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第45話「お隣」
「あはははっ!」
「ねえボール取って!ボール!」
「お酒いる人ー!?」
「はーいはーい!!」
そんな声がどこかから聞こえて来る。
「久遠、ダメ、こんなところで、ぁんっ」
「ベロ出して」
「ん、んぅっ」
そんな声を聞きながら、2人はプールの中にいて、義人にプールの縁に手を掛けさせながら、藤崎は後ろから彼の乳首をこねたりはじいたりしていた。
「ん、ふ、んっ」
振り向いた義人と強引にキスをすると、唾液を飲ませて満足そうに口を離し、肩に口付ける。
溢れそうになったそれを飲み込み、ぶるっと身震いをした義人は再び自分の胸元を見下ろした。
「ぁ、ンッ」
ピンッと、ぷっくりと立ち上がって主張している乳首を藤崎の指がはじくのが見える。
コレが堪らなく気持ち良くて、水の中の義人の腰が跳ね、尻の割れ目に密着している藤崎のそこを撫でるように動いてしまった。
「誘ってるの?」
「違うッ、は、んっ」
強く言い返すたび、お仕置きとでも言いたげに乳首がこねられ、はじかれる。
濡れた乳首と濡れた指先で擦り合わされ、ピクンピクンとやはり腰が浮いた。
「義人、フェラしたい。させて」
「ぁ、あっ、ダメ、んんっ」
「何で?勃ってるのに」
「あぅっ!」
左手が義人の肌をなぞりながらちゃぷんと水の中に入る。
海パンを押し上げて勃起した性器に触れると、義人は急に触られたそこからの刺激でまた身体を震わせた。
「あっ、!!」
周りの声がコレだけ聞こえるのだから、自分達の声も周りに聞こえているに違いない。
義人は右手で口元を押さえ、パチパチと瞬きをしながら周りの声を聞いた。
もし、さっきの自分の声に気がついた人間がいたらまずい。
そう思ったのだ。
「んー、周りのこと気にするぐらい余裕あるんだ」
「あ、あっ、やめろ、久遠っ」
海パンの中に藤崎の手がするんと入ってくる。
直接熱くなった性器を握られ、義人は切なくて目を細めた。
馬鹿みたいに感じる自分の声が周りの人間に聞こえるのは嫌だったが、尻の割れ目に擦れる藤崎の興奮して勃起したそれの感触が嬉しくもある。
本当なら、誰に聞こえたっていいから気にせずにここで挿れて欲しいくらい、もう身体の熱が強く大きくなっていた。
「ダメだ、ここではやめろ、んあっ」
制止の声を煩わしく思ったのか、藤崎が義人の性器の亀頭をキュッと摘んだ。
「義人。周りじゃなくて、俺に何されてるか考えて集中して」
「いやだ、こんなところで、こんな、あ、」
「義人が声我慢してくれたら、今日は野外プレイだってできちゃうんだよ」
「そ、んな、変態みたいなこと、おっ」
「残念。俺、義人相手だと変態だから、こう言うことしたかったの」
「ぁあっ」
水着がズリ下げられ、ぶるん、と義人の性器がプールの中で露わになった。
藤崎の右手は相変わらず彼の右の乳首をこねくり回し、左手は掴んだ性器をゆっくり扱き始めている。
「ンッ」
ちゅ、ちゅ、れろ、と肩やら首筋にキスをされ、舐め回され、段々と義人の抵抗する力が弱まっていく。
(外で、スるの、、変態、)
心の中では未だに抵抗しているものの、腰は勝手に動いて藤崎の勃起した股間に尻を擦り付けて彼を誘っている。
「久遠、こんなとこで、っ、」
「やだ?ここでフェラさせてくれたら中入るけど」
「だ、だめ、絶対だめ、ぅんっ」
シュッ、シュッ、とゆっくりとした動きで性器のやわい肌が撫でるように擦られ、思わず上擦った声が漏れた。
藤崎にやめる様子はない。
左手の親指と中指で作った輪っかでひたすら義人の性器を扱き、力が入って締まる彼の尻の割れ目にゴリゴリと海パンの中で勃起した自分のそれを押し付け、少し腰を揺らして焦らしている。
「やめっ、後ろ、ぅあ、あっ、ちんこ、だめっ」
「どっちがダメなの」
「や、ぁ、んんッ!」
執拗に亀頭だけを扱かれ始め、思わず腰の奥が重たくなった。
射精したい。
喉まで出かけた言葉を飲み込み、必死に右手で口を押さえて快感に耐え、義人はヴィラの屋根を見上げて目を細めた。
(イク、イク、イクッ、、!)
「ふ、うッ!」
もう少しで、先程掴み損ねた絶頂をする。
ぐうう、と手に力が入り、プールの縁を掴んでいた彼の左手に血管が浮いた瞬間、藤崎はまた手を止めた。
「っ、あ、、?」
イク寸前でまたも行為が中断され、義人はもどかしさでバッと後ろを振り向く。
「なあに?」
意地の悪そうな笑みを浮かべて、藤崎は義人のそれを扱いていた左手の手のひらをヒラヒラさせながら彼に見せつけた。
「な、何で、イきそうだったのに、、」
「え?そうだったの?教えてくれないから分かんなかった」
「外で言える訳ないだろッ、、!!」
身体ごと藤崎の方へ振り向くと、ちゃぷんちゃぷんと水面が揺れる。
イク前に言わなければいけないいつもの台詞が聞こえなかった為に手を止めた藤崎は、はて?と言う態度で自分の方を振り向いた義人を見下ろしている。
「じゃあイかせない」
「なッ、!!」
「ねえ、2人だけなんだよ?俺たちのこと知ってる人なんていないんだよ、ここ」
「でもッ、でも、、もし聞こえたら、」
「恥ずかしい?」
「、、、」
それに、ゲイなんだ、と周りから思われる。
時間が経ち、段々と子供の声が聞こえなくなった室外プールで向かい合い、2人はポツポツと小さな声で喋っていた。
「小さい声で言ってくれるだけでいいんだよ。俺が聞きたいだけだから」
「、、、」
「義人?そんなにいや?、、じゃあ中入ろうか、そしたら、」
「いっ、、イヤ、と言うか、」
「、、うん」
俯いた義人の顔を覗き込み、腰に腕を回して藤崎は彼に擦り寄った。
恥ずかしさで顔を真っ赤にして、小さく肩を震わせながら自分の気持ちを口に出そうと深呼吸している義人は、水面に映った自分の顔を眺めていた。
「聞こえないようにすればいいし、それは、分かってるけど、は、恥ずかしい、だろ。部屋の中で、後ろに挿れてって言うのだって、まだ恥ずかしいし、、夢中になれば言えるだろうけど、気を抜いて大きい声出したら、周りにって、思うと、」
「うん」
「恥ずかしくて、、お前に何されてるかって考えるのに、集中できない、っ」
言い終わった彼を優しく抱きしめ、藤崎はふう、と力を抜いた。
「じゃあ、ちょっと静かにして」
「ん、、」
「あっち側の隣の声、ちょっとだけ聞こえるからよーく聞いて」
「え?」
藤崎に抱きしめられながら、ゆっくりと彼の背後へ向かって移動して行く。
ちゃぷちゃぷと水が揺れ、2人が動くと波が生まれた。
反対側のプールサイドに藤崎の背中がくっつくと、2人は海に向かって左隣のヴィラとの壁のそばで聞き耳を立て、黙って静かにしていた。
「あっ、あんっ、すごいぃっ、あんっ」
「ッえ、」
「しーっ」
真っ白な壁は厚みが30センチもないくらいだ。
その向こうから微かに聞こえてきたのは、顔の見えない女性の感じきった喘ぎ声だった。
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