうだ。俺たちが、捧げるのは、睦まじさだ」  隆人の指は更にそこを揉み、撫でる。顔を横に向けて湧き起こる滾りに必死に耐える。 「こっちは、イッた、ばかり、うっ、もっと、遠慮し、くぅ……」  遥の訴えを無視して、指は中を柔らかく弄ぶ。 「こ、の……」  一方的に責めてくる隆人の中心を、長襦袢の上から遥は掴んだ。それはしっかりと頭をもたげ、硬く張りつめている。 「とっとと、これを挿れろ。搾りとってやる」  隆人がため息をついた。 「品のないことを言うな。儀式中だぞ」 「雌雄和合を示すんだろう?」  遥はにこりと笑った。 「俺もあんたを悦ばせたい」

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