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第128話「視姦」
安心し合うキスが終わると、藤崎の大きな手のひらがゆっくりとTシャツの裾から入り込んで、義人の温かい腹の肌を撫でた。
「オナニーしなかったよ?偉いだろ」
「んん、可愛い。ちゃんと守ってくれたんだ」
藤崎は心底嬉しそうに微笑んで再び軽く義人にキスを贈る。
いつも通りの甘ったるい雰囲気に戻って、2人して少しくすぐったいくらいにその空気感に酔いしれている。
寝室の窓の外は日が傾いてきていた。
「お前が、んっ、ダメって言ったんじゃん」
しゅるしゅると肌の上を這う手が胸元まで上がってくると、藤崎は腕を立てて肘のあたりまでかかっていた義人のTシャツを捲り上げ、腕から落としていく。
そうすると、彼の胸がよく見えた。
「ここは?」
「んぁっ」
意地悪くピンッと乳首が弾かれて、義人の身体は久々の快感にびくんと大きく震える。
久々に触れられると乳首はずっとビリビリと疼くような感覚がして切なくなってきて、身体が余計に熱くなった。
(もっと、、)
はしたないかもしれないが、頭からは馬鹿みたいに強い欲求が消えなくなっていた。
「乳首、触った?」
「触ってない、んっふっ」
「そうなの?もう硬いけど。少ししか触ってないよ?」
色のついたぷっくりとしたその突起を愛しげに見つめて、義人が反応する触り方で丁寧に愛撫していく。
指先で捏ね、たまに爪ではじいて、その後は指の腹で執拗に、焦らすように柔く撫でる。
いじられるたびにぴくんぴくんと義人の肩やら腰やらが動くのが堪らなく藤崎を煽っていた。
「ん、服が、擦れて、、たまに、ビクッてしてた、から」
これは本当の事で、確かに義人は自慰行為等は入院中しなかったものの、その所為かは知らないが洋服の布が乳首に擦れるだけでも腰が跳ねるようになってしまっていたのだ。
「そんなに敏感になっちゃったの?」
「んっ、お前のせい」
「ごめんね。責任は取るけど」
「取ってくれんの、あははっ、はんっ」
楽しそうに笑う義人を見下ろしてから、静かに口元を乳首に近づける。
落ち着く彼の肌の匂いがして、藤崎は一瞬目を瞑って、「ああ、やっとだ」と思いながら舌を突き出した。
「あ、」
焦らすように乳輪に舌を這わせて舐め回し、義人が脚を擦り合わせるようになったのを確認してから、立ち上がった乳首にねっとりとした舌を絡み付かせる。
「ぁ、んっ、あったかい、んっ」
「可愛い」
「ぁあ、んっ、吸って、久遠、ぁ」
「義人の乳首、久々。寂しかった」
「ごめんな、ぁンッ」
ぢゅっ、と強く乳首を吸い上げられ、義人の身体に甘ったるく強い快感が広がっていく。
「っはあ、ん、勃った」
「早いね、可愛い。教えてくれてありがとう」
「んん、、み、見て」
「ん?」
ハアハアと熱く呼吸しながら、義人は熱のこもった視線で藤崎を見下ろした。
彼は予想外の言葉に少しキョトンとしてから、すぐにニコ、と笑って義人の唇まで近づき、キスを落とす。
「もう一回言って」
「ん、、ちんこ見て、久遠」
恥ずかしそうな声だったけれど、必死な様子でもあった。
「勃起してるの見て、」
「見て良いの?恥ずかしくないの?」
「恥ずかしいけど、、見て欲しい。久遠に乳首吸われて勃起したの、確かめて」
「んー、堪んない誘い文句だね。恥ずかしくなりたい?」
「ん、久遠に見られて恥ずかしくなりたい、、見て、これ」
義人は藤崎の左手を取るとボクサーパンツの中で勃起している性器に誘導していき、温まってしまったそこに触れさせる。
触らせているくせに、藤崎の指先が布越しに性器の先端を掠っただけでビクンッと大きく腰を揺らし、思わず「ぁん」と小さく喘ぎ声を漏らした。
「可愛い。ちゃんと見るね」
その様子を見て男はニヤリと笑う。
楽しそうに身体を起こし、義人の脚を開かせてその間に身体を滑り込ませると、パンツを押し上げて棒状の形をくっきりと浮き上がらせているそこを撫で付けていった。
「あ、ぁ、見てよ、焦らすなよ」
「パンツ越しに見てても分かるよ。可愛い。勃起したんだね」
先端にあたっている布にシミができている。
「違う、久遠、ぁ、あっ、ちゃんと見ろ、っ」
「じゃあパンツ脱いで」
「脱がせろ」
「やだ。自分で脱いで。俺にちんこ見せたくて仕方ない義人が見たい」
「っ、、まどろっこしいんだよ、!」
言われるがまま、噛み付くような視線で藤崎を睨んだ後、義人は脚の間にいる藤崎の身体を避け、腰を捻りながら履いていたボクサーパンツを脱いでいった。
引っかかった性器から布を剥がすと、ぶるんっと大きくなったそれが藤崎の目の前に現れる。
「あーあ、可愛い。真っ赤になっちゃってる」
義人の性器は勃起していて、先端の周りが少しテラテラとしていた。
先走りの液体で濡れているらしい。
たまにピクンッと揺れるのも可愛らしく、それでいて扇情的でいやらしい。
普段真面目で思い詰めるとネガティブ思考が止まらなくなる彼からは想像できない大きさと雄々しい勃ち方だ。
「んっ、!」
「そんなに雑に脱がないの。どっか痛くするよ」
焦らされて少し苛立った義人は雑に足から引き抜いて脱ぎ終わった下着をとりあえず藤崎に投げつけた。
「なに。八つ当たり?このパンツ、頭にかぶりながらセックスしようか?」
「それは嫌だ。笑いそうだから」
「じゃあ大事にしてよ。お揃いのやつだよ?」
「焦らすのやめろ」
「可愛いからいじめたくなるの」
「パンツ嗅ぐな」
「んー、だって良い匂いする。義人の雄だなって匂い」
投げ付けられたパンツに鼻を埋めながら、藤崎はスンスンと鼻を鳴らしている。
側から見れば気持ち悪いのだが、顔が良過ぎる男がやると何でも様になるのだから恐ろしい。
そう言うCMでも見ている気分だ。
「そっちじゃなくて、こっち見て」
「ん、?」
あくまで焦らす気でいる藤崎を良く思えず、義人は恥じらいながらも彼の意識を自分の勃起したそれに移したくて、右手で熱くなった自分の肉棒の根元を支えて、ぷるんぷるんと揺らして見せる。
「久遠、見て。触って。寂しい」
そしてまた、苛立ったまま睨むように彼を見つめた。
「何でそんな可愛いことすんの」
そう言うと嗅いでいたパンツをひょいとベッドの下に投げ捨て、藤崎は再び義人に覆い被さって彼に応えるように唇を塞いだ。
「ん、んっ、寂しい、ンッ、パンツじゃなくて、俺のこと見て」
必死に藤崎の舌にかぶりつきながら、義人は切なげな声を絞り出して懇願する。
うなじを撫でる彼の左手の少し震える感触を感じながら、藤崎も目を細めて義人の黒い目を見つめた。
「ごめんね、ちゃんと見るよ。可愛いよ、義人。俺も寂しかった」
あんまりにも愛しい時間で、それが返ってきた事、そこに帰って来た事が嬉しくて、義人はまた泣きそうになっていた。
「ん、ぁ、触って、久遠、ちんぽが寂しがってるから、ねえ」
「ん、、じゃあ義人のちんぽとチューしていい?」
「んん、して、早くしてっ」
藤崎に唾液を吸われながら話すと舌を噛みそうになった。
「可愛い。好きだよ、義人」
「ん、好き、久遠」
唇を離して再び身体を起こすと、勃起したままの義人のそれは反り返って苦しそうにしていた。
手を伸ばして亀頭の先端に触れると、にちゃにちゃとした先走りの液体が漏れている。
「そんなにセックスしたかったの?」
藤崎は指先についたそれをべろんと舐めて怪しげに笑った。
「お前とセックスしたかったの」
「んん、可愛いなホント」
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