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第13話
「先輩、好きです。今日も超カッコよかったです」
夢なのだからこの際触ってみてもいいだろ、と僕は手を伸ばし、先輩の頬にそっと触れてみた。すべすべした柔らかい頬は夢の中でも気持ちよく、幸福感に浸りながらしばらく撫でていた。
「…ん?」
あまりにリアルな触り心地に、僕は目を覚ました。
我に返った僕の目の前に、僕に頬を撫でられて真っ赤になった先輩が座り込んでいた。
「せっ、先輩!」
「…おう、今日の鍵当番は俺だからな。片付けが終わったかと思って見に来たらお前がひとりで寝てるから、起こそうと思って近寄ったら…」
先輩はそこで今度は首まで赤くなった。
「先輩、あの、僕…」
「へ、変なこと言いやがってさあ!」
「変なこと…」
「俺がかっこいいとか、す、好きだとか…」
「や、あの、ゆ、夢かと思って、まさか本物とは思ってなくて」
真っ赤になって眉間にしわを寄せている先輩を見て、さっきまでの幸せな気分は吹き飛んでしまった。
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