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第30話「愛す」

「何で別々に風呂入ったの?」 「裸見たら風呂で襲いそうだったから、、今日はベッドでゆーっくり佐藤くんをまさぐりたいの」 「謎の力説をありがとう。お前は本当にただの変態だな」 ジトっとした義人の目に見つめられ、藤崎はふざけてぐにゃぐにゃと気持ち悪い動きをしてみせた。 呆れて寝室から出て行こうとする義人の腕を取り、自分のところまで引き寄せてチュッと口付けたのが午後22時半過ぎだった。 「変態でけっこう。義人にだけだから」 「んん、腰摩るのやめろ」 東京駅からは一本で帰れた。 とは言っても、本当の最寄駅である壱沿江町駅(いちぞえちょうえき)ではなくその何個か手前で降りて、キャリーケースを引きずったまま歩いて帰ってきたからだ。 これだけ暗いのだからと、お互いキャリーケースを持っていない方の手を繋いで歩いた。 無論、人の気配がしたら離してしまうけれど、藤崎にとっては3日間離れ離れを味わった後の最高のご褒美だった。 「気持ち良い?あ、くすぐったい?」 「え?んー、くすぐったい?かな」 風呂を出てボクサーパンツにTシャツを着ている義人と、もはやボクサーパンツだけで臨戦体勢の藤崎。 Tシャツの裾から手を入れて義人の腰を撫でていると苦情が入ってしまった。 「義人」 「ん、?」 「ねえ、好きだよ」 「ん」 「離れてて寂しかった」 「ん、、俺も、寂しかった」 ちゅ、ちゅ、と何度も触れるだけのキスをする。 寝室のベッドの前で抱き合っていると、何だか映画かAVのワンシーンのように思えて義人には面白かった。 とは言っても、彼はあまりAVは見ないのだが。 「義人のここも?寂しかった?」 「ぁんっ」 いつの間にかゆっくりと義人の両の尻たぶを掴みもにゅもにゅと揉んでいた藤崎の手が割れ目をなぞり、触れるだけのキスをしながらその穴に中指の腹を押し付けて、パンツの布ごと中に押し入れようとしているみたいにヒダをほぐし始めた。 「だ、めっ、、ん、」 久しぶりに後ろの穴を触られた感覚に義人の腰が跳ねる。 3日間、セックスも自慰行為も、藤崎と言う存在すら我慢していた彼からすれば強過ぎる快感だった。 「義人のここは?ねえ」 ああ、誘惑されてる。 藤崎の「淫らになって」と言っているような視線に、段々と理性が崩されていく。 「寂しかった、ぁ、、寂しかったから、んぁ」 義人の手が藤崎の肩を掴み、腰が抜けないように体重をかける。 穴を触られて外側を擦られているだけなのに、どうしようもなく足腰を気持ちのいい電流のようなものが駆け巡っていって身体が震えた。 「可愛い声。全部好きだよ」 「ベッド、がいい、久遠、ベッド」 「ん、分かった」 チュッ、と最後に一度キスをすると、尻から手を離して先にベッドの上に乗る。 藤崎が「おいで」と腕を広げると、ベッドに上がり彼に跨りながら、義人は勃起し始めた性器をパンツ越しに藤崎の腹に押し付ける。 「キスして」 「今日はおねだりする日なんだ?」 「キス、早く」 「んん、おいで」 急かしてくる義人に優しい口調で話しかけ、藤崎は彼を落ち着かせながらねだられたままに口付けをした。 下唇をべろりと舐めるとすぐに小さな口が少しだけ開き、そこに舌を滑り込ませて義人の引っ込んでいく舌を絡め取る。 「久遠、んっ、ふ、、ん、ん」 「可愛い、義人、、ん、、好きだ」 「久遠、久遠、」 「んー?積極的な義人も好きだよ。いっぱいキスして」 義人の細い白い腕が首の後ろに回ると、藤崎は彼の腰に腕を回して一度グン、と身体を抱き寄せ、密着しながら上から降ってくる唇に応えた。 「ぁ、んっ」 そうして、義人が着ている白いTシャツの上から、ぷっくりと形の浮き出た胸の突起に指を這わせ、スリスリと擦り始める。 「ん、んふ、んっ」 「Tシャツの上からだと滑って余計に気持ち良くない?」 乾いている布を一枚挟むと直に肌を触るよりも滑りが良くて指が引っかからない。 だからこそ、乳首を素早く擦って義人が反応するのを楽しめる。 「だ、め、、ぁ、んっ、あ」 「可愛い。声止まんないね。ん、」 ピクッピクッと乳首を擦られるたびに腰が揺れた。 「乳首、や、、はあ、乳首、やだ、やだあ、ぁ」 ぷちゅ、と音を立てて、義人は藤崎に吸い上げられていた舌を無理やり引き抜き、息を荒くしながら彼を見下ろす。 ベッドの上に座った藤崎の上に義人が跨って座っていると、藤崎の柔く勃起しだしたそれが内腿に当たって温かく、そして少しくすぐったい。 けれど右手で腰を抱かれているせいで、その感触からも乳首をこねくり回される事からも逃げられなかった。 「何で?気持ち良くない?」 「気持ち、んっ、いいから、やだ、はあ、、」 「気持ち良いの?良かった。義人が気持ち良いのが1番嬉しい」 藤崎は義人のとろけたような表情を魅入ったように見つめ、うっとりしながら、彼の右胸の突起にTシャツの上から舌を這わせた。 「ダメ、勃つ、、あっ、ちんこ、勃つ、ぅあっ、はあっ」 「俺ももう勃ってる。一緒だね」 「あ、ぁあっ、あっ、久遠、久遠、!」 硬く勃起した性器同士が布越しに擦れる。 右の乳首は舌で舐られ、左側は指でこねられたり擦られたりを繰り返していて、久々に性感帯を触られている義人は声が止められず、そして脳まで痺れるような快感に抗えず、カクカクと腰を揺らし始めてしまった。 「乳首だけでイかないで、義人。大丈夫?もういじるのやめる?」 「あ、イキそ、だめ、やめて、イクっ」 切羽詰まった声が藤崎を興奮させる。 久しぶりの快感に敏感に反応している恋人が可愛らしく、愛しくて、彼は目を細めて涙を溜めている義人の黒い瞳を見つめた。 「んん、そんなに敏感になってんの?可愛い。どうしよう、イかせたくなっちゃうなあ」 「ぁん、あっ、やめ、ァアッ、だ、ダメ、久遠、クリクリしないで、クリクリダメッ」 やめろと言われたくせに、藤崎は舌先と指先で義人の両側の乳首を同時にこね回している。 「可愛い。イク?イクならちゃんと言って」 「あ、ぁ、や、乳首ばっかり、アッ、イク、イクッ、やだ、あっ」 今まで義人が乳首でイッた事はなかったのだが、今回はどうにもイケそうだ。 いつものように、教え込んだお決まりの言葉を言わせようと藤崎はそのまま乳首を弄り続け、義人のぐずぐずになっていく表情を愛しそうに見ている。 「義人、言って」 「イク、イキそ、久遠ッ、久遠、い、イッて、いい?も、あんっ」 「ん、言えたね、いいよ。可愛いね。おっぱいだけでイっちゃうところ、俺に見せて」 こうして日々開発している部分がどんどん感じられる仕様になっていく様が、藤崎からすれば何とも充実感と達成感を感じ、そして支配欲が満たされるときだった。 「あ、あ、やだ、恥ずかしいから、見るな、み、ない、で、、ぁ、んンンッ、ンッ!!ンンッ!!」 腰を振っていたものの、その絶頂では精液は出なかった。 けれど義人は藤崎の性器に自分のものを擦り付けるように何度も腰を振り、彼の頭を抱え込んで髪の毛を掴みながら、久しぶりの絶頂を迎えた。

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