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第8話「嫉妬」

「んっ、おい、抜けっ、てば」 重だるい身体は汗ばんでいて、今すぐシャワーを浴びに行きたい。 「お願い、あともう1回だけだから」 「んぅッ、ンッ」 ゆさ、と腰を掴まれて揺さぶられる。 後ろから差し込まれ、ググッと奥に入ろうというそれの感触に、義人は低くうめきながら突っ張っていた腕を崩して枕を抱え込んだ。 尻だけ高く上げられていて、まるで藤崎に穴を差し出しているような体勢になっている。 「く、おんっ、あっ」 夕飯は結局、コンビニで弁当を買った。 すぐ食べる気で家に帰ってきた義人が手を洗うと、藤崎は何故か先に「風呂入ろ」と言って嫌がる義人をテキパキと脱がせ、風呂場に連れ込んで、予想通り彼の後ろの穴を重点的に洗ってきた。 「皆んなが帰ったらすぐって言ったよね?」 向けられたのは優しく美しい笑顔だったが、妙に恐ろしかった。 そこから、弁当を温める事もなく寝室に連れ込まれ、押し倒され、キスをされ、ゆっくりとセックスが始まり、気付けばもう朝になっていた。 ヤキモチを妬かせただけでここまでされるとは思っていなかった義人は、今後はこんな事が起こらないように常に気を配ろうと誓ったのだった。 午前5時を回った針が棚の上の時計で確認できる。 窓からもカーテン越しに柔らかい朝の日が差し込み、何処か遠くで鳩が鳴く声も聞こえた。 そうだと言うのに、部屋には未だに素っ裸でセックスをしている2人がいる。 義人としてはもう勘弁してほしいと何度も言っているのだが、藤崎は6回目の「あともう1回だけ」をまた口にしていた。 「久遠、だめ、す、すぐイくから、っん、もう本当に、やめて」 動いていなくても後ろの穴に藤崎の性器がずっぽりハマっていると言うだけで義人は身体が甘く痺れた。 ぐずぐずに解された身体はあちこち感度が高まっていて、苦しいくらいに声が我慢できない。 ゴホッ、と咳き込んでからやっとの思いで後ろの藤崎を振り向いて涙ながらに訴えたが、当の本人は義人を見つめ返して愛しげに目を細めただけだった。 「可愛い。すぐイクの?」 「ぁあんッ」 ぐうう、と体重をかけられて、ものが穴の奥まで入ってくる。 「やめてッ、やめッ、あ、ぁ、アッ!アッ!」 パンッ パンッ パンッ 肌のぶつかる音が再び響き始めると、義人は枕を両腕で抱えながら背中を弓なりに反り返らせて高い声で喘いだ。 それが何時間も続いていて、流石に声は枯れ始めている。 何も悲しくはないが、気持ちの良さと疲れと訳の分からなさで、先程から奥を突かれる度にぽたぽたと涙が溢れて枕の表面にシミを作っていた。 藤崎は義人の細い腰を掴み、自分が腰を突き出すと強く引き寄せてより奥に性器を滑り込ませ、穴の入り口がグン、と締まる感触を確認しては満足そうに荒く息を繰り返して微笑んでいる。 「可愛い、義人、可愛い。声が枯れてきちゃったね。あとでココア入れよう、ッん、可愛いね、ぎゅうぎゅう締められると嬉しいなあ」 「違うッ、しえて、締めてないッ!も、やめろ、やめろって、あんッ、やめ、あんっ!んっ!久遠、だめ、久遠ッ!!」 「可愛い、どうしよう、可愛い、可愛い」 派手な音を立ててベッドが軋んでいる。 これで近所から一度も苦情が来た事がないのだから不思議だった。 義人が自分達の部屋の真上も真下も誰も住んでいないのだろうと思っているくらいには、セックスの音で近所から怒られた事はなかった。 「もうダメ、も、あっあっ、!」 一層切ない声で義人が喘ぎ始めると、藤崎は「イキそうなんだな」と察して彼が1番感じる角度や速度で腰を打ちつけ始める。 「あぁあッ、何で、何でそれ、するんだよおッ」 途端に段違いの気持ちの良さが押し寄せてきて、義人は泣きながら、腰を掴む藤崎の手を離させようと押してくる。 が、まったく力が入っておらず、藤崎としては「可愛いなあ」程度にそれをチラリと見ただけだった。 「これが1番好きだろ?義人が喜んでくれることしたいんだよ」 「ああぅッ!!んんっ、うれじぐないッ!ゔっ、んんゔッ!!」 寝室に立ち込めたこの湿気をまとったすえた性の匂いを、どうにか昼までには窓を開けて外へ出してしまいたかった。 夜通し続いたセックスのせいで、睡魔がすぐそこまで迫っている。 今日は午後から大学に行かなければならないと言うのに。 「やめろ、おッ!!だめッダメッ、んあっ、あっ、だめッ!き、もち、イッ、あっあっ、あうっ、あっ」 「んっ、なに?聞こえない、義人。はあ、んっ、可愛いのに聞こえない。ちゃんと言って」 自分の足の間で、藤崎のものよりかは少し小さく感じるそれがぷるんぷるんと尻の穴を突かれる度に揺れている。 前戯で散々しゃぶられ、2回程は藤崎の口の中に射精させられたのだが今はまた元気に膨らんで勃起し、吸い尽くされたと思っていた先走りの精液を先端からだらだらとだらしなく垂らしていた。 「あんッ、ん"いッ!!気持ちいいッ、、気持ちいい、気持ちいいッ」 射精が迫って更に訳が分からなくなった義人は泣きながら藤崎が自分の腰を引き寄せる動きに合わせて尻を突き出し、快感を求めて藤崎のものを咥え込んだ。 前立腺を圧迫されて、あまりの気持ち良さにまた高い声を漏らす。 「あ、ぁあっダメ、ダメ、んんぅッ!ご、ごめん、久遠、も、イクッ、イクッ!!」 穴の中の肉壁を擦り上げられるたび、悲鳴に似た喘ぎ声が上がる。 藤崎は焦点が定まらない義人の目を見つめて、嬉しそうに笑いながら彼の腰を掴む手に力を込めた。 「可愛いね、ンッ、でも勝手にイかないで、義人。なんて言うの?聞かせて」 意地悪い声だ。 義人は枕に唾液を擦り付けながら、ヒッヒッと吸えるタイミングで小さく息を吸う。 久々に、意識が飛びそうな程に藤崎に抱き潰されていて、しでかしてしまった事の大きさやら責任やらを感じつつも、気持ちの良さに溺れそうで、久々に時間をかけたセックスにも愛されている実感がグツグツと込み上げていて興奮が収まらない。 「イクッ、あ"ッ、くおッ、イク、イクイクイクッ!!」 「ダメだって」 ぴた、と藤崎が腰の動きを止めた。 「ぁえ、、?」 はあー、はあー、と深く息をしながら、義人は滲む視界で振り返り、藤崎を探す。 同じように荒く呼吸をしつつも、藤崎は義人のスベスベした太ももや脚の付け根を撫でて、楽しみながら息を整えている。 「義人、言ってくれないの?」 「ンッ、ん?久遠、どこ、どこ??」 「ここにいるよ」 「ぁンッ」 ちゅ、と身体を折り曲げて義人の背中に吸い付き、キスマークをつけて更にそこを舐めた。 それで安心したのか、義人は落ち着き始めた息を抑えながら、わざと後ろの穴を意識してキュッと絞めた。 「んっ、、なに?義人。煽ってんの?可愛い」 「イキたい、久遠、、イキたいっ」 迫り上がってきていた快感の波が途絶え、身体の中への刺激が消えてむず痒く、切なくなってしまった。 義人はきゅうっきゅうっと穴を締めて藤崎の射精を誘い、とろんとした顔でねだり始める。 「んー?可愛いね。お尻の穴、うねってるよ」 「イキたい、久遠、お願い、、イかせて」 「なんて言うんだっけ」 教え込まれた台詞は何度も言わされてきた言葉で、もはや抵抗もなく、義人は甘ったれた表情で彼に問いかけた。 「はあ、、ん、、イっていい?」 「ちゃんと言えたね。可愛い。いいよ。もう少しこっち向ける?」 「ん、ん?」 少し苦しくなりながら藤崎の方へ顔を向けると、ずぶぶ、と穴の奥に性器を押し詰めながら、藤崎は義人の唇にチュ、と軽くキスをした。 「俺にイクとこ見せて」 「ッあ、」 身体を起こすと再び腰を掴まれ、ズッズッと勢いよく太く長く硬い藤崎の性器が穴の中を動き始めた。 「ぃ、ん"あッ、だ、ダメ、やめっ、んっく、んんっ!!ぁ、久遠ッ、久遠久遠ッ、奥ダメ、いっ、イク、あッ!!」 「いいよ、ッん、キツい、すごいね。義人、可愛い、ンッ、好きだ。好きだよ」 「あーッ、あああッ、ダメ、い、、く、んぅうッ、ゔッ、、あ、ぁああッ、あッ!!」 義人の全身にこれでもかと言う程力が入った。 抱えた枕を腕の力でパンパンに潰し、背中に筋肉が浮かぶ。 (エロ、、) 藤崎はそれを見つめながら締まる彼の穴の感触に身震いすると、数回腰を打ちつけてからゴムの中に射精した。 「あっ、うっ、うっ」 「ご、めん、、気持ち良すぎる」 本当なら抱いているこの身体の中に、奥に、射精したい。 そう思うと少しでも奥で出したくて、藤崎の腰は勝手に奥へ、ねだるように動いてしまった。 汗が浮かんだ背中を大きく膨らませては萎ませ、義人は荒い息を繰り返す。 (もう無理、真面目に無理、ほんと無理) ゼェゼェとお互いに落ち着かない呼吸をしながら、義人はドサ、とベッドにうつ伏せになって力を抜き、藤崎はその背中に沿うように乗っかって脱力した。 「ん、はあ、、はあ、、重い」 「可愛い、、」 「馬鹿かよ。っはあ、はあー、、おーもーいー」 「くっついてて欲しいくせに」 「あッ!?、んっ」 反論しようと身体を起こそうとすると、カプ、と左の耳を甘噛みされる。 耳の輪郭を舌がなぞり始めると、ゾワッと気持ちのいいものが身体に広がった。

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