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第12話「確認」

「藤崎、ヤキモチ妬きになったよな」 テレビはお笑い芸人が農家を訪ね、農業を手伝うと言う番組にチャンネルを移した。 大学帰り、この曜日はいつもこれを見ていたのに、そう言えば先週は見ていない。 残業をさせられた訳ではないのだが、任されていた作業がノルマまで終わらなかった為に2人で檜山に頼み込み、少しだけ会社に残らせて貰ったからだろう。 「そうだね。やだ?」 「いや別に」 「その内佐藤くんのこと監禁するかもよ。手足縛って」 「え」 絶対そんな事しないくせに。 義人は少し不安そうに藤崎を見つめた。 他の人からしたら分からないかもしれないが、これはふざけているようで実は弱音を吐いている。 藤崎久遠が義人を監禁しなければならない程不安になる事など絶対にありえないのだが、わざわざそれを言ってくると言う事は、義人が女性社員達にボディタッチされていたのが余程気に入らなかったのだろう。 「、、久遠」 「ん?」 「ヤキモチも嬉しいって思うけど、俺はお前だけって前も言ったよ。女の人からのボディタッチは、まあ、お前みたいにヒラリとかわすように頑張るからさ」 義人はまたむにむにと彼の頬に触れて遊んだ。 食べ終わった夕飯の皿はまだテレビの前のローテーブルの上にあって、2人はピッチャーごとテーブルに置いた麦茶をグラスに注いではガブガブと飲んでいる。 7月末は、熱い。 「ごめん、注意が足りなくて」 「んん、俺もごめん。りいのときと違って、避けられるのに避けてない訳じゃないし、距離感バグってるときはちゃんと離れてくれてるの分かってるんだけど、、分かってるんだけど、あー、ごめん。俺、重いね」 2人してラグに座り込み、ソファに背中を預けていたのだが、藤崎はふと背中を離し、横を向いて義人を抱きしめた。 「いや、りいのこともあったのに注意が掛けてたわ。気をつける」 「本当にごめん、心配性になってて」 「藤崎、それやめろ」 「ごめん」と繰り返す藤崎の頬を両手で包み込み、自分と向い合わせる。 少し伸びたミルクティベージュの髪の隙間から、チラリと茶色の目が見えた。 「嫌いにならないで」 珍しい事が続いている。 疲れ切ったままで、藤崎は余裕がなく義人に甘えているのだ。 普段こんなに弱音を吐く人間ではないのだが、言われている方としては少し嬉しかった。 いつも頼ってばかりだったから、たまにはこうして「不安なんだよ」と示してくれると信頼されているんだなあと安心する。 それを言っても義人が彼だけで、彼の目の前からいなくならない事を藤崎自身が良く分かっている証拠なのだ。 「ならない」 義人がキッパリと答えた。 「好きだよ」 「俺も好きだ」 腰に回った手がスルスルと服の中に入ってくる感触がする。 「んっ」 脇腹を撫でられ、指先がツー、と身体のラインをなぞりながら胸元まで上がってくる。 こそばゆくて、少し焦ったい。 「義人、ごめん、」 「謝るのやめろって」 そう言って珍しく義人から深く口付けると、藤崎は嬉しそうに差し出された彼の舌を吸った。 「ん、ふ、、ん、、なあ、久遠だけだよ」 「んん、、何で嬉しいこと言ってくれるの」 「知らん」 「またそういうこと言う」 「あんっ」 ぴんっ、とたちあがって硬くなった右の乳首を藤崎の指に弾かれ、思わず甘ったるい声が漏れた。 (ヤバい、疲れてあんまりシてなかったから、久々、、) 藤崎に身体を弄られながらも、ここのところ朝早いと言うのもあってセックスをしていなかったなあ、と思い出す。 最後にしたのはこの間の土曜の夜だ。 この2年と少しの間、毎晩のように身体を重ねていた彼らにしてみれば、珍しく4日も触れ合わなかったのだ。 「久しぶりの義人の身体」 「あっ、」 性急だった。 ふかふかのラグの上にゆっくりと押し倒されながら、優しくキスをされる。 口内に入った藤崎の舌は器用に義人の舌に絡まり、義人が応えるとべろんとこちらを舐め上げてくる。 「っん、ん」 寂しさでスイッチが入ったらしい藤崎のねちっこくしつこいキスをされながら、義人は気持ちが良くて息をするのを忘れそうになる。 身体を熱くさせていると、脚の間に藤崎が割って入ってくる感覚がして、義人は素直に脚を開いて彼の腰に両脚を巻き付けた。 「ンッ」 ゴリ、と勃ち上がったお互いのそれが布越しに擦れて腰が震える。 藤崎にはバレていないが、彼のそれが勃起した感触が堪らなく愛しくなって、義人の後ろの穴は密かにキュウッと閉じ、また、くぱ、と力を抜いた。 (ダメだ、今日すごい、、欲しい) 切なかった。 久々に中に出して欲しいと思ってしまうくらいには、義人にとって4日のブランクは大きい。 「んぁ」 ヘソの下からじっくりと手のひらで肌を撫でられ、徐々にTシャツが捲られていく。 義人を見下ろす藤崎も余裕がなく、少し息を荒くしながら興奮した様子で義人の白く細い身体を舐めるように見つめている。 その視線だけで、義人の興奮も増していた。 「綺麗。可愛い。好きだよ」 「ん、んんっ、んっ」 鎖骨のあたりまでTシャツが捲れ上がると藤崎が身体を倒し、ゆっくりと舌先が乳首に触れ、途端にしつこくそこを舐め始め、ビクンビクンといつも以上に快感を感じた義人の身体が跳ねた。 久しぶりで刺激が強すぎたのか、身を捩って逃げようとしている。 「だめ」 義人の両腕を藤崎の手が掴み、体重を掛けてラグに押し付ける。 けれどそれは痛くはない。 こんなときですら常に自分を気遣う藤崎の力加減に、義人はトク、トク、と鼓動が速くなるのを感じた。 「ぁンッ、や、めっ、あっ、噛むなっ!」 「甘噛み好きでしょ?」 「んやっ、やめろ、って、ん、んあっ」 確かに好きだった。 舌先で乳首を突かれるのも、コリコリと擦られるのも、チュッときつく突起を吸い上げられるのも、優しく噛まれるのも、全部。 堪らなく好きで、堪らなく気持ちが良くて、声が抑えられない。 勃起した性器が、ズボンの中だと痛くなるくらい膨らんで硬くなっている。 「あんっ、しつこいッ、久遠っ!」 「義人、可愛い。好きだ」 「だめっ、ん、離せよ、ぁンッだめ、すごいから、今日ダメッ、痛い、ちんこ痛くなるッ」 「可愛い。そんなに勃った?」 れろ、と乳首に舌を這わせながら、藤崎の左手が今度は脚の間に伸びて来て、ズボンの上から優しく義人の股間を撫でた。 「ホントだ、勃っちゃったね。チャック開けていい?触りたい」 「ぁ、あ、ダメ、久遠!」 ジジジジジ、と音を立ててズボンのジッパーが下ろされていくのが、何だか逆にじれったい。 義人は拒絶はしているものの、本当は藤崎の手が早くそこに触れるのを待っている。 お互いに久々の相手の体温にこれでもかと言う程興奮していた。 「ふふ、あっついね、義人」 とうとう彼の手がボクサーパンツ越しに、勃起してくっきりと反り返り、形が浮いてしまっているそれに触れて、根本から先端までを手のひらで優しく撫で上げる。 「アッ!んっ、んっ」 (あ、久遠の手だ。久遠の手、、気持ちいい) どこを触られても腰が跳ねる様を藤崎に見せつけて彼を誘いつつ、義人は、はあ、と熱い吐息をこぼした。

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