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第35話
ベッドに二人で腰掛けると、僕は先輩の手を取った。
「今日も親父もお袋も仕事で遅くまで帰って来ません。高校生にもなる息子と今更、クリスマスを過ごそうなんて、うちは思わないんで」
「うん」
先輩は、僕が先輩の手をギュッと握っているのを見ながら頷いた。
「僕、怖かったんです。先輩の体を壊すんじゃないかって。僕のって、ほら大きいでしょ」
「自分で言うか?」
「ふふ、クラスの奴にも言われました」
先輩の顔が曇ったのを見て、慌てて僕は言い訳した。
「たまたま彼も男子と付き合ってるのを知ったんです。で、ちょっとだけ相談してみたんです」
「俺には何も言わなかったくせに」
「すみません。先輩に嫌われたくなくて。僕、先輩に痛いとか苦しいとか、そんな思いをさせるなんて想像も出来なかったんです」
僕は、先輩の手を握る指に力を込めた。
「…それで、彼に言われました。反対なんじゃないかって」
「反対?」
「…つまり、僕が先輩に、じゃなくて、先輩が僕…に…」
そこまで聞いて先輩は僕の言っていることを理解したようで、いきなり耳まで真っ赤になった。
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