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第129話「イヤ」
口の中の温かさは独特で、湿っているからか、余計に強く「食べられたんだ」と分かる。
「ぁあん、」
はち切れそうな性器の先端を舌で包まれ、ゆっくりと口内に入れられると堪らなく声が漏れた。
上半身だけ起こした義人は2人分の枕を重ねてそこに背中を押し付け、自分の脚を広げながら股に顔を埋める藤崎のサラサラした髪を見下ろし、右手を伸ばして撫でた。
「くっ、久遠、あっ、久遠、」
「ん、、?」
身体を折り曲げて義人の肉棒を咥え込んだ藤崎はくぐもった声を漏らしてチラリと彼を見上げる。
名前を呼んだくせに、義人は腰から上を捻って快感から逃れるように横を向き、目を閉じてしまっていた。
「義人、咥えてんの見て」
「ぁンッ、ぁ、あっ、ほじんないで、あっ」
「こっち見て」
「見、てるっ、あっ、んんっ」
ギラリと視線が合った。
ねちっこく丁寧に、まるで洗っているように藤崎の舌は器用に動いて義人の性器の隅々まで舐め回していく。
カリの下の汚れが溜まりそうなところまでベロベロと舌が這うと、先程シャワーを浴びた際に洗ったとはいえ、何か変なものがついていなかったか、それが藤崎の口に入っていないかと不安になってしまう程に無駄に丁寧でしつこい。
「可愛い」
「あっ、!」
亀頭の先端にある尿道の入り口を舌先でほじられるのが義人は好きだ。
それから、カリのすぐ下の裏筋をゴリゴリと指の腹で引っ掻かれるのも堪らなくなって腰を揺らすし、いやらしい声が我慢できなくなる。
「ああ、やだ、ダメ、ダメだ、久遠、だめぇッ」
イキそうになったのか、藤崎の髪を撫でていた手が彼の耳を掴む。
「イくッ、ぁンッ、イク、あっ、イクッイクッイクッ!!」
亀頭をパクリと咥え込まれて吸い上げられると腰の奥が疼いて重たくなっていく。
(出したい、出したいッ、イキたいッ)
義人は暴れそうになる自分の脚を何とか堪えさせ、大きく胸を押し出して呼吸している。
「いいよ」
「ダメ、久遠ッ、口に出しちゃう、久遠ってば、!!」
「うん。ちょうだい、義人。飲ませて」
「やだよ、ダメだって、ぁあっ、あ、タマ揉まないで、ぅあんっ、あっあっ」
下から持ち上げるように肉棒の下のズッシリと重たくなった義人の玉袋を掴み、器用に揉みほぐしていく藤崎。
ぢゅぽっぢゅぽっと激しい水音を立てながら性器を口から出し入れして、そうやって段々と義人に射精を促している。
細い腰が面白いように跳ねる様が愛しかった。
嫌がりながらもしっかり感じていて、決して脚を閉じない。
本当は自分の口に出したくてたまらないくせに強がって「ダメ」と言う義人を追い詰めていくのが快感だった。
「あっあっ、出る、出るぅ、久遠、あっ」
「なんて言うの?」
「ンアッあっ、んっ、イきた、いぃっ、イって、いい、?」
「良くできました。いいよ。いっぱい出そうね」
「あっ、はあっ、ぅんんーっ、イク、あ、イク、久遠」
「ん、おいで」
「んっんっ、あっ、出そう、ごめ、んっ」
「いいよ」
「あっあっ!激し、あっ!イク、イクッ、!!」
義人の腰が大きく震えた瞬間、ビュウウッ、と勢い良く射精が始まる。
「あっ、吸わな、でっ、す、ぁあンッ、んっ!」
射精している最中から、義人の溜まっていた精液を全部飲んでやろうと藤崎は肉棒を強く吸い上げる。
堪らず義人は脚を伸ばして力を入れ、爪先までピンと張って、腰を揺すった。
久々の射精はあまりにも気持ちが良くて、それを藤崎に見られている事も、藤崎に性器を咥えられて好きなようにされている事も全てが心地良い。
恥ずかしくて堪らないのと同時に、それが快感になってしまっている。
(出しちゃった、久遠の口の中、、気持ち良い、あったかい、でも、、後ろがきゅうきゅうしてて、物足りない)
射精する手前から、どうにも尻の穴が疼いていた。
ちゅぱっと音を立てて藤崎が義人の肉棒を離すと、ゴクンッと音がして、それから喉仏が上下に動いた。
義人はボーッと惚けたままそれを見つめ、舌なめずりをした藤崎を「顔が良いな」と思ってしまった。
「流石に濃い」
「飲まなくて、いいっつーの」
ふう、と義人が息を吐く。
「義人の精子無駄にする訳ないでしょ」
「どういうことだよ、、」
顔がいい癖に変態じみた発言が多い。
呆れながら、また覆い被さってくる藤崎に両腕を伸ばして受け入れると、彼は義人の腕の中に収まって嬉しそうに首筋の匂いを嗅ぎ始めてしまった。
「久遠」
「んー、義人、やっとおんなじ匂いになったね」
「久遠」
「ん?なあに?チュー?」
いい加減にしろ、と軽く背中を叩くと、身体を起こした藤崎の顔が鼻先が当たりそうな程近くにきた。
義人は射精し終わった後のスッキリした感覚と少しの疲れを引きずりながら、目の前の唇にチュッと触れるだけのキスをする。
「終わり?」
そして誘うようにそう聞いた。
「ううん。ちゃんと抱くよ」
藤崎はニコッと笑い、義人の尻とシーツの間に手を捻じ込んで尻たぶを揉み始める。
「んん、、尻が寂しい」
少しふざけながらも割と本気で、義人は藤崎を見上げながらそんな事をこぼした。
「ふはっ!尻が寂しいの?んん〜、可愛いなあ。挿れてってこと?」
「早く」
「顔真っ赤だよ、義人。最高」
耳まで赤くなった義人は「やっぱ言うんじゃなかった」と心の中で思いつつ、尻の割れ目に藤崎の指が食い込んできて、一瞬ビクンッと身体を強張らせる。
数日とはいえ期間が空き、期待と緊張で身体が硬くなっているようだった。
「うるせぇんだよ早くしろよ辛いんだから!」
「そうなの?俺の方が辛いと思わない?ほら」
「ッ、ん」
そんな義人を落ち着けるように、藤崎は「同じだよ」とでも言うかのように、自分の股間を義人の右手に触らせる。
ボクサーパンツ越しに勃起した藤崎の性器に触れると、硬く熱くなって脈打っているのがよく分かり、途端に義人はまた顔を赤くしてしまった。
「痛くなっちゃった、ちんこ」
コツン、と額が合わさる。
義人は触っている藤崎の股間を見つめたまま、ボソ、と呟くように言った。
「す、ご、、こんなデカかったっけ」
「義人のせいだねー?」
額が離れると今度はスリスリと頬ずりをされる。
先程剃ったからか、ジョリッと言う感触は特になかった。
そう言えば、お互い髭が生えた姿はあまり見た事がない気がする。
義人は体毛が薄く髭も薄いので、1日剃らないくらいならうっすらとも生えてこない。
藤崎はおそらく義人に髭が生えている自分を見せたくないとかで、念入りに剃っているのだろう。
「ん。尻で責任取る」
やたらと良い声で義人は藤崎の肉棒を布越しにギュッと掴んでそう言った。
さっさとセックスがしたくなったのだ。
「男前過ぎて惚れ直しちゃった、、」
藤崎は頼もしく「ヤる」と宣言した義人を見つめて口元に手を当て感動したように目を見開いてから、ニヤリと笑って、彼の背中の下で押し潰されている枕に手を伸ばす。
「じゃ、お尻の穴舐めさせて」
「え?、ぅわっ」
ヒョイ、と枕をひとつ引き抜かれ、義人はベッドに仰向けに横たわった。
続いて頭の下のもうひとつの枕も取られて、天井を見上げながら「ああ、これは」と嫌な体勢にされる事を予感してしまった。
「久遠、これやだ、」
「拒否権ないよ〜」
「あ〜〜もう、腹立つなあ」
イラついた唸り声が寝室に響く。
予感通り、次の瞬間にはグンッと尻を持ち上げられて脚を開かされ、腰の後ろに枕2つを差し込まれる。
パカッと開いた脚の間から藤崎の顔が見えた。
尻の穴を見せびらかすような体勢だ。
ペロン、と勃起した性器が腹の方に倒れてヘソの下に先端が当たっている。
「怒ってても可愛い」
「ンッ、!」
べと、と藤崎の濡れた舌が義人の窄まった穴の入り口、皺の寄ったそこに充てがわれた。
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