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第27話
彼は、僕に着いて来るように顎をしゃくると、昼食時でざわついている教室を出て、渡り廊下の隅まで行き、くるりと振り返ると僕の腕を掴んで言った。
「あのさ、さっきの事、誰にも言わないでくれよ」
「も、もちろん、誰にも言ったりしないよ」
「ありがとう。じゃ、ヨロシク」
何の言い訳をするでも無く、彼はあっさりその場を去ろうとした。
「ままっ!待って‼︎」
今度は僕が思わず彼の腕を掴んでいた。
放課後、誰もいない空き教室にクラスメートの男子を連れ込み、慎重に先輩の素性を隠しながら、僕は自分の悩みを告白した。
彼が背中に隠していた恋人も小柄だったので、何か教えてもらえるかもと思ったのだ。
自分の性癖を特に言い訳しない潔い態度も好ましかった。
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