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第49話「性癖」

ズリ、ズリ、と性器同士が擦れて義人は腰をびくつかせる。 「じゃ、そろそろ色々使ってみる?」 「ンンッ、え?」 最後にチュッと口付けてから、起き上がった藤崎はまず初めにいつもの潤滑ゼリーのボトルを持ち上げた。 はちみつ色で可愛い見た目をしている。 「ちょ、一気に?今日全部!?」 義人は寝そべったまま、慌てて自分の足元辺りに転がっているオモチャを見下ろした。 よくこれだけ黙ったまま買ったな、と藤崎を褒めそうになるし、自分にもまた良く気が付かなかったな、と言いたくなる個数だ。 「そしたら明日は少し慣れた状態から始められるよね。それもまた一興、、」 「何しみじみ言ってんだよ!!ど、どれか1個!か、2個、?」 「ダメ。全部」 とろんとしたゼリーが藤崎の手の上に乗っていく様を見せつけられ、ゴク、と義人の喉がなる。 左手でしばらくそれを温めてから、ぬちゃぬちゃと手に馴染ませ、藤崎は彼に脚を開かせて再び覆い被さった。 「久遠、」 「んん、可愛い」 待っていたように腕を伸ばされ、思わず口元が緩む。 ちゅ、とキスをしながらも、藤崎は義人の脚の間に滑り込ませた手で後ろの穴に触れた。 義人の肩がそのぬめりのある感触でビクン、と震える。 「っあ、」 少し冷たい粘着質な液体が穴に擦り付けられていく。 藤崎の指先は義人の窄まった穴の中心をトン、トン、と押してから、周りに寄ったヒダを撫でて、少しずつ指を中に押し込もうと刺激している。 「ん、んっ、ぁ、挿れて、久遠、挿れて」 「ゆっくりね」 「早く、あっ、乳首、あっ」 キスをしてから首筋に顔を埋めていた藤崎は顔を上げ、次にまた胸元に吐息をかけ、じっとりと下から乳首を舐め上げた。 舌の上に引っかかるコリコリした突起を舐るたびに義人の呼吸が荒くなっていく様は何とも気分が良い。 「ちゅうちゅうされるのが良いんだっけ」 「っん、ぁあっ」 ぢゅぅうっ 「んんッ!」 腰を劈いていく甘い快感に堪えられない。 義人は思わず身を捩ってそれから逃げようとしたが、自分より大きく体重のある藤崎にのし掛かられていて動きようがなかった。 「ぁ、あっ、いやだ、乳首いや、あっ」 「やなの?どうして?気持ちいいでしょ」 ちろちろと舐められるのも、軽く噛まれるのも全部が気持ち良い。 逃げるのをやめて藤崎の頭を抱えるように腕を回した義人は、優しく彼のミルクティベージュの髪を掴み、言葉とは逆で彼の頭を胸元に寄せるように押している。 (本当はもっとって言いたいんだろうなあ) 藤崎はそう思いながら、義人のヒダに囲まれた穴の中心に指の腹を付け、引っ掻くようにぐにぐにと動かしながら乳首を吸った。 「気持ち、からあっ、はあっ、はあっ」 「気持ちいいからいやなの?可愛い。苦しいね。頑張ろうね」 「ンッ、ぁ、あぅうっ」 つぷん、ととうとう尻の穴に藤崎の指が侵入すると、義人の腰がガクガクと震えた。 「ん、だめ、ダメ、今、あっ」 「ん?ん、ごめん、そんなに感じやすくなってる?1回イク?義人、義人?」 「だめえっ、やだ、やだ、アッ、あっ!」 昂り過ぎていたらしく、義人は穴に指を入れただけでイキそうになっていた。 いつもの比ではない締め付けに藤崎は胸元から顔を上げ、身体を起こして、義人に脚を曲げさせながら指を突っ込んでいる穴を見る。 ひくんっひくんっ、と痙攣しているように力が入り続けていた。 「ん。義人、イっていいから、ちょっと楽になろ。どうしたのかな、、待たせ過ぎた?ごめんね」 「んっ、イキ、たっ、ンッ」 「うん、わかった。ちゃんとイって気持ち良くなって」 「あ、あっ、ぁあっ、アッ!!」 指をゆっくりと出し入れし始め、徐々に速度を上げていく。 彼がよがる1番良い速さと言うのは藤崎自身が1番良く分かっている。 指を曲げて前立腺を擦りながらゼリーのボトルに手を伸ばし、そそり立った脚の間のそれに中身をゆっくりと絡ませていく。 「あ、あっ」 「ごめんね、冷たいままかけるよ」 「んっんっ、お尻、んっ、んんっ」 「ん?」 「もっと、太いのッ、久遠のがいい、久遠のちんぽは?っ、だめ、?」 自分を見上げる物欲しそうな泣きそうな目に、藤崎は腰の奥が疼く感覚がして堪らない。 けれどせっかくだから、と根気強く我慢しようと決めた。 「んん、お願いだから、そう言う不意打ちやめて、、うーん、じゃあこれにする?」 「あっ、?」 義人の性器を扱いていた手を止め、藤崎が掴んだのは2つ目のバイブだった。 黒い輪っかが付いているものだ。 「え、え、、?」 「ちょっと待ってね」 「んわッ!!」 「あ、そっか、やべ、忘れてた」 ぬ"るんっと尻の穴から藤崎の指が抜かれ、義人は身体に残った余韻で荒く呼吸している。 もう少しでイけそうと言うところでまたしてもお預けをくらい、泣き出しそうな顔で足元にいる藤崎を身体を捻って覗いた。 「忘れてた忘れてた」 「、、それ、なに」 「忘れてた〜」 「それなにッ!!」 グイ、と尻を持ち上げられ、慌ててシーツに両手をついてバランスを取る。 穴が緩んでぽたん、と潤滑ゼリーが漏れてしまったが、シーツの上には藤崎が敷いたそのシートがあった。 また、義人が把握していないアイテムの登場である。 「なにこれ、なに、オムツ?なに、」 「オムツじゃなくてペット用シート。おしっこ漏らしても大丈夫〜なやつ」 「ペット用!?」 「ラブホテルじゃないし、知り合いのとこだから俺的にも気を遣おうと思ってちゃんと持って来たよ。えらいでしょ?」 「えらい、いや、えらくは、うん、、?」 まだ時折り穴がヒクンッと動いてはいるものの、だいぶ落ち着いた義人は藤崎の奇行を眺めつつ呆れたようにため息をついた。 用意が良いのは褒めたいが、ペット用シートを使われる身にもなって欲しい。 「これでぐっちゃぐちゃにしてもベッドは汚れないから」 「んん、、んー、」 あまり納得はいかないな、と思いつつまた藤崎を見ると、今度は先程これにすると言った方のバイブの先っぽにぬるぬるとゼリーを塗り付けている最中だった。 「あっ、」 「で、これを、」 「わあっ!?」 義人に向き直った藤崎はもう一度ガバッと脚を開かせ、まずはL字の短い辺の先っぽについている輪っかの、根元から遠い2つ目の小さい輪っかを性器に通した。 2つ目の輪っかは性器の太さとほぼ一緒で、根元まで通すとそこをちょっと締め付けてきている。 「なに、これ、」 「これね、固定用の輪っか」 「え、、」 「義人、お尻挿れるから力抜いて」 「え、や、んっ?!」 明らかに硬い、人の肌ではないそれが穴の入り口に宛てがわれる。 義人はその感触にビクッと腰を揺らし、藤崎を見上げた。 「大丈夫だよ。気持ち良くなろ」 「く、久遠のがいい、怖い、、」 「ん?怖くなっちゃった?どしたの」 泣きそうになった義人に覆い被さり、ちゅ、とキスをする。 涙目になっていた瞳からポロ、と涙が溢れると、流石の藤崎も焦った。 「えっ、ごめん、義人?ごめんね?いやなら止めるから、」 「ちが、こ、怖い、、久遠のちんこじゃないの、お尻に入れたら、お、俺が気持ち良くなってるとこ、ずっと見てんの、、?」 「えっ、?」 思わずキョトンとしてしまったが、義人は真剣な目で、眉間に皺を寄せた複雑な表情でこちらを見上げている。 「み、、見たくて、買っちゃったんで、」 「嫌い、ならない?そんな、変態見てて、、嫌いにならない?久遠、俺のこと」 「えっ?」 それは意外な言葉であったが、義人のことを良く理解している藤崎としては納得できる言葉でもあった。 常にこう言った事に対して恥ずかしいと言う気持ちがついて回る彼にとって、自分と一緒に気持ち良くなる訳ではなく、オモチャで1人だけ気持ち良くなっている自分を藤崎が見ているだけでは白けてくるのではないか、急に現実に引き戻されて、尻の穴にオモチャを入れられて喘ぐ男なんて気持ち悪く見えるのではないかと不安になっていたのだ。 「ふふ、あー、そっか。ごめんね。義人からしたらそういうのも怖かったよね。考えが至らなかった。でも大丈夫だよ、義人」 ぼろぼろ溢れ出した彼の涙をべろんと舐め取り、藤崎は義人の顔の横に腕をついて身体を起こし、彼を見下ろして微笑む。 「俺、けっこう義人にオナニー見せてって言ってない?」 「、、、言ってる。悪趣味だなと思ってた」 そう言われて思い出してみると、確かに藤崎はセックス中でもたまに「義人のオナニー見たい」だとか、「お尻に指突っ込んでるとこ見せて」だとか、つくづく変態だな、と言う発言をしてきていた。 その瞬間を思い出したせいか、義人は一瞬辺な安心感に襲われる。 「ひどいなあ。だからね、俺は義人が1人で気持ち良くなってるの見るのも好きなんだよ」 「俺の見ながらオナニーするもんな、、」 「最高のオカズ目の前にしてオナらないのはおかしいでしょ」 「うわあ、、」 引き気味に反応したところで色々納得し、安心したのか義人の涙は止まっていた。

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