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第32話

都会の私大の方が、受験科目は少ないしネームバリューもあると思うのだが、地元に残ることを最優先に考えてくれているのは僕のせいなのか、とうぬぼれて先輩に表向きは申し訳なさそうに、本音は心から嬉しそうにそう言うと、 「バカ、お前のためばっかじゃねえよ」 と、少し怒ったような口調で言った。 僕はやはりうぬぼれが過ぎたとしゅんとしていると、先輩が僕の頭をくしゃくしゃと乱暴に撫でた。 「お前のためとか、ホントにそうだったら重すぎんじゃん」 軽く突き放しては、それ以上の勢いで引き戻してくれる先輩に大いに翻弄されながら、僕はもしもいつか先輩と別れる時が来たら、もう生きていけないんじゃないかと思い、重いのは僕の方だと自戒した。

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