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第7話
小さいけれど筋肉質で手足の長いバランスの良い体を、バネのように弾ませながらレシーブの練習をしている先輩はしなやかで美しく、さっき話しかけてきた気さくで明るい人とは別人のようだった。
ギャップの大きい先輩の姿に目が釘付けになっている僕に、別の上級生が話しかけてきた。
「あいつ、すごいだろ?今はリベロだけど、中学時代はエースアタッカーだったんだぜ。ジャンプ力も半端ねえからな。高校に入ってあっさりリベロに転向した時は驚いたよ。あの身長じゃ仕方ないけど、もうちょっとアタッカーにこだわるかと思ってたから、変わり身の早さが意外だったな。でも、おかげであいつが拾いまくってくれるから、俺らは打ちまくれる。お前みたいなでかい奴がアタッカーとして入部してくれたら、あいつも拾いがいがあるんじゃないかな」
最後の一球を体を投げ出してレシーブした後、床に転がって息を整えていた先輩が起き上がる時、僕の方を向いた。
汗ばんだ額に黒い巻き毛が垂れ、上気して赤く染まった頬が思いがけず色っぽくて目を奪われていた僕と先輩の視線が絡まって、ほんのしばらく僕らは見つめあっていた。
僕の心臓がドキンと大きく波打ったとき、先輩はふっと笑うと軽やかに身を翻して走って行ってしまった。
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