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 ごくりと隆人の喉が鳴った。遥は笑んだまま不自由な腕を隆人に伸ばした。隆人が遥の体の上にのしかかってくる。  また口づけを交わす。何度も角度を変えながら、互いの口腔を貪りあう。遥の若い欲望は再び熱を持ち、隆人を誘うように揺れる。  隆人が自らの長襦袢の前を割った。さらけだされた屹立が、明らかに遥を求めて雫を落とした。  遥は膝裏をあげ、先ほどまでほぐされ続けた後孔をさらした。ぬるりとした先端が押しあてられる。  その瞬間は今でも慣れない。異物を体が拒否しようとする。遥は力を抜くことに意識を集中する。ゆっくり息を吐き、隆人を迎えた。  狭い輪を通った屹立が一気に遥の中を広げ、揉まれて愉楽に飢えた弱点を擦る。 「ああっ、そこっ」  顎が上がり、背も浮いてしまう。その上、隆人の指が胸の尖りを指先で、爪で苛む。感じすぎる体がシーツの上を左右にのたうちながら、隆人をもっと呑みこもうと蠢く。それに応えるように、隆人が腰を使い始める。 「は、あっ、いい」  遥は隆人の首に手を伸ばし、絡めた。  体が芯から熱を発している。それが皮膚まで達し、うっすらと汗をかく。隆人もまた、しっとりと首筋に汗をにじませている。 「はるか……遥……」  隆人に名を呼ばれながら、胸を摘ままれたまま浅く深く抉られると、体中をビリビリと刺激が走り抜ける。頭の中まで痺れて、自分が上げる声を抑えられない。 「た、かひと、もっ、と奥まで……」 「ああ、わかった」  繋いだまま俯せにされ、シーツに顔を埋める。膝をついた遥の腰は掴まれ、背後から隆人が緩やかに再び抽挿を始めた。それは徐々に速さを増し、一突きごとに遥の狭い最奥を狙ってきた。 「あっ、ひ、いいっ、たかひっ、あっ」  瞼の裏に極彩色の花火が散る。夏鎮めで見た美しい光景。  隆人とまた結ばれている。儀式の形を取っているが、隆人の遥に向ける気持ちがこの情交に込められている。そして、遥も。 「た、かひと、たかひと……」  全身を歓喜に揺さぶられながら、愛しい名を呼ぶ。 「はるかっ、はるかっ」  今まで感じたことのない深い場所で隆人を受けとめている。遥は呼吸を乱した。涙がシーツに吸い込まれる。 「もう、もう……だめ、イく、イくからぁ」 「わかった。俺もだ、遥」  肉がぶつかる音をが遠く聞こえる。花火は真っ白な閃光に変わり、遥の目をふさぐ。どうしようもない喜悦に追い詰められ、遥は声を震わせながら、喘いだ。 「ん、あっ、ああぁぁっ」  遥の熱が一気に上りつめ、爆ぜた。責められる内襞が熱杭を搾りあげる。 「うくっ」  声を漏らして隆人の精が注ぎこまれるのがわかる。遥の中はうねり、隆人を逃がさない。 「よく、締まるな」  遥はシーツに爪を立てた。 「あんたが、また、胸を弄るから、だ」  隆人の手が遥の桜色の粒を転がしては、爪を立てて引っ掻く。その度、びくと体が跳ねて、まだ中に収まっている隆人を刺激してしまう。 「好きだろう?」  隆人が遥を抱えたままシーツに横になった。片方の手で胸へのいたずら止めずに、もう一方の手で二度達した遥をやわやわと擦る。 「ああっ、もうっ」  たまらず遥は隆人の胸の中で泳ぎ回る。その間に、隆人自身も力を取り戻し、遥の肉を押し広げていく。  遥は五度目の遂情で、音を上げた。隆人の手を濡らした精は透明だった。 「も、むり……」  全身の力を抜いて、仰向けに身を投げ出した遥を、隆人が優しい目で見おろしていた。それがくすぐったくて、遥は視線を逸らした。  隆人が遥を抱いた。 「よく耐えたな」  口を尖らせた顔を、隆人の胸に埋めて隠す。 「ほめられてもうれしくない。ったく、恥ずかしい」 「捧実は特別だからな。悦びの祭だ」 「身が保たない」 「遥」  甘い声に顔を上げる。そっと口づけが落とされた。 「疲れているだろうが、もうひと頑張りだ。正座しろ」  隆人が小声で言いながら、乱れた遥の長着などを整えてくれた。重い体を起こし、遥は布団の上に正座する。体内から漏れだすものは気持ちが悪いが、居住まいを正すのは儀式ゆえのことなのだろう。  隆人が遥の隣に座ると、パンパンと手を叩いた。控えの間の襖が開く。  正面に碧と俊介を最前列に、世話係と樺沢達夫が勢揃いしていた。 「御用、承りまする」  声を合わせてそう言った碧と俊介に、隆人が告げた。 「我ら鳳凰和合の証し、御捧げ奉りき」 「ありがとう存じまする」  控えていた全員が深く頭を下げた。 「これにて今年(こんとせ)のすべての実、捧げ奉ることを果たしき」 「おめでとうございまする」  隆人が息を吸い、達夫へ視線をやった。 「捧実の儀は無事成った。皆よく働いた。あまねく者どもへ感謝を伝えよ」 「かしこまりましてございます」  達夫が平伏してから、後ろへにじって控えの間を出ていった。 「身を清める。湯殿へ案内(あない)せよ」 「はっ、どうぞおいでくださいませ」  隆人が立ちあがった。遥もそれに続こうとしたら、隆人に横抱きにされた。慌てて首に腕を回しつつも、苦情を言う。 「俺は女の子じゃないぞ」 「わかっている。可愛いつがいだ」  その言葉に遥は体がかっと熱くなった。口を開けばからかわれそうで、唇をひき結んだ。  前を碧と俊介が歩き、後ろに紫と則之が従っている。  鳳凰が揃って入浴する広い浴場の脱衣所で遥は下ろされた。俊介と則之の手で着ていた物を脱がされる。そして、同じように全裸になった隆人に手を繋がれ、浴室に入った。

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