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第31話

全国大会には県予選の優勝チームしか行けないので、今年度の試合はこれで終わりだ。 先輩たち3年生はこれで引退、推薦で大学に行く3年生は別にして、一般入試で大学を受験する先輩たちは、これから受験勉強としてはかなり遅めのスパートをきる。 3年生の先輩を好きになって以来、引退はあえて考えない様にしていたが、避けられない事実だった。先輩に恋い焦がれていた片思いの頃は、先輩が引退したら立ち上がれないと思っていたが、今では手の中にガッチリと捕まえている相思相愛の恋人同士だ。引退、卒業の試練は歯を食いしばって耐えるしかない。 付き合い出してしばらくたった頃、先輩が卒業後の計画を話してくれた。 体が小さいので、大学ではバレーは趣味程度にしておくこと。教育学部に進学し、将来は小学校の先生になって、子供たちにバレーボールの楽しさを教えたいと思っていること。 秋が来て、願書を出す時期になり、先輩は地元の国立大学を第1志望、少し離れた他県の公立大学を第2志望、後は関東や関西の大都市圏の私大を何校か、と確定したらしい。 遠くに行って欲しくない僕は、何とか第1志望に合格するようガンバってくださいと言うと、A判定まであと少しということだ。

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