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第30話

高身長と日頃の頑張りのおかげで、春の全国大会の県予選で僕も補欠のブロック要員としてベンチ入りすることになり、今まで以上にしごかれる事になった。 アタックを何十本とブロックし、レシーブを何十本と受ける。攻撃のパターンを覚え、繰り返し練習する。先輩も他の上級生たちも、今回ベンチに入らない部員たちもみんなで僕をしごき、お互いをしごきあった。 おかげでクラスメートに言われたことは、頭の片隅に追いやって考えることを保留にしたままだった。 先輩はムラムラする気持ちをボールにぶつけることにしたらしく、いつになく鋭いサーブを打ち、レシーブ練習ではエゲツなくボールに食いつき、コーチを喜ばせていた。 まとまった時間が取れないので、練習後や昼休みにちょっとだけ会って抱き合ってキスをする、しばらくはそんな日々が過ぎていった。 県予選はベスト8までいった。僕も何度か出してもらった。日頃は二人の仲を隠すために、ことさらクールに接している先輩が、今回はよほど心配だったのか、僕がコートに入る度に駆け寄ってきて肩を叩いて励ましてくれた。 大きな後輩を気遣う小さな先輩の姿に会場が何度も和んだ。

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