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第3話
「すまない。金曜、会食が入った」
いつもより少し早く帰宅した創士様が、テーブルに食事を並べている僕にそう言い頭を下げた。
創士様は社長で会食も仕事の内だから、養ってあげている僕に謝罪する必要なんてない。
「謝らないでください。お仕事なのは分かっていますから」
「だが……」
「それに僕はもう子供ではありませんよ」
「そう……だな」
今だに僕を子供扱いする時がある創士様だけど、「子供ではない」と言うと少し拗ねた様な顔をする。
そんな時の創士様は僕よりも子供みたいだと密かに思っていて、つい頬が緩んでしまう。
今夜も頬が緩んで「ふふっ」と笑みをこぼしてしまう。
「柊」
「はい、創士様」
「明日の夜は俺の部屋に来てくれないか?一緒に眠ろう」
「……はい」
創士様の腕に囲われて、触れるだけの口付けを数回交わす。
「安心しなさい。加減はする……ように努力する」
「ふはっ……はい。お願いします」
抱擁を交わし、食事にした。
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