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第53話「再熱」
「だめえっ、ダメ、ダメ、久遠ッ!」
それに加えて、藤崎はまた突き上げるところをズラし、奥にある1番欲しかったところに的確に大きな亀頭を当ててくる。
「あうっあうっ、ぁあっ、気持ち、だめ、イク、イクッ久遠、イクッ」
義人は気持ち良さに負けてぼろぼろと泣き出していた。
何にも気にせず喘ぐと、声は大きくて寝室内によく響く。
藤崎は彼の乱れ切った姿を満足そうに見上げつつ、藤崎自身の中でも込み上げてきている射精感にそろそろ我慢ができなくなってきていた。
「これ自分で扱いて。義人のいいところ当てるから」
「ンッ、あっんっ、んっ、い、イっていい?もうダメだから、あっあっあうっ、久遠お願、いっ、イって、アアッ、イって、いい?っあ、」
義人は言われた通りオナホを受け取ると、イかないように気を付けながら自分の気持ちいい速度でオナホを動かし、性器を扱いていく。
藤崎は自由になった両手でよっこいしょ、と義人の身体を仰向けにベッドに寝かせながら覆い被さり、彼の頭の上で手を組んで動かないように固定すると、グゥウ、と一度奥まで性器を入れ込んだ。
「っん、カハッ、ゲホッゲホッ、ん、、」
「大丈夫?」
「久遠、はあっはあっ、、イっていい?」
自分を見下ろす優しく穏やかな表情をした藤崎に聞きながらゆるゆるとオナホを動かし続ける。
藤崎は義人の唇に優しくキスをすると、一瞬だけ唇を離した。
「いいよ。一緒にイこ」
お互いにだらだらと汗をかいていて、藤崎の汗の粒が義人の腹や肩に落ちていく。
そう言うなり口を塞ぎ、彼はガンガンと奥を突き始め、そしてまた義人の舌に自分の熱い舌を絡めた。
「ンッンッ!?」
前立腺に太く大きい亀頭が擦れる。
当たるたびに腰が跳ね、逃げ切れない甘ったるく強い電流に脳が溶けていく。
どうでもいい。
何もかもどうでもいいから、ただ、藤崎に愛されているこの時間がずっと続けば良いのに、と頭の片隅で冷静になって考えてしまった。
「んっ、んふっ、んっ、んんっ、んっ!」
「んっ、、は、んっ」
「んぶッ、ンッ、、っは、んっ、あっ、イク、イクっ」
絡んでいた舌が解けると、義人はやっと息を吸った。
酸素が肺に回るのが遅過ぎて少し視界が歪んで見える。
「はあっ、はあっ、義人、可愛い。イって」
至近距離で義人を見つめ、藤崎は懇願する。
ぐちゃぐちゃに泣きながらも気持ちの良さは確かに感じている義人の顔が堪らなく愛しくて、その顔を自分だけに見せてくれるのだと考えると彼の中の支配欲やら独占欲がいっぱいいっぱいに満たされていく。
「ぁ、あんっ、や、だめっ、イクッイクイクイクッ!久遠、久遠んんッ!」
「イけッ、イけ、イけッ!!」
義人の頭の上で組んだ手を後頭部に押し付けて下に押し、下からは腰で義人の中を突き上げる。
その体勢に、逃げられないんだ、と自覚して藤崎の目を見つめ返した瞬間、堪らず義人は絶頂を迎えた。
「んあっ、あっ、ぁあぁあアッ!!」
義人はオナホの中に、藤崎はゴムの中に、ほぼ同時に射精する。
組んでいた手を離すと、藤崎はカクカクと小刻みに揺れる義人の腰を痛いくらいの力で掴んだ。
「あっあっ、久遠、やっ、奥、あっあっ!」
「ごめんね、んっ、ンッ」
どうしても、孕ませたい。
そんな想いか、藤崎は射精しながらもゴリゴリと奥を突いてきて、義人は痙攣したように脚がガクガクと震えた。
しばらくするとそれも止まり、ドッと身体の上に体重が乗って、藤崎が射精し終わって果てたのだと分かった。
「3時じゃん、、」
「あ!?義人、声枯れてる!!飴どこだ、飴!」
「ん"ん"ッ、ホントだ」
どこに体力を隠しているのか、散々義人の中を突きまくって運動した筈の藤崎はせっせと動いてベッドの上を片してくれた。
バイブとオナホは洗面所で洗われ、しばらく乾かすと言って棚の上にバスタオルを敷き、その上に置かれた。
インテリアのように並べないで欲しいな、と義人はぼーっとしてそれを見ている。
「バイブくん」こと先程実際に中に挿れられたバイブはL字をそのままの形で立たせて置かれている。
「どう?俺、気持ち良かったかい?」
なんだかそんな風に言われている気がして、藤崎に頼んで横に寝かせて置き直してもらった。
時計の針が午前3時を示していると目に入ったのはその後だった。
「義人、飴あった」
「持ってきてんのかよ。マメだなあ」
「口開けて、あーん」
「ん、、」
パク、と与えられた飴を舐め、とりあえず喉の応急処置をする。
そりゃああれだけ声を上げて騒げばこうもなるだろうと本人は諦めていたが、藤崎はこんな小さな事にも義人より何倍も気を遣い、また心配してしまうのだった。
「眠い、、でも飴舐めてるから歯ブラシしなきゃ、、んー」
「ごめんね。喉、痛い?」
「痛いまではいってない、かな」
「そっか。お茶でも淹れる?」
「んー、、飲む」
どうせ明日は10時に起きるぐらいに設定していた筈だ。
歯ブラシの事も考えて眠気を振り払い、ベッドで大の字になっていた義人は身体を起こして隣に座っている藤崎に並んだ。
「これ何味?」
「メロン」
「お前、自分が食べれない味食わせたな」
「ごめん。メロンだけは嫌いで、、」
相変わらず偏食家な藤崎は、義人を気遣いつつもちゃっかりと自分が食べられないメロン味の飴を彼の口に入れていた。
普通のフルーツのメロンは大好物なのだが、メロンソーダとメロン味の飴やガムと言ったお菓子を藤崎は嫌っている。
メロンパンは食べられるらしい。
「明日は、、ダイビングと、ソーキそばと沖縄そばと、あとパイナップル食べに行って、」
「ふふ。盛りだくさんだね。ってかめっちゃ食べるじゃん、、」
携帯電話のメモを見ながら、明日の予定を読み上げていく。
途中で藤崎が淹れてくれた日本茶を飲んで喉を落ち着かせると、飴もすぐに舐め終わった。
「明日の夕飯はどっかで食べてくるか。ホテルのレストランも美味かったけど、高かったな」
「ね。まあ仕方ないけど、その辺にある店でも充分美味しいだろうし、外、賛成」
歯ブラシを終えてベッドに戻ってくると、先に寝転がっていた藤崎の隣に潜り込む。
脱いで、と言われて履いていたボクサーパンツをシーツの上に放ると、同じように素っ裸で布団に入っていた藤崎に腰を掴まれ、グイ、と引き寄せられた。
「明日は外でする?」
「っ、、いい、けど」
にこにこと完璧で少し意地の悪い笑みを浮かべた彼に呆れつつ、義人は彼から視線を外して恥ずかしそうにそう言った。
「可愛い。ハマりそう?外えっち」
「は、ハマりはしないけど、、ここでだけなら、いいかなって」
「んー、、?」
「ドキドキするし、久遠に、襲われてるなって、何か、、すごい、興奮して、その、、シたいって思って、頑張れたから、」
「ふふ、可愛い。そう思ってくれたの?嬉しいな」
ちゅ、ちゅ、と頬や唇に口付けされる。
ぴくん、と反応しながらも、恥ずかしさでやはり藤崎の顔を見られなかった。
「ねえ、少し勃ってるよ」
「ぇ、」
脚の間に手を忍び込ませながら、藤崎は怪しく笑って、リモコンで寝室の電気を消した。
「あんっ」
薄暗い寝室で、微妙に勃起した性器の先端を指先で摘まれ、ピリッと走り抜けた甘い電流に義人はとろんとした顔を作ってしまう。
「久遠、も、今日は、、」
「可愛い」
「今日はダメだ、寝たい」
「キスさせて」
「んっふ、」
ちゅこちゅこと性器を扱かれながら、もう片方の手が義人の後ろの穴に伸びる。
「ぁンッ、触んな、ダメって言ってるだろ、」
尻たぶを揉まれて危機感を感じ、藤崎の胸元をグッと遠ざけようと押すのだが、胸板は一向に離れないし動かない。
「触るだけだから」
「あっやめろ、はあ、んっ」
尿道の入り口を引っ掻くように擦られ、次にほじるように指の腹で潰される。
尻の穴に触れた手が、割れ目を開きながら穴の中心をくるくると円を描きながら撫でている。
「はあっはあっ、あっ、はあっ」
「外で立ちバックとか、義人、好きそうだよね」
耳元で呟かれる怪しい誘いに、ぶるっと身体が震えた。
(外で、立ちバック、、ヤバい、考えたら、すごいシたくなって、)
鎮めたはずの良からぬ熱が、ずくずくと腰の裏を押している。
痛くて熱い、そしてもどかしい感覚だった。
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