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第29話

「こうだと思ってたのが…」 と、言いながら彼は自分の右手の人差し指と親指で丸を作ると、左手の人差し指を差し込んだ。そして、今度は左手の指で丸を作ると右手の指を差し込み、 「こう!」 「?、…、!」 指の意味するところに気づいて、僕はカーッと顔が赤くなるのを感じた。 「彼氏に言ってみろよ」 彼は笑いながらそう言うと、赤くなって固まっている僕を見上げて言った。 「もし、出来ないってフラれたらオレに言って。お前、可愛いからオレが抱いてやるよ」 「なっ…」 「冗談、冗談」 びっくりして言葉に詰まった僕にウインクすると、彼はカバンを肩にかけて教室を出て行った。 僕はしばらく動けなくなって、部活に遅れてしまった。

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