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第25話
夏休み以降、学校は体育祭や文化祭、部活は県予選に向けての練習などで毎日忙しく、相変わらず二人きりになれる時間はほとんどなかった。
それでもなんとか時間を作って、今日また先輩をうちに呼び、再びチャレンジして見たが、この体たらくなのだ。
先輩の体が大きくなる訳でも、僕が小さくなる訳でもないのだから、状況に変化は無く、気持ちを切り替えるきっかけもつかめなかった。
先輩の腕に抱かれるような体勢で寝そべり、僕の髪を梳きながら優しく頭を撫でてくれている先輩の顔をそっと見た。
思ったほどがっかりしてないのか、微笑みながら目を閉じていた。
僕は理系が得意なので、物理の授業は基本的には好きだ。
先生の言っている難解な法則などを、脳味噌をフル回転させて理解に努めていると、集中力が研ぎ澄まされていく。頭の中がクリアになっていくのを感じるのは心地よい。
だが、今日は全然集中出来なかった。
先生の声は僕の頭上をつるつると滑っていき、何も聞いていなかった。
気が散っているのは先生にもバレているようで、何度か咎めるような視線を向けられた。今日は全ての授業がこの調子だ。
何も手につかない。
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