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第14話

男の先輩に好きだと言い、頬まで撫でてしまった。 僕は慌てて立ち上がると、深々と頭を下げた。 「気持ち悪いこと言ってすみません。ホントにごめんなさい」 謝っているうちに、男のくせに男が好きだという普通ではない感情がバレてしまった、もう部活をやめるしかない、でもそうすると先輩に会えなくなる、と頭の中でぐるぐると考え、不覚にも、涙が滲んで来てしまった。 下げた視線の先に見える先輩のシューズがぼやけ、鼻がツーンとして来た時、頭をポンポンと叩かれた。 「今言ったこと、本心?」 「え…?」 顔を上げると、先輩が腕を組んで立ち、僕を見ていた。 「俺、お前とよく目が合うと思ってた。俺がいつも見てるせいかな、って。でも、目が合うとすぐ逸らしてたから、気味悪がってるのかとも思ってた。だから、なるべく見ないようにしようとしてたのになんかいつも俺の周りをチョロチョロしてるし、視界に入ってくると見ちゃうし…」 薄暗い体育館で、うつむきがちに話す先輩の顔はよく見えなかった。練習着から制服に着替えていたが、ブレザーは着ておらず、カッターシャツのボタンを2つ外して、白い胸元が見えていた。

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