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第17話
「変態」
「ああっ!すみませんっ‼︎」
泣きそうになって謝る僕の胸に顔をうずめて、先輩は言った。
「俺、ガキの頃からずっと小さくて、バレー始めてからも全然背が伸びなくて、高校に入ったら中学の時とは比べものにならないくらい部員のみんながでかくて、少しくらいジャンプが高くても歯が立たなくて、自分からリベロに転向したけど、ホントは悔しくて悔しくて…」
「先輩…」
「…でも…」
「…」
「でも、今、生まれて初めて小さくて良かったって思った!」
そう言うと、僕の頭を両手で掴んでぐいっと引き寄せ、その小さくてかわいい唇を僕の唇に押し当てた。
今度こそ、僕は本気で願った。
時間よ、止まれ‼︎
先輩と僕は服を着てからも、しばらくベッドの上でキスをしたりしてじゃれついていたが、もうそろそろ僕の親が帰って来るから、と言って先輩は帰っていった。
先輩のいなくなった部屋は妙にがらんとして、この時間が僕は嫌いだった。
そして、今日も先輩をがっかりさせたことで、僕の悩みはますます深くなっていった。
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