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第16話
「僕も初めて先輩を見たときに一目惚れして、運動オンチなのに入部して…」
「お前、大変そうだよな」
「はい…、みんなに迷惑かけていることは分かっているんですけど、先輩の近くにいたくて…」
先輩が僕の背中に手を回して、ギュッと抱きしめてくれた。
「俺、こんなにちっこくて顔も子供っぽくて、性格もガサツで、お前に好いてもらえる要素なんて何にもないと思ってた」
「先輩は、コートにいる時は誰よりも存在感があって、かっこいいです。いつも笑ってて明るいとこも、だ、大好きです。それに…」
「いつも笑ってるとか、なんかアホっぽくて褒めらてる気がしないんだけど。…で、それにってなんだよ」
僕は消え入りそうな声で答えた。
「先輩の小さいとこも好きです」
「は?やっぱ、バカにしてんな⁉︎」
先輩が僕の腕を解こうとしたので、抱きしめる腕に力を入れた。
「いやっ、あの、この腕の中にすっぽり収まる感じが…、気持ちいい…」
先輩が黙ってしまったので慌てて顔を覗き込むと、真っ赤になって僕をジロリとにらんだ。
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