「大丈夫そ？」 「ん、、もっかい、ちゅーして」 「何回だってするよ。義人、好きだ」 普通に軽いキスで良かったのだが、藤崎はキスしてすぐに下唇を舐めてきた。 応えるように従順に唇を開けてしまい、厚みのある舌が中に入ってくる。 「ん、ふ、、んっ、」 そのキスで、またすぐに気持ちの良い波の中に義人の身体が引き摺り込まれていく。 腰の奥の疼きが戻って来た。 「ぁ、ん、、ちゅー、気持ちいい、んっ」 「んー、嬉しいよ。義人、」 絡む舌の熱さに、頭がぼーっとして、穴がヒクつく間隔が狭まった気がして、義人は堪らずそこに何かを入れて欲しくなってくる。 「久遠、んっ、、お尻、アレ入れて、んっ」 輪っかがついたままの性器は、色んな期待や少しの不安でぴくん、とたまに揺れていた。 キスをしながらたまにそれを見下ろしていた藤崎は、彼のひと言で少しだけ唇を離し、鼻先が触れ合う距離で義人の黒く奥の見えない目を見つめた。 「ん、大丈夫？、怖くない？」 義人の他には誰も聞いた事がない、優しく穏やかな声だった。 「欲しい、欲しくなった。お尻の穴、寂し、ん、、んっ」 「えっち。煽るの上手」 「あ、すごい、硬そう、久遠、、ん、これ、っ、挿れるの？」 藤崎はバイブのL字の長い方の根本を持ち、キスをやめて身体を起こして義人の穴を見つめた。 宛てがったそれの先端に反応しているのか、穴がヒクッヒクッと動いて止まない。 「そう。これ挿れるんだよ。痛かったら言って、義人」 「ん、」 バイブは既にゼリーが塗りたくられていてぬめりのある光沢を放っている。 L字の長い辺は尻の穴に挿れる部分、短い辺は性器と穴の間の会陰部に押し付ける作りだ。 藤崎は穴に挿れる部分の先端、ぷっくり膨れたそこで何度か義人の穴を撫でて擦り、挿れる準備をさせる。 徐々に硬い感触に慣れて穴のヒクつきが止んできたあたりで、少し下向きにバイブを構えてから、藤崎は先に自分の指を穴に宛てがった。 「あっ、」 「指、挿れるよ」 中にゼリーを滑り込ませ、とろみを増して滑りを良くしてあく。 「んっんっ、気持ち、んっ」 「バイブ挿れるね？いい？」 「ん、大丈夫」 今度は指を引き抜いた瞬間にグッとバイブの先端を押し込んだ。 「あっ、！？」 「息して」 「っはあ、あっ、や、んんんんんっ！」 藤崎のそれとは確かに違うけれど、太さは似ている。 ゆっくりと奥へ押し進められ、バイブの先端の膨らみがズボッと中に入ると、そこから先は細くなっていてあまり圧迫感はなかった。 ただ、形が形なだけに挿れただけで良いところを擦ってくる。 「んうっ！」 「押し込むから、息して、義人」 「っはあ、はあっ、あ、か、硬い、んっ、んっ」 グンッと根本まで押し込まれると、会陰部にL字の短い辺がピタッと密着し、何だか下半身を包み込まれたような、身体に何かが寄生したような変な感触がした。 「あ、れ、？」 藤崎は短い辺の先っぽに付いていた根元に近い方の輪っかを義人の肉棒の下についている玉の袋に通す。 それもまた、少し緩めにきゅっと玉の根元を締める程度の大きさだった。 「あ、これ、久遠、？」 「ちんこと玉で固定するんだって。そして〜、ダダン！リモコンがあります」 「えっ」 ずっぽりとバイブが尻の穴にハマった状態の義人の目の前に、今までどこに隠していた、と言いたくなるような黒い小さなリモコンが出される。 中心に丸いボタンがひとつと、その周りに4つの違うボタンがあり、藤崎はにこりと笑ってまず真ん中の丸いボタンを押した。 「それなに、、」 「これ電源。今義人のお尻の穴にハマってるバイブの電源が入りました。緑に光ってるからちゃんと起動してるよ」 「み、見えねー、、」 藤崎からだとそれはよく見えた。 L字の外側の角の部分に埋め込まれている透明な小さい玉が、つけたときはまず赤く光り、暫くすると緑色に変わった。 「次これ」 「なに、」 義人は先程のように身体を捩ったり傾けたりができなくなっていた。 穴にハマったそれが、動くたびに何処かに擦れてしまって気持ち良いのだ。 ひくん、ひくん、と中が凝縮してバイブの形を覚えようとしているのが分かる。 人の肌と違って、バイブは硬く、無理矢理に自分の中の形をあちらに合わせられているようでほんの少し吐き気がした。 「久遠、これ、ん、、これ、どうしたら、」 「義人、それね、バイブなんだよ」 「ば、いぶ、、って、んっ」 「動くんだよ」 「うごっ、！？」 義人にどこまでそう言った知識があるのかは藤崎もあまり把握できていない。 ふざけて一緒にAVを見たときも、本当にあまり見ていないんだなと思うくらいに色んな用語やらオモチャについて質問をされた。 バイブやらオナホやらまでは分かっているようだが、バイブとディルドの違いとかは把握しているのだろうか。 それに、これはあくまで動くバイブなのだが。 驚いている義人の顔を、彼の膝に手を置いてその上に顎を乗せた藤崎は「堪らんなあ」と言う顔で見ていた。 「このスイッチ押したらどこが動くんだろーね」 「あ、ぁ、、」 押して欲しそうな、少し怖いような。 興味はあるものの前のめりになれないと言う表情をした義人を見つめて、安心させるように彼は微笑んだ。 「俺のじゃないかたーい棒で義人がイクところ、見せて」 「へ、んたいっ、！」 ギャン！といつものように義人が顔を真っ赤にして怒る。 「何回にする？」 「バカタレッ！」 「何回終わったら、これ欲しい？」 「あっ」 藤崎はわざと義人の尻たぶに自分の勃起した性器の先端を宛てがい、意地悪くそこでゆるゆると腰を振った。 ふに、ふに、と義人の柔らかい肌に先端が沈んで気持ちが良い。 「あっ、だめ、そこじゃない、久遠っ」 「っん、義人のお尻、もちもちしてて気持ちいい」 「久遠だめ、あ、穴に入れて、そこじゃないのに、久遠っ」 ヌッヌッと尻たぶにピストンされ、義人は穴がぎゅううっと締まるのを感じた。 締め付けたバイブがまた良いところに当たって気持ち良く、けれど藤崎のそれではないのだと思うと気持ち良ささえ切なく思えてくる。 「やだ、挿れろ、やだ、そこじゃないっ」 切なくて、またぼろぼろと泣き出していた。 「ここじゃないの？どこだったの？」 「あな、ぁ、お尻の穴っ、久遠のがいいっ」 「俺のなに？」 「久遠のちんぽッ、バイブじゃなくて、久遠のおちんぽが良かったのにっ、んんっ」 けれど泣いて腹に力が入っても、バイブの太くなった先端が義人の良いところにに当たってしまう。 下手に動けず、泣けもしない。 「いやだ、これえっ、うっ、やだ、」 「じゃあ3回。3回バイブでイけたら、俺のちんこ、義人の穴に挿れて、義人の大好きなセックスしようね」 「やだ、今がいいッ、久遠、久遠っ！」 義人は縋るように両手で枕を掴んでいる。 落ちた涙が段々と染みになっていっていた。 「ダメだよ。これから長い付き合いになるんだから、バイブくんとも仲良しえっちしてあげて」 「ヤダッ！！久遠以外とえっちしない、いやだ、久遠ッ」 「んん、良い子だね。そうだよ。俺以外とセックスしちゃダメ。でもこの子はいい子だから、義人の中にザーメン出したりしない子なんだよ。礼儀正しいから大丈夫」 藤崎はそう言いながら義人に覆い被さった。 その方が彼が自分を欲しがる事も知っていて、尚且つ、バイブでよがる顔が1番良く見えるからだ。 「んんっ、久遠のっ久遠のおちんぽっ」 義人は「仲良しえっち」と言う言葉が引っかかり、バイブが嫌になってしまっていた。 ものだろうが人だろうが、藤崎以外とセックスはしたくない。 ずっぽりと奥まで入って来ているそれが急に憎たらしく思えてきて、同時に挿れてもらえない藤崎の性器が恋しくて堪らなくなった。 圧迫感は似ていても、やはりまったくの別物だ。 藤崎の性器が自分の中に入ってくるあの感覚やそのときの満たされ方にはまったく届かない、ただのオモチャに過ぎないのだ。 「だーめ。ほら、スイッチ押すよ。お尻の穴でバイブくん可愛がってあげて」 一方で、もしもこの先別々に旅行をしたり、義人1人が家にいるときに、藤崎としては自分で買って来たこれらで1人で自分を慰めて欲しいと思っていた。 何故なら太さが自分の性器と同じだからだ。 自分の事を思い出しながら1人で「久遠っ」と名前を呼んで自慰行為をする義人を想像するのが楽しいのだ。 そして離れている間、一瞬だろうと自分を忘れないでいて欲しいのだ。 「いやだ、いやだ久遠っ、久遠のおちんぽ挿れて、バイブくんはや、ンォオッ！？」 プチ、と藤崎が電源ではない4つのボタンの内のひとつを押すと、義人の中に入ったバイブがヴィイイッと勢いよく震動した。 「んっぐ、ゲホッ、んっ、ぁあっ？！」 「気持ちいいでしょ、バイブくんちんぽ。これ全体震動する方のスイッチ」 説明書なんぞとうに頭に刷り込んでいる藤崎は、義人の尻の穴に入っている部分と会陰部に密着している部分に内蔵されている震動モーターが起動するボタンを押していた。 ちなみに買ったオモチャの説明書は全て熟読している上、オモチャ自体は義人の中に挿れるのだからと旅行の前に全て石鹸を使って丁寧に洗ってある。 「んぁああっ！？」 「あ、イっちゃったの？」 あまりにも強く、そして感じた事の無い快感に思わずビュウッ！と勢いよく射精をする義人。 胸元まで飛んだ精液を眺めながら、藤崎は「あーあ」と低い声でつぶやいた。 「はあっや、ヤダッ、止め、えっ、ンヒッ、んんっ！」 「可愛い。喋れないね。でも勝手にイクなよ」 「んぉ、おっ、んっ、イク、イク、イクッ」 「だめ」 「あっ、？、ふっ、はあっはあっはあっ」 不機嫌そうな藤崎の声に上を見上げると、不機嫌と言うよりは悲しそうな表情が見えた。 義人は肩で息をして、とりあえず一旦止まったバイブに安堵する。 あんまりにも刺激が強過ぎて絶頂してしまったのだと思い出すと、藤崎に申し訳なくなってまた涙が込み上げて来た。 それ程までに、この2年と少しの期間で義人は藤崎にセックスのルールを頭に刷り込まれているのだ。 「ご、めっ、」 「義人、ちゃんとイク前に言って。悲しいよ」 「ごめんなしゃ、、ん、ごめんなさい、ごめんなさい、」 「ううん、謝らないで。でも言ってね？できる？」 優しく頬を撫でる彼の手に擦り寄って、義人は回らなくなった舌で必死に喋った。 「できるうっ、できるかりゃ、ん、久遠のおちんぽ、こえやだ、お願い、やだ、」 「だめ」 「ンァあッ！！」 もうやめたいと訴えたのに、藤崎は再びリモコンの震動スイッチを押した。 「あっあっ、あーっ、あーーっ、気持ちいいっ気持ちいいぃっ」 「義人、押し出さないで、バイブくん可哀想だよ」 ぎゅうぎゅう締まる後ろの穴から、グッと腹に力が入るせいか徐々にバイブがはみ出て来ている。 ある程度のところで止まったのは性器と玉に通された輪っかがストッパーになっているからだろう。 「ご、め、んぁっ！あ、ごめんね、んっ、あーっ、変になる、あっあっ、んうう、あ、」 義人は涙を流しながら、ガクガクと震える足で何とか尻を持ち上げ、出て来てしまっているバイブに背中回りで手を伸ばし、L字の角部分を押して自分の中に戻してやった。 「あぁああっ！」 「いいところ当たった？」 「んあっ、んあっ、んっ、ちょっと、掠ってる、の、焦った、い、んっ」 藤崎は身体を起こし、義人の脚の間に座って彼が自分でバイブを奥へ突っ込んでいる様を至近距離から見つめる。 「どこ？当ててあげる、義人」 「んんんんッ！！」 そしてまた意地悪く彼が抑えるバイブの向きを動かすと、義人は背中を仰け反らせながらビクンッビクンッと浮かせている腰を大きく前後に揺らした。 余程、いいところに当たったらしい。 「あ、ここ？」 「あたっ、あたっでり、あ、」 「なあに？」 「あっ、ちゃ、って、ぇ、あ、あ、イク、くぉ、ん、イって、いいっ？んアッ」 「言ってくれてありがとう。嬉しいな。いいよ。いっぱいイって」 「あ、あっ、見、ててッ、1人で、んいっ、1人でイクのやっ、ヤダッ、あうっあうっ」 バイブを自分で押し込み、藤崎にその角度だけ動かされて変えられている。 上手く息ができない状態の義人がそれだけ言うと、藤崎は義人がバイブに沿えている手に自分の手を重ね、一緒になって奥まで押し込んだ。 「ンァああッ！？」 「いいよ、見てるよ。義人、綺麗だよ」 「やめ、あっ、イクッ、イクイクッイクうッ久遠っ、ァアッ、アッ、、あぁあッ！ああああッ！！」 ヘコヘコと腰を振り、義人が絶頂した瞬間、彼の性器からは透明でサラサラした液体がブシュッと飛び出していった。